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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) F2
管理番号 1007711 
判定請求番号 判定請求1999-60013
総通号数
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2000-07-28 
種別 判定 
判定請求日 1999-02-26 
確定日 1999-08-20 
意匠に係る物品 事務用ブロック 
事件の表示 上記当事者間の登録第 879457号意匠「事務用クリツプ」判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「事務用クリツプ」の意匠は、登録第 879457号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第一 判定請求の趣旨及びその理由
請求人は、「イ号意匠並びにその説明書に示す意匠は、登録第879457号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求める。」と申し立て、その理由として判定請求書に記載のとおりの主張をし、証拠方法として甲第1号証及び甲第2号証を提出したものである。
その主張の要点は、本件登録意匠の創作の要点は、他に全く見られない挟持板の左右突出部と凹み部で形成された全体形状にあり、使用時に押し込む指先に凹部がぴったりすることも重要な部分であり、これらの点が本件登録意匠全体の基調を表出している。
両意匠は、基本的な構成態様、特に本件登録意匠の要部である挟字板の両側辺が非対称的となっている突出部と凹部の全体形状の態様が共通し、両者の類否に大きな影響を与えるものである。
一方、両意匠は、背無し挟字板の上下の位置の差異、挟字板先端部の外側への広がり程度の差異があるが、いずれも特段顕著な差異とはいえず、類否に及ぼす影響は微弱である。
従って、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
第二 被請求人の答弁及びその理由
被請求人は、「本件判定を却下する。イ号図面に示す事務用クリップの意匠は、登録第879457号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属さない、との判定を求める。」と答弁し、その理由として判定事件答弁書に記載のとおりの反論をし、証拠方法として乙第1号証乃至乙第8号証の書証を提出したものである。
その反論の要点は、以下のとおりである。
本件登録意匠が、背板と挟持部を結ぶ略台形状に一方の側辺の上下の一部を除き、水平方向に向かって突弧状の突出部を形成したものであり、従って、直線と円弧を直接連続して形成したゴツゴツとした態様としているのに対し、イ号意匠は、挟持板の一方の側辺は突弧状の突出方向が斜め上方に向かって形成された略曲玉頭部状をしたものであって、正面視の背板部分を除くその他の部分が全て曲線で構成されている点で、全く異なる。
イ号意匠の釣り針先端状の曲線部分は、この種意匠の使用方法が物品自体を回転しながら紙等を挟持してゆくという機能的イメージを物品の形態に端的に表現した態様としたものであって、イ号意匠にみられれる円形孔の周囲の余地部と円形孔に沿って形成された挟持部が連続して螺旋状とし一層その効果を強調しているのに対し、本件登録意匠にはそのような意匠的効果は全くみられず、この点から両意匠は創作思想を異にする。
イ号意匠は、突出部の頂点を背板より上方に立ち上げることによって、頂点部分の幅を広くすることができ、被挟持物を差込やすくするのにより効果的であり、且つクリップで挟んだ書類を取り出す際に指の腹で突出部を確認し、ピックアップできる点で本件登録意匠が有さない機能を形態上に現している。
請求人は、挟持板の側辺が一方は突出し、他方は凹弧状に凹んでいる点での共通点をもって両意匠が類似するt主張するが、仮にこれを、挟持板の一方を突弧状とし、他方を凹弧状とした点としての主張と善解したとしても、それは、概念的共通性に止まるもので、基本的及び具体的態様における差異点こそが両意匠の特徴点であって、類否を左右する主要部というべきである。
第三 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成4年2月7日の意匠登録出願に係り、平成5年7月14日に意匠権の設定の登録が為されたものであり、意匠に係る物品が「事務用クリップ」、その形態が当該願書及び添付図面に示されたとおりのものである。(別紙第一参照)
2.イ号意匠
本件判定請求の対象であるイ号意匠は、請求書に添付された「▲1▼イ号物件の現物」として提出された実物の意匠であって、意匠に係る物品が事務用クリップ、その形態が同実物に示されたとおりのものである。(別紙第二参照)
3.本件登録意匠とイ号意匠の比較検討
イ号意匠が本件登録意匠の出願前において公然知られたものでなく、また先の出願に係るものでもないことを前提として、以下に検討する。
本件登録意匠とイ号意匠を比較するに、両意匠は、意匠に係る物品が同一のものと認められ、その形態については、主として以下の共通点と差異点があるものと認められる。
