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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6
管理番号 1370078 
審判番号 不服2020-11134
総通号数 254 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-08-11 
確定日 2021-01-21 
意匠に係る物品 コンロ本体 
事件の表示 意願2019- 12424「コンロ本体」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,意匠法第4条第2項の規定(新規性の喪失の例外)の適用を受けようとする,令和1年(2019年)6月6日の意匠登録出願であって,令和2年1月31日付けの拒絶理由の通知に対し,同年3月10日に意見書が提出されたが,同年6月11日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年8月11日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品を「コンロ本体」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,本願の出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった意匠に類似するものであるから,意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当し,意匠登録を受けることができないとしたものであって,当該拒絶の理由に引用した意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

【引用意匠】
特許庁総合情報館が1999年8月10日に受け入れた
商店建築 1999年8月1日8号 第44頁所載
コンロの意匠
(特許庁意匠課公知資料番号第HA11013352号)
から,焼き網,バーナーを取り除いたコンロ本体の意匠

第4 当審の判断
1 本願意匠
(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は,「コンロ本体」である。
(2)形状
全体は,円筒状の本体の外周面下方に,略直方体形の操作ボックスを突設したものであり,それぞれに小さな脚部を設けたものである。
本体は,高さと直径の寸法比を約3対5とし,内側に正五角形の底板と,側方から中央へ延出したバーナーを備え,周面と底板との間には,5か所に隙間が表れているものである。
操作ボックスは,高さが本体の高さの約2分の1で,高さ,幅及び奥行きの寸法比を約4対6対5とする,やや左右に長い略直方体形としたものであって,正面と左右両側面とが接する角を少し面取りし,下端を本体の下端よりも少し低くしたものであり,正面の中央やや下方に,円形で凸形状の操作つまみを設け,右側面の中央やや下方に,正面視で略横倒L字状のガス接続部を設けたものである。
脚部は,逆円錐台形としたものを,本体においては底板の縁寄りに4個設け,操作ボックスにおいては,前方寄りに1つ設けたものである。

2 引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は,前記第3に示したコンロの意匠から,焼き網等を除いた「コンロ本体」である。そして,引用意匠は,型番の下の「埋込タイプ」の記載から,テーブルに埋め込んで使用するものと認められる。
(2)形状
全体は,円筒状の本体の外周面下方に,略直方体形の操作ボックスを突設したものである。
本体は,高さと直径の寸法比を約3対7とし,周面の上端の内側に段部を形成しつつ鍔部を設けたものであって,周面の中間の高さの操作ボックス寄りに小さな横長長方形の孔を設けたものである。
操作ボックスは,高さが本体の高さの約2分の1で,高さ,幅及び奥行きの寸法比を約5対4対6とする,やや前後に長い略直方体形としたものであって,上面と左右両側面とが接する角を少し面取りし,下端を本体の下端と同じ高さとし,正面の左側中央に,円形で凸形状の操作つまみを設け,左側面には,水平方向に延出したガス接続部の先端部分が表れているものである。
なお,引用意匠は,全体を斜め上方から見た写真1枚のみで現されているため,その他の点については,観察し得ず不明である。

3 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
意匠に係る物品は,両意匠共に「コンロ本体」である。
(2)形状
(2-1)共通点
共通点1:全体は,円筒状の本体の外周面下方に,略直方体形の操作ボックスを突設したものである。
共通点2:操作ボックスの高さを,本体の高さの約2分の1としたものである。
共通点3:操作ボックスの正面に,操作つまみを設けたものである。
共通点4:上記操作つまみの形状を,円形で凸形状としたものである。
共通点5:操作ボックスの一側面に,ガス接続部を設けたものである。
(2-2)相違点
相違点1:本体について,本願意匠は,高さと直径の寸法比を約3対5としたものであるのに対して,引用意匠は,高さと直径の寸法比を約3対7としたものである。
相違点2:本体について,本願意匠は,周面の上端に鍔部を設けていないものであるのに対して,引用意匠は,周面の上端に鍔部を設けたものである。
相違点3:本体について,本願意匠は,周面に孔を設けていないものであるのに対して,引用意匠は,周面の中間の高さの操作ボックス寄りに小さな横長長方形の孔を設けたものである。
相違点4:本体について,本願意匠は,周面の内側は平坦であるのに対して,引用意匠は,周面の上端の内側に段部を形成したものである。
相違点5:本体について,本願意匠は,内側に正五角形の底板を備え,周面と底板との間には,5か所に隙間が表れているものであるのに対して,引用意匠は,観察し得ないため不明である。
相違点6:本体について,本願意匠は,内部に側方から中央へ延出したバーナーを備えたものであるのに対して,引用意匠については,内部のバーナーは,観察し得ないため,その形状は不明である。
相違点7:操作ボックスの形状について,本願意匠は,やや左右に長い略直方体で,正面と左右両側面とが接する角を少し面取りしたものであるのに対して,引用意匠は,やや前後に長い略直方体で,上面と左右両側面とが接する角を少し面取りしたものである。
相違点8:操作ボックスの下端を,本願意匠は,本体の下端よりも少し低くしたものであるのに対して,引用意匠は,本体の下端と同じ高さとしたものである。
相違点9:操作ボックスにおける操作つまみについて,本願意匠は,正面の中央やや下方に設けたものであるのに対して,引用意匠は正面の左側中央に設けたものである。
相違点10:操作ボックスのガス接続部について,本願意匠は,右側面の中央やや下方に設け,正面視で略横倒L字状としたものであるのに対して,引用意匠は,左側面に設けたものであるが,水平方向に延出したガス接続部の先端部分が表れているものの,根元側の形状は操作ボックスに隠れていて不明である。
相違点11:本願意匠は,脚部を備えたものであるのに対して,引用意匠は,不明である。

