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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効としない B2
管理番号 1043420 
審判番号 審判1999-35200
総通号数 21 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2001-09-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-04-28 
確定日 2001-07-25 
意匠に係る物品 室内履き 
事件の表示 上記当事者間の登録第0996005号「室内履き」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 理 由
第1 請求人の申し立て及び理由
請求人は、登録意匠第996005号(以下、「本件登録意匠」という)の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由として以下に要点として摘記するように主張し、立証として甲第1号証乃至甲第7号証を提出した。
(請求理由の要点)
1.本件登録意匠は、甲第2号証として示す引用の登録意匠第754461号(以下、「甲号意匠」という。)と類似するものであり、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号により、無効とすべきである。
2.本件登録意匠と甲号意匠との対比
1)意匠に係る物品は、ともに「室内履き」であ るから同一物品である。
2)形態について
本件登録意匠の形態は、短靴状に踵まで覆うタイプの室内履きにおいて、
イ)パイル地からなる均一な厚みの底部、
ロ)パイル地からなる甲の縁取りの帯状部、
ハ)ジャガード機を用いてジャガード織りで製造した縦縞模様であり、その縦縞は、無地部と鳥と思われる図形を向かい合わせた幅広の模様部とハート型の図形を向かい合わせた小幅の模様部の縦縞からなり、これらの模様を繰り返し配列する甲部及び踵部、の構成からなっている。
上記構成のうち甲部及び踵部の形状及び模様は、通常室内ばきや靴で採用されるありふれたものであるから、本件登録意匠の特徴は底部と甲の縁取りの帯状部とが同じ幅で且つ同じ素材で一繋ぎに形成されているところにある。
甲号意匠の形態は、短靴状に踵まで覆うタイプの室内履きにおいて、
イ)パイル地からなる均一な厚みの底部、
ロ)パイル地からなる甲の縁取りの帯状部、
ハ)プリントにより得られたチェック模様であり、そのチェック模様は、線幅の異なるものが重なるオーバー・チェック模様である甲部及び踵部、の構成からなっている。
上記構成のうち甲部及び踵部の形状及び模様は、通常靴で採用されるものであるが、甲号意匠の要部の特徴は底部と甲の縁取りの帯状部とが、同じ幅で且つ同じ素材で一繋ぎに形成されているところにある。
3)両意匠の形態の対比
以上の通り、両意匠は、全体の基本的な構成態様が全く同じであり、両意匠の特徴であるパイル地の底部の側面と一体の甲の縁取りの帯状部を共通にしているものであるから、看者が混同を生じる類似の意匠であると言わざるを得ない。
4)室内履き及びスリッパの業界の取引の背景
該業界では、同じ形態の製品を一種類だけ製造販売することなく、基本の創作品に沿って何種類かの色違いや柄違いの製品を製造し、いわゆる品揃えをすることで、顧客のニーズに応えるようにするのが通常行われていることである。
したがって、メーカー(当業者)では、基本的な形態を変えずに、色彩や柄を置き換えて製造することは、同じ範疇に含まれるものであり、同じ意匠の製造というべきものであるから、本件登録意匠は、甲号意匠に基づいて創作された類似意匠であるとされるべきである。
これらの証拠として、写真帖カタログを甲第4号証から甲第7号証として提出し、商品の開発状況を時系列に示す。

第2.被請求人の答弁の趣旨及び理由
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、その理由として以下に要点として摘記するように主張し、立証として乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
(答弁の理由の要点)
請求人は請求理由において以下に述べる通り、両意匠の認定の誤りがある。すなわち、
1 生地の模様の創作性について
