ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 E3 |
---|---|
管理番号 | 1376805 |
審判番号 | 不服2021-3913 |
総通号数 | 261 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2021-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2021-03-26 |
確定日 | 2021-08-10 |
意匠に係る物品 | 身体鍛錬具 |
事件の表示 | 意願2020- 683「身体鍛錬具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は、令和2年1月17日の意匠登録出願であって、その手続の経緯は以下のとおりである。 令和2年 8月31日付け:拒絶理由の通知 令和2年10月16日 :意見書の提出 令和3年 1月 7日付け:拒絶査定 令和3年 3月26日 :審判請求書の提出 第2 本願意匠 本願意匠は、意匠に係る物品を「身体鍛錬具」とし、その形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下「形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」を「形態」という。)を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものである(別紙第1参照)。 第3 原査定の拒絶の理由及び引用意匠 原査定の拒絶の理由は、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物に記載された意匠又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった下記の意匠に類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠(先行の公知意匠に類似するため、意匠登録を受けることができない意匠)に該当する、というものである。 拒絶の理由に引用された意匠(以下「引用意匠」という。)は、下記のとおりである(別紙第2参照)。 引用意匠 独立行政法人工業所有権情報・研修館が2014年 8月18日に受け入れた MOGU FEEL CONSCIOUS 第27頁所載 クッションの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HC26011737号) 当審注:引用意匠の製品名が「MOGU ホールクッション」であることを示す同カタログの第27頁全体と、同製品の他の角度から見た態様が掲載された同カタログの第28頁全体を、別紙第2の第2頁に掲載する。 第4 対比 1 意匠に係る物品の対比 本願意匠の意匠に係る物品は、「身体鍛錬具」であり、願書の意匠に係る物品の説明欄の記載によると、身体トレーニングを補助するためのものであって、不使用時にはクッションとして使用できるものであるから、本願意匠の主たる用途及び機能は、身体トレーニングを補助するものである。 引用意匠の意匠に係る物品は、「クッション」であって、その用途及び機能は、身体の一部を支えるものである。 両意匠は、主たる用途及び機能において、相違する。 2 形態の対比 以下、対比のため、引用意匠の向きを本願意匠の図の向きに合わせて認定する。 (1)形態の共通点 (共通点)両意匠は、孔部が中心からやや前方寄り(平面視において下方寄り)の位置にある略ドーナツ状環状体とし、側面視において前方に向かって傾斜する点で、全体の基本構成が共通する。 (2)形態の相違点 (相違点1)平面視の孔部の態様について (相違点1-a)形状について、本願意匠は正円であるのに対し、引用意匠は横長楕円形である点。 (相違点1-b)大きさについて、本願意匠は、身体鍛錬具全体の直径に対する孔部の直径の比率が、約14:1であるのに対し、引用意匠は、クッション全体の直径に対する楕円孔部の短径の比率が、約4:1である点。 (相違点2)略ドーナツ状環状体について、側面視における前方と後方の幅の比率は、本願意匠は約1:1.36であるのに対し、引用意匠は約1:1.83である点。 第5 判断 1 意匠に係る物品の類否判断 両意匠は、主たる用途及び機能において、相違するため、本願意匠と引用意匠の意匠に係る物品は、類似しない。 2 形態の共通点及び相違点の評価 (1)形態の共通点 共通点は、両意匠の形態を概括的に捉えた場合の共通点にすぎないものであり、意匠全体の美感に与える影響は小さい。 (2)形態の相違点 相違点1-aについては、部分的ではあるが、目に付きやすい箇所に係るものでもあるため、両意匠の類否判断に一定の影響を与える。 相違点1-bについては、平面視における物品全体の中に占める割合の相違として、大きいと言わざるを得ず、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 相違点2については、本願意匠が高さのある立体的な印象を呈するのに対し、引用意匠はやや平板な印象であるから、両意匠の類否判断に与える影響は大きい。 3 両意匠の類否判断 両意匠の形態における共通点及び相違点の評価に基づき、意匠全体として総合的に観察した場合、上記2(2)のとおり、孔部の形状の相違が類否判断に与える影響は一定程度あり、孔部の大きさの相違及び略ドーナツ状環状体の具体的な高さが奏する印象の相違が類否判断に与える影響は大きい。そうすると、これら相違点を総合した類否判断に与える影響は大きいものであって、全体の基本構成が共通するとしても、意匠全体として観察した際に異なる美感を起こさせるものといえる。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品は類似せず、その形態において、需要者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。 第6 むすび 以上のとおり、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものである。したがって、原査定の理由によっては、本願を拒絶することはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2021-07-20 |
出願番号 | 意願2020-683(D2020-683) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(E3)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 清水 玲香 |
特許庁審判長 |
北代 真一 |
特許庁審判官 |
渡邉 久美 加藤 真珠 |
登録日 | 2021-08-27 |
登録番号 | 意匠登録第1694957号(D1694957) |
代理人 | 水崎 慎 |
代理人 | 高橋 克宗 |
代理人 | 福田 伸一 |