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審決分類 審判 査定不服  意10条1号類似意匠 取り消して登録 C4
管理番号 1373829 
審判番号 不服2020-14855
総通号数 258 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2021-06-25 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2020-10-26 
確定日 2021-05-11 
意匠に係る物品 芳香・消臭剤用容器 
事件の表示 意願2019- 14289「芳香・消臭剤用容器」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1 手続の経緯
本願は,本意匠を意願2019-14288号(意匠登録第1658139号)の意匠とする関連意匠に係る,令和1年(2019年)6月27日の意匠登録出願であって,令和2年3月10日付けの拒絶の理由に対し,同年4月27日に意見書が提出されたが,同年7月27日付けで拒絶査定がなされ,これに対して,同年10月26日に拒絶査定不服審判の請求がなされたものである。

第2 本願意匠
本願の意匠(以下「本願意匠」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真によれば,意匠に係る物品を「芳香・消臭剤用容器」とし,その形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。

第3 原査定における拒絶の理由及び本意匠
本願の原査定における拒絶の理由は,本願意匠は,願書に記載した本意匠に類似する意匠と認められないから,意匠法第10条第1項の規定に該当しないとしたものである。
そして,本意匠である意願2019-14288号の意匠(以下,本願意匠と併せて「両意匠」という。)は,本願の出願人と同一の出願人が,本願と同日の令和1年6月27日に意匠登録出願し,令和2年4月3日に意匠権の設定の登録が成され,同年4月20日に意匠公報が発行されたものであって,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真によれば,意匠に係る物品を「芳香・消臭剤用容器」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面代用写真に現されたとおりとしたものである(別紙第2参照)。

第4 当審の判断
1 両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
意匠に係る物品は,両意匠共に芳香剤及び消臭剤を収容する「芳香・消臭剤用容器」であり,共に室内において,テーブル,棚,床等に置いて使用されるものである。

(2)形態
ア 共通点
共通点1:物品全体について,その基本的な構成は,上端に口部を有し,内部が透けて見える容器に,装花を閉じ込めるように配すると共に,棒状のスティックを上方が容器から露出するように口部に挿したものである。
共通点2:容器全高(容器下端から口部上端までの高さ)に対するスティックの露出部分の高さの比率を,約1.2対1としたものである。
共通点3:容器の形態については,略直方体形状の本体の上端中央に略円筒形の口部を突出した状態に設け,容器全高に対する側面視横幅の比率を約2.6対1とする薄型としたものであり,口部については,その直径が側面視横幅よりも少し小さく,周面にネジ山を設けたものである。
共通点4:装花の形態については,容器内の底に濃桃色の花弁を横一列に4枚敷き,その上に,3方に分かれた短い茎が付いた,4枚の白い花弁が平面的に広がった花を,正面に向けて置くように配したものである。
共通点5:スティックの形態については,6本の,薄茶色で,ごく細い直線状の棒を,左右に3本に分けて,全体が正面視X字状に表れるように口部内で交差させて配置したものである。

イ 相違点
相違点1:容器の本体について,本願意匠は,底面の肉厚を特に厚く,左右両側面の肉厚をやや厚くし,底面の肉厚部分と左右両側面の肉厚部分とで正面視略倒コ字状に表れているものであるのに対して,本意匠は,底面及び左右両側面の肉厚を本願意匠程に厚くしていないものである。
相違点2:容器の本体における左右上面について,本願意匠は,水平面としたものであるのに対して,本意匠は,口部に向けて緩やかに上がる傾斜面としたものである。
相違点3:容器の本体における正面及び背面形状について,本願意匠は,平坦面としたものであるのに対して,本意匠は,膨出面(平面視で僅かに凸弧状の膨出面)としたものである。
相違点4:容器の本体における側面から正面及び背面にかけての角部の丸みの大きさについて,本願意匠は,小さくしたものであるのに対して,本意匠は,大きくしたものである。
相違点5:容器の本体の高さ(容器下端から口部直下までの高さ),正面視横幅及び側面視横幅の比率について,本願意匠は,約2.1対2.5対1としたものであるのに対して,本意匠は,約2対2対1としたものである。
相違点6:装花について,本願意匠は,最前面に位置する花の背後にある花が,隠れてほとんど見えないものであるのに対して,本意匠は,最前面に位置する花の背後にある花が,上下方向に少しずつずれた状態で見えるものである。

