• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) C1
管理番号 1041685 
判定請求番号 判定2000-60151
総通号数 20 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2001-08-31 
種別 判定 
判定請求日 2000-11-17 
確定日 2001-06-06 
意匠に係る物品 電気カーペット 
事件の表示 上記当事者間の登録第1054257号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号意匠及びその説明書に示す「電気カーペットのカバー」の意匠は、登録第1054257号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1.請求人の申立て及び理由
請求人は、イ号意匠並びにその説明書に示す意匠(以下、「イ号意匠」という)は、登録第1054257号意匠(以下「本件登録意匠」という)及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求める、と申し立て、その理由を大要以下のとおり主張し、立証として甲第1号証ないし甲第11号証を提出した。
両意匠は、先行周辺意匠には見られない、枠線内の上下・左右に花を生けた花瓶を配置したり、外枠部に破れ目状の模様を施した、本件登録意匠の特徴部分において共通するのに対し、差異はいずれも微細なもので、纏まったとしても全体に及ぼす影響は軽微なもので、イ号意匠は本件登録意匠に類似する。
第2.被請求人の答弁
被請求人は、答弁書を提出していない。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成10年7月21日に意匠登録出願をし、平成11年8月6日に意匠権の設定の登録がなされた、登録第1054257号の意匠であり、願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品を「電気カーペット」とし、その形態を、別紙第一に示すとおりとするものである。
2.イ号意匠
イ号意匠は、判定請求書添付の甲第3号証に、写真版により示されたもので、意匠に係る物品について、当該写真版、及びこれを掲載した広告チラシである甲第5号証によれば、電子カーペットのカバーと認められるもので、その形態は、甲第3号証の写真版(別紙第二)により示されたとおりのものである。
3.両意匠の対比検討
両意匠を対比するに、意匠に係る物品について、本件登録意匠は「電気カーペット」とするのに対し、イ号意匠は、電子カーペットのカバーと認められるものであるが、使用の態様を同じくするものであり、意匠に係る物品は類似する。
そしてその形態について、両意匠は、縦長方形状の薄い板状材の上面全体に図柄が表されたものであり、その図柄について、(1)外周沿いに、縞柄模様、及び散点模様を配して、全体を額縁状に縁取り、この額縁部の内側を更に略菱形状に区画して、この区画の外側に、小さい図柄を散点させた縞模様を配し、区画の内側に、複数の花瓶の図柄を内向きに配し、そしてその中心に細かい格子模様を配した全体の基本的な構成とするものである点が共通し、更にその具体的な構成態様について、(2)額縁部の縞柄模様につき、外周沿いの稍幅広の帯状の部分に、帯幅方向に裂け目様の隙間を地部として残して、不規則な形の角張った小片を、周方向に密に並べたものとしている点、(3)額縁部の散点模様につき、縞柄模様の内周沿いに、地部を細帯状に残して、その幅中央に、不定形の略点様の小片を一列の等間隔に並べたものとしている点、(4)略菱形状の区画につき、菱形の角に当たる部分を直線状に切り落とし、この直線部を額縁部に略内接させたものとし、この直線部を繋ぐ斜辺状の部分を階段状に表し、これら全体を稍太い線で枠取ったものとしている点、(5)略菱形状の区画の外側の縞模様につき、区画の外側の略全面に、暗明差による太い縞を、縞の向きを全体として同じ方向に表したもので、これに散点させた小さい図柄について、略方形に枠取られたもの等、数種の抽象図柄を散点させたものとしている点、(6)略菱形状の区画の内側につき、全体を明調子の地部として、これに、花瓶の図柄、及び細格子模様を配したものである点、(7)花瓶の図柄につき、略同じ大きさのものを、上下、左右の方向から中心に向けて各々対向状に配したもので、いずれも、縦長の花瓶に先拡がり状に花が盛られた態様のもので、これを更に仔細にみると、一方向のものを両手付きの縦長の花瓶とし、他方向のものを略ラッパ口状の縦長の花瓶とし、盛られた花のシルエットを方向ごとに一致させている点、(8)花瓶の図柄の中心の細かい格子模様につき、上下左右に配された花瓶の内側の地部を埋める態様で、一回り小さく、全体を略方形状に表したものである点、等が共通する。