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審決分類 審判 査定不服  2項容易に創作 取り消して登録 J5
管理番号 1370066 
審判番号 不服2020-9392
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-07-03 
確定日 2021-01-08 
意匠に係る物品 シール自動販売機用画像編集機 
事件の表示 意願2019- 19141「シール自動販売機用画像編集機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は、令和1年(2019年)8月28日の意匠登録出願であり、主な手続の経緯は以下のとおりである。
令和1年(2019年)12月23日付け 拒絶理由の通知
令和2年(2020年) 2月19日 意見書の提出
令和2年(2020年) 3月30日付け 拒絶査定
令和2年(2020年) 7月 3日 拒絶査定不服審判の請求
令和2年(2020年)11月 9日 面接の実施

第2 本願意匠
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする意匠登録出願であり、本願意匠の意匠に係る物品は、本願の願書の記載によれば「シール自動販売機用画像編集機」であり、本願意匠の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下、「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」ともいう。)は願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由
原査定における拒絶の理由は、本願意匠が、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者(以下「当業者」ともいう。)が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたと認められるので、意匠法第3条第2項の規定に該当するとしたものであって、具体的には、以下のとおりである。
「本願は「シール自動販売機用画像編集機」の操作をするための画像において、下部に柄状部分と芯保持部状部分と芯状部分で構成された筆記具状部分を設け、筆記具状部分のサイズが変化する態様を意匠登録を受けようとする部分としたものですが、画像デザインの分野においては、物品分野を超えて様々な意匠を利用することは当たり前に行われているところ、画面下部に筆記具状部分を設ける点は、例えば、意匠1のように本願出願前からみられる態様であり、筆記具状部分を柄状部分と芯保持部状部分と芯状部分で構成する点は、例えば、意匠2のように本願出願前からみられる態様であり、筆記具状部分のサイズが変化する点は、例えば、意匠3のように本願出願前からみられる態様です。
そうすると、本願意匠は、本願出願前より知られた意匠に基づいて、この種物品分野の通常の知識を有する者が、容易に創作できたものと認められます。
(中略)
意匠1
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1522485号の意匠(当審注:平成27年4月27日発行)
意匠2
電気通信回線の種類 インターネット
掲載確認日(公知日) 2007年 4月 3日
受入日 特許庁意匠課受入2007年 6月29日
掲載者 Shutterstock, Inc.
表題 ベクターグラフィック 緑のオフィス及び
ビジネスアイコン(タイムスタンプ 200
7.03.30)
掲載ページのアドレス http://www.shutterstock.jp/pic-1789884-
green-office-and-business-icons.html
に掲載された「アイコン」の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HJ18214976号)
意匠3
米国特許商標公報 2015年11月24日
携帯情報端末機(登録番号US D743996S)の意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HH27325835号)」

第4 当審の判断
以下において、本願意匠の意匠法第3条第2項の該当性、すなわち、本願意匠が当業者であれば容易に創作することができたか否かについて検討し、判断する。

