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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 C6
管理番号 1062976 
審判番号 不服2001-844
総通号数 33 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2002-09-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-01-19 
確定日 2002-07-18 
意匠に係る物品 箸 
事件の表示 平成11年意匠登録願第 32901号「箸」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願の意匠
本願の意匠は、平成11年11月29日の意匠登録出願に係り、その願書及び願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品が「箸」であり、その形態が、同添付図面のとおりである(別紙第一参照)。
すなわち、箸を、実線、破線及び一点鎖線で表したものであり、その中、一点鎖線により区切られた部分(以下、「把持部分」という。)を実線で表し、部分意匠の意匠登録を受けようとするものである。
すなわち、その形態について、全体が、徐々に先細りとなる断面角丸方形状の細い棒体2本を一対とした態様のものである。
その実線で表された部分の形態について、一膳揃えた状態の正面図において、2本とも、正面視上から略1〜2/5部分(把持部分)であり、(1)左側の把持部分につき、区切られた把手部分の略中央から下方を、緩やかな凹弧状に、横断面視右側(内側)の角丸部からその対角線方向に、その幅の略1/3程度抉った態様のものとし、(2)右側の把持部分につき、区切られた把手部分の略中央から上方を、緩やかな凹弧状に、横断面視右側(外側)の角丸部からその対角線方向に、その幅の略1/3程度抉った態様のものとし、使用時において、その抉り部が、斜め方向に配置されて親指に当接する態様のものである。
2.引用の意匠
これに対して、原審が拒絶の理由に引用した意匠は、その出願前に、特許庁が発行した公開実用新案公報に記載された平成7年実用新案出願公開第17171号(平成7年3月28日に公開)の図1の箸の意匠の把持部分であって、その形態が、同公報に示されるとおりである(別紙第二参照)。
その形態について、全体が、徐々に先細りとなる断面円形状の細い棒体2本を一対のものとし、正面視上から略1〜2/5の部分(把持部分)を、緩やかな凹弧状に、その径の略1/2程度抉った態様のものとし、使用時において、その抉り部に、親指が当接する態様のものである。
3.対比
まず、両意匠は、意匠に係る物品が共通しており、意匠登録を受けようとする「把手部分」と、それに対応する引用意匠の「把手部分」の形態について、以下の共通点と差異点が認められる。
[共通点]
全体が、徐々に先細りとなる細い棒体2本を一対のものとし、正面視上から略1〜2/5の部分(把持部分)を、緩やかな凹弧状に抉った態様のものとし、使用時において、その抉り部に親指が当接する点が共通している。
[差異点]
一方、本願意匠と引用意匠とは、
(イ)棒体の横断面につき、本願意匠は、角丸方形状であるのに対し、引用意匠は、円形状である点、
(ロ)抉り部について、本願意匠は、棒体の断面視右側の角丸部からその対角線方向に抉ったもので、また、使用時に、その抉り部が斜め方向に配置されるのに対し、引用意匠は、断面視円形状を直径方向に抉ったもので、使用時に、その抉り部が平行に配置される点、
4.類否判断
そこで、上記の共通点及び差異点が、両意匠の類否判断に及ぼす影響について検討する。
まず、両意匠の共通点、すなわち、全体が、徐々に先細りとなる細い棒体2本を一対のものとし、正面視上から略1〜2/5の部分(把持部分)を、緩やかな凹弧状に抉った態様のものとし、使用時において、その抉り部に親指が当接する点は、形態の骨格をなすところであるが、把手部分を窪ませ又は抉る等により、箸の握りを良くすることは、この種の物品において、極普通になされており、また、親指が当接する態様に格別の特異性がなく、その類否判断に及ぼす影響は、微弱なものといわざるを得ない。
一方、差異点(イ)は、箸の横断面が角丸方形状か円形状かの差異であるが、共に箸の横断面として極普通のもので、そのこと自体に格別の差異はない。しかしながら、(ロ)の抉り部について、本願意匠が、棒体の断面視右側の角丸部からその対角線方向に抉ったものである点は、引用意匠が、単に断面円形状の直径方向に抉ったものに比べて、一定の意匠的効果が認められ、さらに、本願意匠は、使用時において、その抉り部が、斜め方向に配置される点と相俟って、本願意匠の特徴をなしており、その類否判断に相当の影響は、大きいというべきである。
以上の通りであって、両意匠は、意匠に係る物品は共通しているが、その形態について、両意匠の差異点は、相俟って類否判断に大きな影響を及ぼすものと認められるのに対し、共通点は、類否判断に及ぼす影響が微弱なものであり、結局、差異点が共通点を凌駕する両意匠は類似するものとすることができない。
5.まとめ
したがって、本願意匠は、引用意匠に類似せず、意匠法第3条第1項第3号の規定に該当しないものであるから、本願意匠を原査定の拒絶理由によって、拒絶すべきものとすることはできない。
また、他に本願について拒絶の理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審決日 2002-06-25 
出願番号 意願平11-32901 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (C6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 樋田 敏恵木村 智加 
特許庁審判長 吉田 親司
特許庁審判官 伊藤 晴子
西本 幸男
登録日 2002-08-23 
登録番号 意匠登録第1155512号(D1155512) 
代理人 廣瀬 光司 

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