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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) C3
管理番号 1047120 
判定請求番号 判定2001-60002
総通号数 23 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2001-11-30 
種別 判定 
判定請求日 2001-01-10 
確定日 2001-09-19 
意匠に係る物品 布団用除湿具 
事件の表示 上記当事者間の登録第968609号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「布団用除湿具」の意匠は、登録第968609号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第一 請求人の申立及び理由
請求人は、「結論同旨の判定を求める。」と申し立て、その理由として要旨以下のとおり主張し、証拠として甲第1号証乃至甲第5号証を提出した。
1.本件登録意匠とイ号意匠との対比
本件登録意匠とイ号意匠とを対比すると、意匠に係る物品がともに「布団用除湿具」である点で同一である。
また、意匠に係る形態においても、基本的態様である次の点において共通するものである。
(1)すのこ状枠体の枠内に箱状引き出しを前後方向に向けてスライド自在に収容して、全体として矩形箱型状に形成している。
(2)すのこ状枠体は、一定間隔を保持して配設した左右一対の側板の上端縁間に複数の細幅のすのこ板を同すのこ板の縦幅よりも小さい間隔を開けて架設するとともに、側板の後端部間に後側板を取り付けて、平面視で長方形状で、正面視で略門型形状の枠体を形成し、更には、各側板の内側下端縁に細幅状のガイド板を側板に沿わせて取り付けている。
(3)箱状引き出しは、すのこ状枠体の横幅より狭い間隔を保持して配設した左右一対の内側板の下端間に長方形状の底板を取り付け、内側板の前後端間に前側板及び後側板をそれぞれ取り付けて、全体として上方開放の矩形箱型に形成している。
(4)箱状引き出しの前側板の略中央部には、指掛かり孔を形成している。
本件登録意匠とイ号意匠では、詳細に観察すると具体的構成態様である次の点で異なっている。
(イ)本件登録意匠では、すのこ状枠体の側板の上端縁間に10枚のすのこ板を取り付けているのに対し、イ号意匠では、すのこ状枠体の側板の上端縁間に8枚のすのこ板を取り付けており、すのこ板の枚数が異なっている。
(ロ)本件登録意匠では、すのこ状枠体を平面視で横幅の2.4倍の縦幅を有する縦長の長方形状に形成しているのに対し、イ号意匠では、すのこ状枠体を平面視で横幅の約1.8倍の縦幅を有する縦長の長方形状に形成しており、すのこ状枠体の平面形状が異なっている。
(ハ)本件登録意匠では、箱状引き出しの前側板の略中央部に円形状の指掛かり孔を形成しているのに対し、イ号意匠では、箱状引き出しの前側板の略中央に横長円形状の指掛かり孔を形成しており、指掛かり孔の形状が異なっている。
(ニ)本件登録意匠では、箱状引き出しの底板の中央に仕切り体を取り付けているのに対し、イ号意匠では、箱状引き出しの底板に仕切り体を設けておらず、仕切り体の有無が異なっている。
(ホ)本件登録意匠では、箱状引き出しの底板に貫通孔を設けていないのに対し、イ号意匠では、箱状引き出しの底板に貫通孔を形成しており、貫通孔の有無が異なっている。
2.イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属することの説明
(1)本件登録意匠とイ号意匠とを対比すると、意匠に係る物品が同一であり、しかも、意匠の基本的構成態様において共通する。
(2)前述した意匠の具体的構成態様における差異は、些細な差異にすぎず、以下に述べるように本件意匠とイ号意匠とを類似と判断するのに何ら支障となる差異ではない。
(イ)すのこ板の数の相違について、すのこ状枠体のすのこ板の枚数が異なるからといっても、通常、布団用除湿具の取引者や需要者は、すのこ板の枚数を数えるまでもなく、それをすのこ状に形成された枠体であると認識するのであって、すのこ板の枚数の相違によって需要者に異なる印象を与えることはない。