1 本願意匠の認定
当審では、本願意匠について、以下のとおり認定する(別紙第1参照)。
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品(以下「本願物品」という。)は「シール自動販売機用画像編集機」であり、願書の「意匠に係る物品の説明」には、以下のとおり記載されている。
「この意匠に係る物品は、シール自動販売機用の撮影機で写真を撮影した後に、編集する画像の選択とその編集、出力レイアウトを選択する等の操作を行うことができるものである。正面図中央のタッチパネル操作部に表された画像は、編集機能を発揮できる状態にする操作を行うためのものであり、操作部等を説明する参考図に示すように、ペン設定等を選択し、編集対象画像を編集する操作を行うものである。」
また、願書の「意匠の説明」には、以下のとおり記載されている。
「実線であらわした部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。拡大図を含めて意匠登録を受けようとする部分を特定している。」
これらの願書の記載によれば、本願物品であるシール自動販売機用画像編集機の正面部に設けられた表示部に、編集に係る画像が表示され、また、願書添付図面中の「操作部等を説明する参考拡大図」には各種のボタンが表されているから、ユーザーは編集に関する操作を行う。
(2)本願物品の正面部の表示部に表された画像
前記(1)のとおり、ユーザーは、本願物品の正面部の表示部に表された画像(以下「本願画像」という。)に対して操作を行い、本願物品は編集機能を有するから、同画像は、本願物品の機能を発揮できる状態にするための操作の用に供される画像(平成18年改正意匠法第2条第2項で規定された操作画像)であると認められる。
本願意匠において物品の部分について意匠登録を受けようとする部分は、本願画像内で「実線であらわした部分」(以下「本願画像部分」という。)である。
(3)本願画像部分の用途及び機能
前記(1)で摘記した願書の記載、並びに「操作部等を説明する参考拡大図」中の本願画像部分を説明する「ペン設定等選択パネル」の表示、及び本願画像内の2つの編集対象画像の存在から、本願画像部分は編集対象画像に対して書き込みを行うためのペンの一種類であると推認される。そして、願書添付図面中の「変化した状態のタッチパネル操作部拡大図」及び「C-D拡大図」に見られるとおり、本願画像部分は垂直方向に(後述する本体部が)伸長している。そうすると、本願画像部分の用途及び機能は、編集対象画像に対して書き込みを行うことであり、また、垂直方向の伸長を実現することであると認められる。
(4)本願画像部分の位置、大きさ及び範囲
本願画像が表示される表示部は、本願意匠の正面部中央やや上に位置しており、横長長方形状の本願画像(縦横比は約1:1.8)内において、実線で表された本願画像部分は、本願画像内の下部に、左右方向では中央やや右寄りに位置しており、その縦幅は、「タッチパネル操作部拡大図」では本願画像全体の縦幅の約1/8.7の大きさ及び範囲を占めており、「変化した状態のタッチパネル操作部拡大図」では約1/7.6である。
(5)本願画像部分の形態
ア 「A-B部拡大図」における形態
(ア)全体の形態
本願画像部分は、直立したペンを模した形態であって、上から、ペン先部、中間部及び本体部の3つの部分から成り、これらの縦幅の構成比は約1:3:10である。
(イ)ペン先部と本体部の形態
ペン先部は略鋭角三角形状であり、本体部は縦長長方形状であって、下端部が略円弧状に表されている。
(ウ)中間部の形態
中間部は左右非対称であり、左側形状線の略下半部には小さい略縦長S字状の起伏が形成されており、右側形状線は、ペン先側端部から本体側端部にかけて大きな略縦長S字状の起伏が形成されている。
中間部の本体部側端部は本体部よりもやや左にずれて表されて、中間部の横幅は、ペン先部にいくにつれて縮小し、中間部上端の横幅は、中間部下端の横幅の約1/1.8であって、ペン先部の横幅の約1.3倍である。
イ 「C-D部拡大図」における形態
ペン先部、中間部及び本体部の縦幅の構成比が約1:3:12であり、その余の形態は、上記アと同じである。