1)請求人は、ジャガード織り機や編み機を用いる模様の場合は、公知物品に取り付ける限り、種々の色彩を有する種々の模様がどんなに創作性に富んでいて美感を惹起するデザインであっても、一切創作性がない旨決めつけるものであって、不当な主張である。
2)本件の場合、甲号意匠の生地の模様は比較的ありふれた格子柄であって、余り人の注意を惹かないのに対して、本件登録意匠の生地の模様は、濃色の地に太幅と細幅の白地の縦縞を交互に配し、
太幅内には鳥を取り入れた図形を、また、細幅内にはハートの図形をそれぞれ濃色で表現してなるもので、非常にユニークなデザインであって十分創作性に富んでおり、人目を惹くものである。勿論その模様は、ジャガード織り機や編み機に由来して必然的に導き出された模様ではない。
3)当該模様部分は暗色を基調にしていて、白色の周辺パイル地に対し際立っていて、先ず看者の目を惹く部分と言えるので、この部分の存在を無視することはできない。
4)購買者の立場から観た場合、室内履きを購入する場合に選択の決め手になるのは、やはり甲から踵部にかけての生地のデザインであることも疑いのないところである。
5)従って、請求人のように、この生地の模様の違いを参酌することなく両意匠の類否を論じてみても、全く意味がないと言わざるを得ない。
2.形状について
室内履きにおいて、甲の縁取りから踵部にかけて同一幅で同一素材の帯状部を配した意匠は、甲号意匠の出願前から存在しており(例えば、乙第1、2号証)、本件登録意匠及び甲号意匠も、広い意味でこれらと同一範疇のデザインと言うことができる。
3.よって、本件登録意匠と甲号意匠とは非類似であって、本件登録意匠を以て意匠法第3条第1項第3号の規定に該当する登録を受けることができない意匠ということはできない。
第3 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成7年7月14日の出願であって、平成9年7月11日に意匠権の設定の登録がなされたものであって、願書の記載及び願書添付の図面代用写真に現されたものによれば、意匠に係る物品を「室内履き」とし、その形態は、別紙第一のとおりのものである。
2.甲号意匠
甲号意匠は、請求人提出の甲第2号証として示す本件登録意匠を無効とすべき理由に引用した、本件登録意匠の出願前の昭和64年2月8日に頒布された登録第754461号意匠公報に係る意匠であって、同公報の記載によれば、意匠に係る物品を「室内ばき」とし、その形態は、別紙第二のとおりのものである。
3.本件登録意匠と甲号意匠の類否判断
(1)両意匠の対比
本件登録意匠と甲号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品は共に室内履きであるから一致し、形態については、次のとおりの共通点及び差異点が認められる。
すなわち、両意匠は、1)全体を、踵まで覆う短靴型の室内履きとしたものであって、2)その側面視において、略中央の履き口の前端を境に、甲被を前・後方面に略二等分し、その境界部と底部周縁に帯状のパイル地を施し、また、履き口上縁からその内方全面をパイル地とし、3)甲被全面に模様を施した構成態様が、主に共通している。
他方、差異点としては、ア)甲被全面に施された模様について、本願意匠は、暗調子の地に、明調子の太幅と細幅の帯を複数本交互に等間隔に配して成る縦縞模様であって、太幅帯内には対向する略鳥型の図形を長手方向に連続する模様を配し、また、細幅帯内には対向するハートの図形を長手方向に連続する模様を配し、それらの各図形を暗調子とし、また、側面視、甲被前面では横縞模様状に、甲被後面では縦縞模様と現れるように配設しているのに対して、甲号意匠は、明調子の地に、暗調子の2本の線幅の異なる線を重ねてなるやや細かいオーバー・チェック模様である点、イ)パイル地部の明暗調子について、本件登録意匠は、パイル地部全面を明調子としているのに対して、甲号意匠は、パイル地帯状部を暗調子とし、履き口上縁から内方全面のパイル地を明調子としている点、が主に認められる。
(2)両意匠の比較検討
そこで、これらの両意匠の一致点、共通点及び差異点のそれぞれが類否判断に及ぼす影響について検討すると、 共通点1)の、全体を踵まで覆う短靴型の室内履きとした点は、この種物品においてこのような態様は両意匠出願前より普通にみられるものである(例えば、意匠登録第653380号、同672266号)から、この点を両意匠独自の特徴とはいえず、類否判断の要素として重視することができないもので、その影響は微弱に止まるものである。