(ロ)すのこ状枠体の幅の比率について、布団用除湿具を設置する押入の奥行きにあわせて設定されるものであり、押入には、江戸間、京間等様々な種類のものがあり、それぞれ奥行きが異なっていることから、すのこ状枠体の縦幅は、布団用除湿具を製造する者が適宜選択するものである。そのため、すのこ状枠体の縦幅と横幅との比率を異ならせて、すのこ状枠体の平面形状を相違させることには何ら創作性は認められず、需要者がすのこ状枠体を目視した場合には、それが広く知られている縦長箱型状の「すのこ」であると認識するだけである。したがって、すのこ状枠体の平面形状が相違していても、需要者に異なる印象を与えることはない。
(ハ)指掛かり孔の差異については、布団用除湿具を全体観察した場合に、箱状引き出しの前側板に形成されている細部でしかなく、しかも、円形状と横長円形状といった極めて近似した形状の差異であるため、指掛かり孔の形状の相違によって需要者に異なる印象を与えることはない。
(ニ)仕切り体の有無については、仕切り体は、箱状引き出しの底板に取り付けられていることから、すのこ状枠体の内部の隠れた位置にあり、布団用除湿具を外部から観察した場合には、すのこ板の隙間からしか目視することができず、需要者にとって暗くて見にくい位置にあるため、仕切り体の有無によって需要者に異なる印象を与えることはない。
(ホ)貫通孔の有無については、貫通孔も、箱状引き出しの底板に形成されていることから、すのこ状枠体の内部の隠れた位置にあり、布団用除湿具を外部から観察した場合には、すのこ板の隙間からしか目視することができず、しかも、ほとんどの貫通孔がすのこ板によって遮られて外部から観察することができず、需要者にとって暗くて見にくい位置にあるため、貫通孔の有無によって需要者に異なる印象を与えることはない。
なお、すのこ状の乾燥具に関して、本件登録意匠の出願前の公知意匠として、甲第4号証、甲第5号証を提出する。(これらは、現在福岡地方裁判所に係属している本件意匠権の侵害訴訟事件において、本判定請求事件の被請求人たる被告が提出した出願前公知の公開公報である。)
これらの公報はいずれも上面がすのこ状に構成されて、その下方に引き出し自在に乾燥剤や防虫剤等入りの箱体を収納したものであり、技術思想的には本件登録意匠に近いものであるが、意匠本来の物品の形状としてみると本件登録意匠と甲第4、5号証とは形状が全く異なる。
換言すれば、かかる甲第4、5号証との相違部分が本件登録意匠の要部とも考えられ、かかる観点からイ号図面及び説明書に記載のイ号意匠をみると、イ号意匠は本件登録意匠の要部を具備し、両意匠は形状的に類似することは明らかである。
3.むすび
以上のように、本件登録意匠とイ号意匠とは、意匠に係る物品が同一であり、しかも、意匠の基本的構成態様を共通にしており、本件登録意匠とイ号意匠とを需要者の立場で全体観察した場合には、意匠の具体的構成態様における差異は微差にすぎず、時と場所とを異にして需要者が見た場合、これらを混同することは明白であり、両意匠は、共通の美観を生起し類似する意匠と判断することができ、
従って、イ号図面及びその説明書に示す意匠は、登録第968609号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するものである。
第二 被請求人の答弁及び理由
被請求人は、「イ号図面及びその説明書の示す意匠は、登録第968609号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない、との判定を求める。」と答弁し、その理由として要旨以下のように反論した。
1.公知意匠の存在
意匠の類否は、物品の性質、目的、用途、使用態様等を考慮して、看者の注意を惹く部分(要部)を認定し、この部分を中心に意匠の全体を観察して、看者に異なった美観を与えるか否かによって判断されるのが一般的であるが、要部の把握に当たって、公知意匠、類似意匠を参酌することは、多くの裁判例にみられるところであり、原則として、登録意匠のうち、公知意匠との関係で創作性のある新規な部分や、登録された類似意匠と共通する部分が要部として把握されることになる。
2.甲第4号証意匠の形態
甲第4号証意匠に係る形態は次のとおりである。