2 引用意匠の認定
原査定における拒絶の理由で引用された意匠について、以下のとおり認定する。主として、表示部に表された画像における本願画像部分に対応する部分を認定する。なお、各引用意匠の出典や公開日は、前記第3に記載されたとおりである。
(1)意匠1(別紙第2参照)
ア 意匠に係る物品並びに画像の用途及び機能
意匠1の意匠に係る物品は「写真シール自動販売機用画像加工機」であり、「表示パネルの拡大図」に表された画像は、意匠公報の説明や参考図によれば、撮影画像を表示する画像領域にお絵かき/落書きをする用途及び機能を有すると認められる。
イ 本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲
「表示パネルの拡大図」に表された画像における本願画像部分に対応する部分は、実線で表されたペン(以下「意匠1部分」という。)であって、意匠1部分は、横長長方形状の画像(縦横比は約1:1.8)内の下部に位置しており、その縦幅は、画像全体の縦幅の約1/15の大きさ及び範囲を占めている。
ウ 意匠1部分の用途及び機能
意匠1部分は、特定の線種でお絵描き/落書きをするために選択されるものであり、非選択時には「変化した状態を示す表示パネルの拡大図」及び「意匠登録を受けようとする部分の変化した状態を示す拡大図」のとおり高さが小さいが、選択されると、「表示パネルの拡大図」及び「意匠登録を受けようとする部分の拡大図」のとおり垂直方向に伸長する用途及び機能を有している。
エ 意匠1部分の形態
(ア)「意匠登録を受けようとする部分の拡大図」における形態
a 全体の形態
意匠1部分は、直立したペンを模した形態であって、上から、ペン先部、中間部及び本体部の3つの部分から成り、これらの縦幅の構成比は約1:3:6である。
b ペン先部と本体部の形態
ペン先部は略弾丸形状であり、本体部は縦長長方形状である。
c 中間部の形態
中間部は左右対称であり、その本体部側端部は本体部から連続するように表されて、本体部側端部からペン先部側端部にいくにつれて横幅が漸次縮小し、ペン先部側には水平の区画線が表されているので、ペン先部側端部が略台形状に表されている。中間部上端の横幅は、中間部下端の横幅の約1/4であって、ペン先部の横幅の約1.5倍である。
(イ)「C-D部拡大図」における形態
ペン先部、中間部及び本体部の縦幅の構成比が約1:3:1であり、その余の形態は、上記(ア)と同じである。

(2)意匠2(別紙第3参照)
ア 画像の用途及び機能
意匠2は「アイコン」であり、前記第3のURLに記載されたキーワード(別紙第3第3頁参照)によれば「鉛筆」に関連した用途及び機能を有すると認められる。「アイコン」の画像内における本願画像部分に対応する部分は、ペンを模した部分(以下「意匠2部分」という。)である。
イ 意匠2部分の形態
(ア)全体の形態
意匠2部分(本願画像部分の向きに合わせて認定する。)は、直立したペンを模した形態であって、上から、ペン先部、中間部及び本体部の3つの部分から成り、これらの縦幅の構成比は約1:3:11である。
(イ)ペン先部と本体部の形態
ペン先部は略棒状であり、本体部は縦長長方形状であって、下端部が略半円状に表されている。
(ウ)中間部の形態
中間部は左右対称であり、全体が略釣鐘状に表されて、上端部が略円弧状に形成されている。中間部の本体部側端部は、本体部の上端とほぼ一致しており、ペン先部側端部にいくにつれて漸次縮小している。

(3)意匠3(別紙第4参照)
ア 意匠に係る物品並びに画像の用途及び機能
意匠3の意匠に係る物品は「携帯情報端末機」であり、原文では「DISPLAY SCREEN WITH GRAPHICAL USER INTERFACE」と表記されている(別紙第4第1頁参照)。一般にグラフィカルユーザーインターフェース(GUI)では入出力(機器とユーザーとのインタラクション)が行われるから、「FIG.1」などに表された画像は、その入出力を行う用途及び機能を有すると認められる。
イ 本願画像部分に対応する部分の位置、大きさ及び範囲
「FIG.1」に表された画像における本願画像部分に対応する部分は、横長長方形状の画像(縦横比は約1:1.8)内の中央左上に位置している5つの鉛筆を模した部分(以下「意匠3部分」という。)であって、伸長してない鉛筆の縦幅は、画像全体の縦幅の約1/6の大きさ及び範囲を占めている。
ウ 意匠3部分の用途及び機能
意匠3部分は、選択されることによって何らかの書き込みを行う用途及び機能を有すると推認され、また、「FIG.1」「FIG.3」「FIG.5」において、任意の鉛筆が垂直方向に伸長しているので、垂直方向に伸長する用途及び機能を有している。
エ 意匠3部分の形態
(ア)「FIG.2(FIG.1の部分拡大図)」における形態
a 全体の形態
意匠3部分は、直立した鉛筆を模した形態を横方向に等間隔に5つ並べたものであって、それぞれの鉛筆は、上から、芯部、中間部及び胴部の3つの部分から成る。
右から2番目の鉛筆のみが垂直方向に伸長しており、それ以外の4つの鉛筆に比べて高さが約1.2倍になっている。
b 芯部と胴部の形態
芯部は略鋭角三角形状であり、胴部は縦長長方形状である。
c 中間部の形態
中間部は左右対称であり、中間部の胴部側端部は、胴部の横幅と一致しており、芯部側端部にいくにつれて漸次縮小し、芯部と面一致状に連続している。中間部の胴部側端部と胴部との間には波状境界線が表されている。
(イ)「FIG.4(FIG.3の部分拡大図)」における形態
中央の鉛筆のみが垂直方向に伸長しており、その余の形態は、上記(ア)と同じである。
(ウ)「FIG.6(FIG.5の部分拡大図)」における形態
最も左の鉛筆のみが垂直方向に伸長しており、その余の形態は、上記(ア)と同じである。