4 両意匠の類否
(1)意匠に係る物品について
意匠に係る物品については,両意匠共に「コンロ本体」であるから,同一である。
(2)形状について
(2-1)共通点の評価
共通点1は,全体を概括した形状であって,この物品分野においてありふれたものであるから,共通点1が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
共通点2は,操作ボックスの高さを本体の高さの約2分の1とした点であるが,この種物品において両意匠のみの特徴といえるものではないし,部分的なものであるから,共通点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
共通点3ないし5は,操作ボックスのみに係る部分的な共通点であり,操作ボックスを概括した形状における共通点であって,具体的には相違点7,相違点9及び相違点10の相違が内在しているものであるから,共通点3ないし5が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
(2-2)相違点の評価
相違点1は,本体の寸法比に係るものであるが,大差のないものであるから,相違点1が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
相違点2は,本体の周面の上端に鍔部を設けたか否かの相違であるが,相違点11と合わさって,5つの脚部を設け,周面の上端に鍔部を設けていない本願意匠は,卓上に置いて使用するものと認められるのに対して,引用意匠は,テーブルの天板に設けた穴に埋め込んで使用するものであって,その周面の上端に設けた鍔部は,コンロと天板の間に隙間が表れないようにするために設けたものと認められるものであり,そうすると,相違点2は,コンロの異なる使用状態を認識させるものであるから,相違点2が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きく,相違点11が両意匠の類否判断に及ぼす影響も一定程度認められる。
相違点3及び相違点5は,不完全燃焼防止を目的とした通気孔の設置場所の相違であるが,この種物品において通常通気孔を本体に設けることが行われており,安全対策の観点から需要者が注意を引く部分における相違といえるから,相違点3及び相違点5が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,大きい。
相違点4は,本体における周面の上端の内側に段部が形成されているか否かの相違であるが,段部が大きいものではないものの,周面の上端寄りという比較的目に付きやすい部分に係る相違であるから,相違点4が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。
相違点6は,本体のバーナーに係るものであるが,本願意匠のバーナーの形状はこの種物品において顕著な特徴があるものとは認められないから,相違点6が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
相違点7及び相違点9は,操作ボックスにおける相違であるが,操作ボックスは操作時に目に触れやすく,需要者がある程度の注意を向ける部分といえるから,相違点7及び相違点9が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。
相違点8は,操作ボックスの下端の高さ位置の相違であるが,部分的な相違であり,高さ位置が大きく異なるものではないから,相違点8が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,小さい。
相違点10は,ガス接続部に係る相違であるが,ガスホース接続時にコンロと周りの状態に配慮するところであるから,相違点10が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,一定程度認められる。
(2-3)形状の類否
以上のとおり,いずれの共通点も両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さいものであるのに対して,相違点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は,相違点2,相違点3及び相違点5が大きいものであり,相違点は共通点を凌駕しているといえるから,両意匠の形状は,類似しない。
(3)小括
そうすると,両意匠は,意匠に係る物品が同一であるが,形状が類似しないから,本願意匠は,引用意匠に類似するものではない。

5 むすび
以上のとおりであって,本願意匠は,原査定の引用意匠に類似する意匠ではなく,原査定の引用意匠をもって意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するとして,同法同条の規定によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審において,更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2020-12-24 
出願番号 意願2019-12424(D2019-12424) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C6)
最終処分 成立 
前審関与審査官 前畑 さおり 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 正田 毅
橘 崇生
登録日 2021-01-28 
登録番号 意匠登録第1679382号(D1679382) 
代理人 宮田 誠心 
代理人 宮田 正道 
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