そしてこれら共通点は、全体の基本的な構成を表すところであると共に、各部の具体的な構成態様を端的に表すものであり、相俟って全体の基調を形成しており、これら共通点は、両意匠の類否判断に、大きな影響を及ぼすものと認められる。
一方差異点として、両意匠には、(イ)花瓶の図柄の数について、本件登録意匠は左右の方向(短手方向)に1つずつ配されているのに対し、イ号意匠は2つずつ配されており、長手方向に2つ(合計4つ)並置されている点、(ロ)略菱形状の区画について、額縁部に内接する直線状の部分の長さが、本件登録意匠に対しイ号意匠は稍長いものである点、(ハ)中心の細かい格子模様について、本件登録意匠に対しイ号意匠は上下(長手方向)に長く、またその格子が、本件登録意匠のものは、モザイク状の不規則なものであるのに対し、イ号意匠は市松状の規則的なものである点、(ニ)略菱形状の区画の外側の縞模様について、本件登録意匠は、縞の向きを短手方向とし、縞は地部に対し全体を稍暗調子とした上で、更に暗明差により等幅状に区分けしたものであるのに対し、イ号意匠は、縞の向きを長手方向とし、明調子の地部を細幅状に残し、その余の太幅の部分を暗調子としたもので、更にイ号意匠は、略菱形状の枠取りに沿う部分を、幅細の枠取り状に、明調子の地部として残している点、等が認められる。
しかしながら、(イ)の点は、イ号意匠について、短手方向に並べられた4つの花瓶は、全て同形同大のものであり、本件登録意匠との差異は、単に花瓶の図柄を一単位、長手方向に繰り返したに止まるもので、この種の物品においては、例えば全体の大きさ、寸法等に応じて、同じ図柄、パターンを適宜繰り返すことは、乙第11号証に掲載されたカーペットの各部にも認められるとおり、常套的な造形手法と認められることを考慮すると、この花瓶の図柄の繰り返しの有無が、花瓶の図柄の全体に亘る、額縁部に内接させた略菱形状の区画の内側に、略同じ大きさの、先拡がり状に花が盛られたものを、上下左右の方向から中心に向けて対向状に配した、という特徴的な共通点を越えて、両意匠を別異のものにするほどのものとはなり難く、形態全体としては、該部に花瓶の図柄を配した(1)及び(7)の共通点の中での部分的な変更に止まる。そして(ロ)及び(ハ)の点は、イ号意匠において、花瓶の図柄を繰り返したことに応じて、そのまま、略菱形状の区画の直線部を長手方向に延長し、合わせて細かい格子模様を同様に延長した程度のものであって、細かい格子がモザイク状の不規則なものか、市松状の規則的なものかの差異を加味してもなお、該部に略菱形状の区画を配し、細かい格子模様を配した(1)、(4)及び(8)の共通点の中での微差に止まる。そして(ニ)の点は、いずれも、略菱形状の区画の外側の略全面に、暗明差による太い縞を、縞の向きを全体として同じ方向に表し、これに小さい図柄を散在させた(5)の共通点の中での細部の差異に止まる。
即ち、両意匠の差異は、いずれも、共通する各部の構成態様についての、部分的な差異、或いは細部の差異に止まるものであり、その差異はいずれも微弱で、相俟った効果を考慮しても、共通点が形成する全体の基調を覆すには至らず、両意匠は、意匠全体として、類似するものである。
4.結び
以上のとおりであって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2001-05-24 
出願番号 意願平10-20973 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (C1)
最終処分 成立  
前審関与審査官 水野 みな子 
特許庁審判長 山田 啓治
特許庁審判官 伊藤 晴子
市村 節子
登録日 1999-08-06 
登録番号 意匠登録第1054257号(D1054257) 
代理人 芝野 正雅 
代理人 芝野 正雅 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