共通点2)の、パイル地を、側面視甲被略中央の境界部と底部周縁に帯状に施し、また、履き口上縁から内方全面に施している点については、この種物品の意匠において、その構成各部特に履き口周縁及び履き口内方全面等にパイル地を施すこと自体は、被請求人提出の乙号証も含め従来より比較的多く存在することから、両意匠のみの特徴といえず、また、該境界部及び底部周縁に施された帯状パイル地も、この種物品において存在(例えば、意匠登録第703607号)することからこの共通点は、さほど高く評価できず、類否判断上の要素として軽微なものに止まるものといえる。
なお、短靴型に帯状パイル地の該境界部及び底部周縁を組み合わせた室内履きは、甲号意匠の出願前に見当たらないけれども、この点は、ありふれた同士を単に組み合わせただけにすぎず、いまだ高く評価できないものである。
共通点3)の甲被全面に模様を施した点については、この種物品において、従前より例示するまでもなく極普通に行われていることから、類否判断の要素として、微弱なものといわざるを得ない。
続いて、上記差異点のそれぞれが両意匠の類否判断に及ぼす影響について検討すると、
差異点ア)の、甲被全面における模様にみられる差異は、まず、この種物品分野において、従来より物品の性格上甲被に施された模様は、視覚的効果が大きいことから類否判断上の主要な要部と認められているところであるが、その主要部において、本件登録意匠は前記したように従前には見られない本件登録意匠の特徴を表出する模様であるのに対して、甲号意匠は比較的ありふれたチェック模様であることから、意匠全体として観た場合、この差異は、被請求人も主張のように購買者等看者にとって最も注意をひく部位で、しかも主要部における顕著な差異といい得ることから、類否判断に相当な影響を及ぼすものというべきである。
差異点イ)の、パイル地部の明暗調子にみられる差異については、この種物品の意匠において、一つの構成態様をベースとして各部の明暗調子を変更すること自体は、従来より普通に行われている常套的な手法であるからさほど評価できないものの、甲被全面に施された模様の明暗調子と相俟って、特に、本件登録意匠の縦縞模様のうち明調子の太幅帯複数本と、境界部及び底部周縁の明調子のパイル帯地との組合せによる太細2種類の幅の明調子帯の構成は、新たな模様的効果が生じると同時に、共通する形状が希薄化されてしまうことから、視覚上一定の差異感を呈するものと評価され、類否判断においても一定の影響を及ぼすものというべきである。
以上のとおりであるから、上記の各共通点の検討結果を総合して、共通点が全体の類否に及ぼす影響を計ると、到底支配的とまでとはいえず、全体として軽微なものに止まるというべきである。
一方、これらの差異点が相俟って両意匠の類否判断に相当の影響を及ぼすものとするのが妥当である。
そうすると、共通点が両意匠の類否に及ぼす影響が軽微にとどまるのに対し、差異点は、その影響が相当のものである以上、差異点が共通点を凌駕して、両意匠は、類似しないものといわざるを得ない。
なお、請求人は、弁駁書を提出し、甲第4号証の写真帖所載の商品番号19402、同19102、同19103に係る室内履きの各意匠は、本件登録意匠出願前に公知で本件登録意匠に類似する旨主張するが、それらの各意匠の公知性はともかく、それらの各意匠は、上記の甲号意匠と同様な類否判断により本件登録意匠とは類似しないものと認められる。
4.むすび
以上のとおり、本件登録意匠は、甲号意匠に類似するものといえないから、請求人の提出した証拠を以て、意匠法第3条第1項第3号に該当するということはできないから、その登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2001-05-18 
結審通知日 2001-05-29 
審決日 2001-06-12 
出願番号 意願平7-20431 
審決分類 D 1 11・ 113- Y (B2)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 渡邊 久美 
特許庁審判長 山田 啓治
特許庁審判官 藤 正明
伊藤 晴子
登録日 1997-07-11 
登録番号 意匠登録第996005号(D996005) 
代理人 梅村 莞爾 
代理人 齋藤 晴男 

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