2 両意匠の類否判断
(1)意匠に係る物品について
両意匠の意匠に係る物品については,どちらも「芳香・消臭剤用容器」であり,その使用目的及び使用状態が一致するから,同一である。

(2)形態について
ア 需要者の観点
この種物品は,手に持って使用するものではなく,主に室内にてテーブル,棚,床等に置いて使用されるものであり,物品全体の形態をインテリアの一部として見るものであるから,この種物品の需要者(エンド・ユーザー)は,本物品を少し離れた位置から全体観察するものと認められる。
よって,両意匠の類否判断における形態の評価に対しては,同様の観点から判断するのが相当であると考える。

イ 形態の類否
共通点1及び共通点2は,この種物品において両意匠のみの特徴といえるものではないが,物品全体の基本的な構成に係るものであるから,需要者に一定の共通感をもたらすものである。
容器の本体の形態については,底面及び側面の肉厚の相違(相違点1),左右上面を傾斜面としたか否かの相違(相違点2),正面及び背面を膨出面としたか否かの相違(相違点3),側面から正面及び背面にかけての角部における丸みの大小の相違(相違点4),そして寸法比の相違(相違点5)は,容器のみを子細に見れば,いずれも軽視できるものではないが,物品全体として見れば,相違点はいずれも細部に係る相違といえ,特に目立つものではなく,一方,共通点3については,この種物品の容器の形態として,略直方体形状の本体の上端中央に略円筒形の口部を突出した状態に設け,全体的に薄型としたものは,両意匠のみの特徴とはいえないものの,容器全体の形態を概略で円柱状,球状,角柱状等としたものや,様々な寸法としたものが存在する中にあっては,共通点3を備えた形態は,需要者に正面視略凸形状で薄型という形態を印象付けるものであり,一定の共通感をもたらすものである。
装花については,共通点4で認定した,敷物のように配した濃桃色の花弁の上に,白色の花を正面に向けて置くように配した形態は,装花の形態の基調を成し,この種物品において両意匠の出願前には見られない特徴のある形態であるところ,最前列に位置する花の背後の花の見え方が異なる点(相違点6)は,装花のみを子細に見れば軽視できるものではないが,物品全体としてみれば,一部に係る相違といえ,共通点4を凌駕するものとは認められないから,共通点4に挙げた装花の特徴ある形態は,需要者に一定程度の共通感をもたらすものである。
スティックについては,この種物品において,太さがほぼ均一な細い直線状とした形態はありふれているし,正面視X字状に配した形態も両意匠のみに見られる特徴とはいえないが,スティックは,視界に占める割合が大きく,芳香及び消臭効果の機能的な面から需要者が注目する部分であるから,共通点5で認定したスティックの形態は,スティックが効率よく機能を発揮する,との共通する印象を需要者にもたらすものであるから,両意匠のスティックの形態は,需要者に共通感をもたらすものである。
以上のことから,両意匠の共通点は,相違点を凌駕するものであり,需要者に共通の美感を起こさせるものであるから,両意匠の形態は類似するものといえる。

(3)小括
上述の判断に基づけば,両意匠は,意匠に係る物品が同一であり,形態が類似するから,本願意匠は,本意匠に類似するものと認められる。

3 意匠法第10条第1項の規定の要件を満たすか否かについて
本願意匠は,本意匠に類似する意匠であり,本願の意匠登録出願人は,本意匠の意匠権者と同人であり,本願意匠の意匠登録出願の日は,本意匠の意匠登録出願の日と同日であって本意匠の意匠公報の発行の日前であるから,本願意匠は,意匠法第10条第1項に規定の要件を満たしている。
そして,本意匠の意匠権について専用実施権が設定されていないことから,本願意匠は,意匠法第10条第1項の条件規定である同法同条第2項の要件を満たしている。
そうすると,本願意匠は,本意匠に係る関連意匠として意匠登録を受けることができるものと認められる。

4 結び
以上のとおり,本願意匠は,意匠法第10条第1項の規定に該当するものであるから,原査定の理由によって,本願を拒絶すべきものとすることはできない。
また,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって,結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2021-04-19 
出願番号 意願2019-14289(D2019-14289) 
審決分類 D 1 8・ 3- WY (C4)
最終処分 成立 
前審関与審査官 神谷 由紀高田 紗里 
特許庁審判長 木村 恭子
特許庁審判官 橘 崇生
正田 毅
登録日 2021-06-03 
登録番号 意匠登録第1688211号(D1688211) 
代理人 鈴木 行大 
代理人 松井 宏記 
代理人 宗助 智左子 
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