3 本願意匠の創作非容易性について
本願意匠が意匠法第3条第2項の規定に該当するか否か、すなわち、当業者であれば容易に本願意匠の創作をすることができたか否かについて検討する。
まず、本願物品がシール自動販売機用画像編集機であって、正面部の中央やや上に位置する表示部に編集に係る画像が表示される点については、編集に係る画像を表示する表示部を正面部のほぼ中央に設けたシール自動販売機用画像編集機の意匠が例を挙げるまでもなく本願の出願前に広く知られており、また、本願画像の縦横比が約1:1.8である点、本願画像部分が本願画像内の下部に位置している点、及び本願画像部分の縦幅が本願画像全体の縦幅の約1/6の大きさ及び範囲を占めている点も、本願の出願前に広く知られている(例えば、意匠1及び意匠3。)。そうすると、本願画像部分の位置、大きさ及び範囲については、特段の創作性を認めることはできない。
また、本願画像部分の用途及び機能は、シール自動販売機用画像編集機の画像において編集対象画像に対して書き込みを行うことであり、また、垂直方向の伸長を実現することであるところ、そのような用途及び機能を有する意匠が、本願の出願前に公然知られているから(例えば、意匠1及び意匠3)、本願画像部分の用途及び機能についても、特段の創作性を認めることはできない。
しかしながら、前記1(5)で認定したとおり、本願画像部分の形態は、意匠1部分ないし意匠3部分には見られない独特なものであり、具体的には、本願画像部分の中間部の形態が左右非対称であって、左右の形状線に大小の略縦長S字状の起伏が形成されて、中間部の本体部側端部も本体部よりもやや左にずれて表されている形態は、中間部が左右対称であって、その本体側端部が本体部に連続したり、一致している意匠1部分ないし意匠3部分の形態とは異なった、言わば手書き風に描かれたような趣を呈しているから、意匠1部分ないし意匠3部分の形態に基づいて当業者が容易に創作をすることができたとはいい難い。
そうすると、本願画像部分の用途及び機能並びに位置、大きさ及び範囲に係る創作は当業者にとって容易であるものの、本願画像部分の形態については、当業者が意匠1部分ないし意匠3部分の形態に基づいて容易に創作することができたということはできない。
したがって、原査定における拒絶の理由で引用された意匠に基づいて、当業者が容易に本願意匠の創作をすることができたということはできない。

第5 むすび
以上のとおりであって、本願意匠は、意匠法第3条第2項が規定する、意匠登録出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができたとはいえないものであるから、原査定の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また、当審において、更に審理した結果、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2020-12-22 
出願番号 意願2019-19141(D2019-19141) 
審決分類 D 1 8・ 121- WY (J5)
最終処分 成立 
前審関与審査官 ▲高▼橋 杏子 
特許庁審判長 北代 真一
特許庁審判官 小林 裕和
濱本 文子
登録日 2021-02-01 
登録番号 意匠登録第1679514号(D1679514) 
代理人 特許業務法人藤本パートナーズ 
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