即ち、先ず、共通点について、(1)全体が、バネ板を略二つ折りとし、その折り目部を稍上下幅のある背板部とし、その二つ折りした上下の板を同形の挟持板部とした基本的な構成態様のものである点、各部の具体的な態様において、(2)挟持板部につき、上方視略台形状の左辺部を背板部の左端から下方に向かう凹弧状とし、右辺部を背板部の右端位置から大きく右方に向かって略円弧状に張り出させた態様のものである点、(3)側方視の全体が略縦長二等辺三角形状を呈する点、(4)背板部につき、背面視横長方形状で、側方視中央部が僅かに前方に張り出す弧状面を成す点、(5)背板部の右方部の挟持板部に挟まれる部分が背板部の上下幅と同幅の間隙部を形成し、下方に行くに従い徐々に幅狭いとなっている点、(6)挟持板部下辺沿い部分が細幅帯状の縁状部をなしている点、が認められる。
次いで、差異点について、各部の具体的な態様において、(イ)挟持板部の左辺部について、本件登録意匠は、凹弧状が僅かに右方に傾き、上下端寄り部分が短い垂直線状となっているのに対し、イ号意匠は、下端寄り部分を除いて凹弧状が真っ直ぐに立ち、下端寄り部分が角丸状に丸められている点、(ロ)挟持板部の左辺部を除く部分について、円弧状の張り出し部分につき、本件登録意匠は、背板部から稍下がった位置から右方に向かって短い水平線部を経て円弧が張り出し、その円弧の下端部位、即ち背板部右端から斜め右下方に下がった部位に当たる縁状部とぶつかる部分が直角状の切欠部として現れ、下辺部が背板部と平行な直線状であるのに対して、イ号意匠は、背板部から僅かに下がった位置から、中心線が斜め上方に向かう円弧状が張り出し、その円弧の上端が背板部の延長線位置より僅かに後方に突出し、その円弧状の下方部が下辺部まで連続して大きな弧状を成している点、(ハ)イ号意匠は、挟持板の円弧状張り出しの輪郭線に沿って円孔が穿たれているのに対して、本件登録意匠は、それが穿たれていない点、(ニ)下辺部の縁状部につき、側方からみると、本件登録意匠は、ハ字状に開いているのに対して、イ号意匠は、略垂直状である点が認められる。
そこで、上記の共通点と差異点につき、イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するか否かの判断に及ぼす影響について、以下に検討する。
先ず、(1)の点は、本件物品としては殆ど構造上必然的な態様といえる点であって、意匠の創作要素としては重視することができないものであって、その影響は、微弱というべきである。(2)の点は、先行意匠に共通する態様のものが発見されず、本件登録意匠の新規な特徴点と言える態様であって、その形態自体が全体形態を支配し、特異性の強い印象的なものであり、その影響は、極めて大きいものである。
(3)(4)の点は、本件物品において極一般的な態様であって、また構造上の必然的形態でもあり、その影響は微弱である。(5)の点は、使用に当たって注視され、機能上重要な態様といえるが、近似態様のものが既に公知でもあることを考慮すると、さほど大きく評価のできないものであり、その影響は、軽微に止まるものである。(6)の点は、特段特徴的な形態処理とはいえず、また細部の態様に止まるものであって、その影響は、微弱に止まるものである。
次いで、差異点について、(イ)の点は、子細に比較すると確かに差異点として指摘されるものではあるが、全体からみれば微細なまたは目立たない差異に過ぎず、共通点の(2)がこの差異を凌駕しており、その影響は、軽微に止まるものである。(ロ)の点については、円弧状の張り出し方向の差異、下辺と円弧状張り出しを連続状の大きな弧状とした点においてイ号意匠独特の形態処理が認められるものではあるが、未だ共通点(2)の態様を僅かに変形させた程度に止まるものであり、形態全体を圧して両者を異なる意匠と認識させるまでには至っておらず、その影響は、軽微程度というべきである。(ハ)の点は、イ号意匠に係る物品の販売前の出願に係る登録第879457号の類似第2号意匠に同様の円孔が穿たれた意匠がみられ、これが本件登録意匠の類似意匠として登録を受けている点を考慮すると、イ号意匠のこの形態処理が最先の創作であったものともいえず、さほど評価のできないものであり、その影響、軽微に止まるものというべきである。(ニ)の点は、微細な差異に過ぎないものであり、その影響は、微弱である。
以上の検討結果を総合的に判断すると、共通点については、(2)の点以外のものは、軽微以下に止まるものではあるが、(2)の点の影響は極めて大きいものであって、形態全体を支配し、且つ本件登録意匠の創作の要部といえるものであるのに対し、差異点の影響は、いずれも軽微以下のものに過ぎない以上、全体として共通点が差異点を凌駕しているものというべきであって、結局、イ号意匠は、本件登録意匠に類似する意匠の範囲に属するものといわざるを得ない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲 別記


判定日 1999-08-10 
出願番号 意願平4-3095 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (F2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 恭子 
特許庁審判長 森本 敬司
特許庁審判官 岩井 芳紀
伊藤 栄子
登録日 1993-07-14 
登録番号 意匠登録第879457号(D879457) 
代理人 松原 美代子 
代理人 宮滝 恒雄 
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