(1)すのこ状枠体の枠内に箱状引き出しを前後方向に向けてスライド自在に収容して、全体として矩形箱形状に形成している。
(2)すのこ状枠体は、一定間隔を保持して左右及び中央に配設した側板の上端縁間に、細幅のすのこ板を同すのこ板の縦幅よりも小さい間隔を設けて架設し、正面図で略門型形状を形成している。
(3)箱状引き出しは、すのこ状枠体の側板の間隔より狭い間隔を保持して配設した左右一対の内側側板の下端間に長方形状の底板を取り付け、内側板の前後端間に前側板及び後側板をそれぞれ取り付けて、全体として上方開放の矩形箱型に形成している。
3.本件登録意匠の要部
本件登録意匠の要部は、公知意匠である甲第4号証との関係で創作性のある新規な部分である。従って、甲第4号証意匠と本件登録意匠とで類似する部分は創作性がなく、要部とならないことは明らかである。上記2の(1)(2)(3)の点において、本件登録意匠は甲第4号証意匠と明らかに類似するので本件登録意匠の構成のうち、これらの点が要部とならないことは明らかである。
ところで、本件登録意匠は縦長のすのこ状枠体であるのに対して、甲第4号証は横長のすのこ状枠体であり、この点で相違している。しかし、本件登録意匠において縦長すのこ状形態にしたということには創作性はない。というのは、本件登録意匠に係る物品は、布団用除湿器であり、本物品は押入の棚上に設置し、その上に布団を折り畳んで置く物である。従って、縦長のすのこ状枠体である本件登録意匠にかかる本物品は、それを2枚並べて使用する。他方、甲第4号証に係る物品は、1枚で使用することができるのである。すなわち、本件登録意匠の物品は甲第4号証の物品を半分にし、実際に使用する場合には2枚並べて使用するようにしたに過ぎない。このように甲第4号証意匠を半分にすることは、保管あるいは運送の便宜上自ずと考案されたことに過ぎず、そこに創作性や美的価値を認めることはできない。
以上により、前記(1)(2)(3)という基本形状に本件登録意匠の特徴、要部があるということはできない。従って、本件登録意匠の要部は、上記基本形状に付帯するところの「すのこ状枠体における、すのこ板が10枚であること、側板の後端部間に後側板を取り付けて、平面視で縦幅が横幅の約2.4倍であること。箱状引き出しの前側板の略中央部には、円形状の指係り孔を形成していること、箱状引き出しの底板の中央には、仕切り体を取り付けていること」の外観に本件登録意匠の要部を求めるほかない。
4.本件登録意匠とイ号意匠との相違点
被請求人は、イ号意匠の物品及び形態についての請求人の主張を争うものではない。従って、本件登録意匠とイ号意匠とでは、請求人が指摘するように、全く同様の点において異なっている。
5.イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属さないことの説明
意匠の類否は、物品の性質、目的、用途、使用態様等を考慮して、看者の注意を惹く部分(要部)を認定し、この部分を中心に意匠の全体を観察して、看者に異なった美観を与えるか否かによって判断される。そして本件登録意匠は、本件公知意匠との関係で、基本形状に付帯するところの「すのこ状枠体における、すのこ板が10枚であること、側板の後端部間に後側板を取り付けて、平面視で縦幅が横幅の約2.4倍であること。箱状引き出しの前側板の略中央部には、円形状の指係り孔を形成していること、箱状引き出しの底板の中央には、仕切り体を取り付けていること」の外観に本件登録意匠の要部を求めるほかない。そして、本件登録意匠とイ号意匠の相違点において記述したように、後側板があるほかは、その要部の全てにおいて相違している。従って、本件登録意匠の要部を中心に意匠全体を観察した場合、看者に異なった美観を与えるものであることは明らかである。
6.結び
従って、イ号図面及びその説明書の示す意匠は、登録第968609号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しないので、答弁の趣旨どうりの判定を求める。
第三 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成6年12月14日の出願に係り、平成8年8月16日に登録の設定がなされた登録第968609号意匠であり(日本国特許庁が、平成8年11月19日に発行された意匠公報に記載)、その願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品が「布団用除湿具」であって、その形態が、同添付図面に示されるとおりのものである(別紙第一参照)。
