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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4
管理番号 1370923 
審判番号 不服2020-15039
総通号数 255 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-03-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-29 
確定日 2021-02-12 
意匠に係る物品 包装用缶 
事件の表示 意願2019-27399「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の主な経緯
本願は,令和1年(2019年)11月22日の意匠登録出願であって,令和2年4月23日付けの拒絶理由の通知に対し,意見書の提出が無く,同年8月31日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年10月29日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書及び願書に添付した図面によれば,意匠に係る物品を「包装用缶」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合を願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び引用意匠
原査定における拒絶の理由は,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当するとしたものであって,拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」といい,本願意匠と併せて「両意匠」ともいう。)は,下記のとおりである(別紙第2参照)。

引用意匠
特許庁発行の公開特許公報記載
平成10年特許出願公開第316126号
図1等にあらわされた「容器」(1)の意匠

第4 当審の判断
1.本願意匠
本願意匠は,上記「第2」の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の内容によると,以下のとおりである。

(1)意匠に係る物品
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用缶」である。

(2)本願意匠の形状
ア.本願意匠は,無蓋有底の筒状の本体に,巻締めて蓋を設けたものである。
イ.本体周壁部の上端と下端に,円形に張り出した縁部を設けている(以下,周壁部の上端の縁部を「上方縁部」,周壁部の下端の縁部を「下方縁部」ともいう。)。
ウ.周壁部の周方向に6か所,上方縁部と下方縁部の間に,垂直より僅かに左に傾いた尾根部を設けたものである。
エ.6か所設けた,各尾根部の間には,左隣の尾根部の上側から,右隣の尾根部の下側にかけて,左に傾いた谷部を設けたものである。
オ.周壁部の中央水平断面形状は,尾根部は丸い凸曲線状で,谷部は浅く緩やかな凹曲線状である。

2.引用意匠
(1)意匠に係る物品
引用意匠の意匠に係る物品は「容器」である。

(2)引用意匠の形状
ア.引用意匠は,無蓋有底の筒状の本体に,巻締めて蓋を設けたものである。
イ.本体周壁部の上端と下端に,六角形に張り出した縁部を設けている(以下,周壁部の上端の縁部を「上方縁部」,周壁部の下端の縁部を「下方縁部」ともいう。)。
ウ.周壁部の周方向に6か所,上方縁部と下方縁部の間に,垂直より3°左に傾いた山折り部を設けたものである。
エ.6か所設けた,各山折り部の間には,左隣の山折り部の上側から,右隣の山折り部の下側にかけて,左に傾いた谷折り部を設けたものである。
オ.6つの山折り部と谷折り部を交互に繰り返して成る周壁部の中央水平断面形状は,山折り部は角状に突出し,谷折り部は角状にへこんでいる星形六角形状(六角星・六芒星の形状。)であると推認される。

3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品の対比
本願意匠に係る物品は「包装用缶」であり,引用意匠に係る物品は「容器」である。

(2)両意匠の形状の対比
両意匠の形状を対比すると,以下に示す主な共通点と相違点が認められる。
ア.共通点について
(ア)無蓋有底の筒状の本体に,巻締めて蓋を設けたものである点。
(イ)本体周壁部の上端と下端に,縁部を設けている点。
(ウ)周壁部の周方向に6か所,上方縁部と下方縁部の間に,垂直より僅かに左に傾いた突出部を設けたものである点。
(エ)6か所設けた,各突出部の間には,左隣の突出部の上側から,右隣の突出部の下側にかけて,左に傾いた凹部を設けたものである点。
イ.相違点について
(ア)縁部につき,本願意匠は,円形であるのに対して,引用意匠は,六角形である点。
(イ)周壁部の水平断面形状につき,本願意匠は,尾根部は丸い凸曲線状で,谷部は浅く緩やかな凹曲線状であるのに対して,引用意匠は,山折り部は角状に突出し,谷折り部は角状にへこんでいる星形六角形状である点。

4.判断
(1)意匠に係る物品の類否判断
本願意匠の意匠に係る物品は「包装用缶」であって,商品などを入れる缶である。
対して,引用意匠は,公開特許公報の記載によると,【発明の名称】は「容器」であるが,【発明の詳細な説明】の欄の【0001】には,「本発明は,例えばジュース等の飲料水を入れるアルミニウム缶の容器に関するものである。」と記載されており,加えて,図面に表されたその形状より,包装用缶と認められる。
そうすると,意匠に係る物品の表記は異なるが,両意匠の意匠に係る物品は,共通する。

(2)両意匠における形状の評価
ア.共通点について
共通点(ア)及び共通点(イ)は,包装用缶において通常の形状の一つと認められ,両意匠のみの特徴とは認められないから,両意匠の類否判断に与える影響は小さい。
共通点(ウ)及び共通点(エ)は,包装用缶の形状における基本的な構成であって,包装用缶において特徴的な形状であり,一定程度の共通感を生じさせているが,具体的には,相違点(ア)及び相違点(イ)の相違が存在するものであるから,共通点(ウ)及び共通点(エ)の両意匠の類否判断に与える影響は限定的である。
イ.相違点について
相違点(ア)及び相違点(イ)によって,本願意匠は,全体的に丸くて柔らかい印象を醸し出しているのに対して,引用意匠は,山折り部が鋭利に突出し,シャープで硬い印象を醸し出しており,この2つの相違点は,包装用缶の本体周壁部の全部を占めているため,両意匠に別異の印象を生じさせているといえ,両意匠の類否判断に与える影響は,極めて大きいというべきである。

(3)両意匠における形状の類否判断
以上のとおり,共通点は,両意匠の類否判断に与える影響が,小さい又は限定的であり,この共通点によっては,両意匠の類否判断を決するものといえないのに対して,相違点(ア)及び相違点(イ)によって,需要者に別異の印象を起こさせるものであるから,両意匠の類否判断を決するものといえる。
そうすると,本願意匠の形状と引用意匠の形状は,類似するとは認められない。

(4)両意匠における類否判断
よって,両意匠は,意匠に係る物品が共通するが,上記のとおり本願意匠と引用意匠の形状は類似するものではないから,本願意匠と引用意匠は類似するとはいえない。

5.結び
したがって,本願意匠は,引用意匠に類似せず,原査定の引用意匠をもって,本願意匠が意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,当審が更に審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲

審決日 2021-01-27 
出願番号 意願2019-27399(D2019-27399) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (F4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 玉虫 伸聡 
特許庁審判長 刈間 宏信
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2021-02-25 
登録番号 意匠登録第1681112号(D1681112) 
代理人 特許業務法人バリュープラス 
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