2.イ号意匠
イ号意匠は、本件判定請求書に添付されたイ号説明書及び添付イ号図面の記載(甲第3号証)によれば、意匠に係る物品が「布団用除湿具」であって、その形態が、同イ号図面に示されるとおりのものである(別紙第二参照)。
3.両意匠の対比
そこで、両意匠を対比すると、両意匠の意匠に係る物品は、共に「布団用除湿具」であって一致し、その形態について、以下の共通点及び差異点が認められる。
[共通点]
基本的構成態様において、全体が、左右一対の側板の上端に、多数の横長長方形板状の簀の子板を等間隔に架け渡して、扁平な略縦長矩形状の簀の子状枠体を形成し、その簀の子状枠体の枠体内一杯に、略縦長矩形状の浅い箱状の引き出しを、その前後方向にスライド自在に収容したものである点、
また、その具体的態様において、
(1)簀の子状枠体について、その平面視の縦横比を略2:1とし、簀の子板を、その縦幅の略1/2の幅の隙間を空けて等間隔に配し、その両端を側板から僅かに突出させて形成したものであり、また、側板を断面略「L」形状として、その下端の突出部を引き出しのガイド板とし、底板を設けていない点、
(2)引き出しについて、前面板が両側板間にぴったり填る態様に形成し、その前面板の中央上方寄りに、指掛け孔を設けている点、が共通している。
[差異点]
一方、両意匠は、具体的態様において、
(イ)簀の子状枠体について、本件登録意匠は、簀の子板を10枚とし、枠体の縦幅が横幅の2倍強のものであるのに対し、イ号意匠は、簀の子板を8枚とし、縦幅が横幅の2倍弱のものである点、
(ロ)引き出しについて、イ号意匠は、その底板全体に縦横略等間隔に貫通孔を設けているのに対し、本件登録意匠は、貫通孔のない平板状のものとし、引き出しの前後略中央に仕切り板を設けている点、
(ハ)指掛け孔について、本件登録意匠は、小さな円形孔であるのに対し、イ号意匠は、長円形状の孔である点、に差異がある。
4.類否判断
そこで、これらの共通点および差異点を総合的に検討すると、先ず、両意匠に共通する基本的構成態様の点、すなわち、全体が、左右一対の側板の上端に、多数の横長長方形板状の簀の子板を等間隔に架け渡して、扁平な略縦長矩形状の簀の子状枠体を形成し、その簀の子状枠体の枠体内一杯に、略縦長矩形状の浅い箱状の引き出しを、その前後方向にスライド自在に収容したものである点は、形態の大部分を占めて形態上の主要部を形成し、意匠全体の基調を成すところであって、両意匠の類否判断の支配的要素というべきである。また、具体的態様の共通点、特に、(1)の簀の子状枠体について、その平面視の縦横比を略2:1とし、簀の子板を、その縦幅の略1/2の幅の隙間を空けて等間隔に配し、その両端を側板から僅かに突出させて形成したものであり、また、側板を断面略「L」形状として、その下端の突出部を引き出しのガイド板とし、底板を設けていない点は、基本的構成態様の共通点と相俟って、両意匠の類似感を表出しており、その類否判断に及ぼす影響は、大きいというべきである。
なお、審判被請求人は、「本件登録意匠の要部は、甲第4号証、甲第5号証に示されている公知意匠との関係で、創作性のある新規な部分だけである。従って、甲第4号証及び甲第5号証と本件登録意匠とで類似する部分は創作性がなく、要部とならない。」旨主張する。
しかしながら、意匠の類否判断においては、その各部を構成する形態について評価し、その類否判断に及ぼす影響を判断するとしても、最終的には、具体的に現されたそれらの態様を、意匠全体として総合的に判断をするものであって、先行公知意匠に見られる部分を要部から除外する判断手法は採用することはできない。
また、甲第4号証及び甲第5号証について、いずれも上面が簀の子状に構成されており、その下方に乾燥材や防虫材等を入れるための箱体又は引き出し等を収納したものであり、技術思想的には本件登録意匠に近いものであるが、甲第4号証の意匠の形態は、平面視の横幅が本件登録意匠の略2倍であり(簀の子状枠体が左右側板と中央側板とによる構成であり、箱状引き出しを2つ並列した態様のもの)、また、横長の簀の子状枠体と引き出し(箱体)とは別体となっており、本件登録意匠のように一体となった形態を構成しておらず(ガイド板によるスライド機構を有しない。)、また、甲第5号証の意匠の形態も、同様に横幅が本件登録意匠の略2倍あり、横長の簀の子状枠体内に、乾燥剤保持面及び防虫粘着剤塗布面を有する板状体を、切り欠き溝機構により引き出し自在に収納しているものであり、その他の実施例においても、引き出しの形態が本件登録意匠の引き出しとは相違しており、いずれも、基本的構成態様及び具体的態様において、本件登録意匠とは顕著な差異が認められる。したがって、被請求人の主張は当を得ず、本件登録意匠とイ号意匠の基本的構成態様及び具体的態様の共通点は、その各々が格別特徴ある態様とはいえないとしても、それらが纏まった全体的形態は、本件登録意匠の出願前には見られず、本件登録意匠の特徴というべきであって、その類否判断に及ぼす影響は、大きいというべきである。
一方、差異点(イ)の簀の子状枠体について、本件登録意匠が、簀の子板を10枚とし、枠体の縦幅が横幅の2倍強であり、イ号意匠に比べて縦長のものである点の差異であるが、両意匠は共に、その平面視の縦横比を略2:1とした扁平な略縦長矩形状という共通点の中での2倍強か2倍弱かの相違であり、押入の大きさに対応して通常行われる変更の範囲内の差といえ、また、簀の子板の枚数の差についても、それは簀の子状枠体の縦幅の長さの変更に伴い、これに付随してその枚数が適宜選択されるものであり、両意匠における枚数差も僅か2枚であって、枠体全体の印象を著しく変更するものとはいえず、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない。また、(ロ)引き出しについて、イ号意匠は、その底板全体に縦横略等間隔に貫通孔を設けている点の差異であるが、イ号意匠の底板の貫通孔は、底板全体に縦横略等間隔に極めてありふれた小円形孔を設けたもので、看者の注意をさほどに強く惹くものでなく、簀の子板によって遮られて外部から見えにくいものであることを考慮すると、両意匠を別異のものとするほどの差異とはいえない。また、本件登録意匠は、引き出しの前後略中央に仕切り板を設けているが、それは、乾燥剤袋の中仕切りとして設けたものであり、簀の子板の隙間から僅かに視認できる程度の目立たないものであって、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない。また、(ハ)の指掛け孔の差異は、ともに前面板の中央上方寄りに、指掛け孔を設けた点では共通しており、その孔を円形孔としたか長円形状の孔としたかの僅かな差異であって、その類否判断に及ぼす影響は、微弱である。
そうして、上記の差異点が相俟って、相乗効果を生じることを考慮しても、イ号意匠は、意匠全体として、本件登録意匠にない格別の特異性が認められず、前記の差異点が、両意匠の類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない。
以上のとおりであって、イ号意匠と本件登録意匠は、意匠に係る物品が一致しており、その形態について、共通点は類否判断に及ぼす影響が大きく、差異点は類否判断に及ぼす影響が微弱なものであるから、共通点が差異点を凌駕し、結局のところ両意匠は類似するというべきである。
第四 むすび
したがって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲

判定日 2001-09-07 
出願番号 意願平6-38370 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (C3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 生亀 照恵 
特許庁審判長 吉田 親司
特許庁審判官 西本 幸男
伊藤 晴子
登録日 1996-08-16 
登録番号 意匠登録第968609号(D968609) 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 森田 順之 
代理人 岡澤 英世 
代理人 内野 美洋 

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