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審決分類 審判 無効  2項容易に創作 無効とする L3
管理番号 1070653 
審判番号 無効2002-35027
総通号数 38 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-02-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2002-01-28 
確定日 2003-01-06 
意匠に係る物品 道路用防獣さく 
事件の表示 上記当事者間の登録第1129869号「道路用防獣さく」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1129869号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第一 請求人の申立及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由として大要以下に示すとおり主張した。
無効とすべき理由
本件登録意匠は、甲第1号証に記載の公知意匠に基づいて容易に創作することができたものであり、意匠法第3条第2項の規定に違反して登録されたものであり、意匠法第48条の規定により無効にされるべきものです。

甲第1号証 実用新案登録第3041701号公報

第二 被請求人の答弁
被請求人は、「本件意匠登録無効の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由として大要以下のとおり主張し、乙第1号証ないし乙第8号証を提出した。
請求人は、本件登録意匠は、甲第1号証の図1の意匠に図2に記載の中間連結部材の1組を組み合わせたものに過ぎず、公知の意匠を慣用的な手法により寄せ集めたものに過ぎないため、意匠法第3条第2項に違反すると主張する。
しかし、本件登録意匠は、2本一対の横線材群が上段と中段と下段に配設されており、上段と中段の間隔は中段と下段の間隔と同一としている。
これに対して甲第1号証の図1は中段の横線材がなく、看者に最も印象の強い部分たるフェンスの中央部分は縦線材だけしか存在しない。
甲第1号証の図2の意匠は、図1の意匠のような単なるフェンス体のみの意匠の図示ではなく、フェンス体を支柱部材や有刺鉄線により組み立てて実施した状態の図面であるから、係る実施の全体意匠として把握しなければならず、図2の全体意匠からその意匠の構成部材たる中間連結部材の1組の意匠だけを取り出して図1の意匠と組み合わせることはできない。
また、図2の意匠からフェンス本体の形状のみを抽出してフェンス形状を仮想したとしても、フェンス本体における中間連結部材の1組もフェンス本体の一部材であり、図2の意匠に完全に一体化されたものであり、一物品として把握されるフェンス本体からその一構成部材を抽出することは一物品の形状を本質とする意匠の本質をないがしろにする行為である。
乙第2号証の1ないし3、乙第3号証の1、3、乙第5号証の1ないし3、乙第6号証の1、3、5、6、乙第7号証の1、7、9ないし13、乙第8号証の1ないし5がそれぞれ独立して登録されていることからも、甲第1号証の図1と図2との組み合わせそのものが容易でないことを示している。

第三 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成11年9月22日に意匠登録出願し、平成13年11月2日に意匠登録第1129869号として登録の設定がされたものであり、願書及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「道路用防獣さく」とし、その形態を添付された図面に示すとおりとしたものである(別紙第1参照)。
すなわち、その形状は、
(ア)全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は42本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、上部連結部材及び下部連結部材として上下間隔幅狭の2本一組を一段として上端寄り及び下端寄りに水平に二段配し、その中央に中間連結部材として上下間幅狭の2本一組の一段を、隣り合う縦線材の左右の間隔の略10倍長の幅広等間隔で水平に配したもので、
(イ)上記縦線材の間隔と、横線材各段の上下の間隔を略同長とし、
(ウ)縦線材の上下端部及び横線材の左右端部に、それぞれ上下左右方向に突出した余地部を形成し、特に下端部の余地部は、上記縦線材の間隔の略4倍長として土中に埋設のための突出部を形成したものである点が認められる。

2.甲号意匠(甲第1号証)
甲第1号証の意匠は、平成9年7月9日、特許庁が発行した登録実用新案公報に掲載された実用新案登録第3041701号の防獣用フェンス及び防獣用フェンス構造体であって、その形態は、同公報に記載されたものである。(別紙第2参照)
(1)その図1に掲載の意匠の形態は、
(ア)全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は41本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、上部連結部材及び下部連結部材として上下間隔幅狭の2本一組を一段として上端寄り及び下端寄りに水平に二段配したもので、
(イ)隣り合う縦線材の左右の間隔と、横線材各段の横線材の上下の間隔を略同長とし、
(ウ)縦線材の上下端部及び横線材の左右端部に、それぞれ上下左右方向に余地部を残し、特に下端部の余地部は、上記縦線材の間隔の略3倍長とした点が認められる。
(2)図2に掲載の意匠の形態は、
(ア)全体が、縦線材と横線材で竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は40数本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、上部連結部材及び下部連結部材として上下間隔幅狭の2本一組を一段として上端寄り及び下端寄りに配し、その中間に、中間連結部材として横線材を上下間隔幅狭の2本一組を一段として、隣り合う縦線材の左右の間隔の略6倍長のやや幅広等間隔で三段配したもので、
(イ)隣り合う縦線材の左右の間隔と、上部連結部材、下部連結部材及び中間連結部材としての各段の横線材の上下の間隔を略同長とし、
(ウ)縦線材の上下端部及び横線材の左右端部に、それぞれ上下左右方向に余地部を残し、特に下端部の余地部は、上記縦線材の間隔の略3倍長として土に埋設のための突出部を形成した点が認められる。
(3)更に、実用新案登録請求の範囲の請求項2に「(前略)上部連結部材と下部連結部材との間に、水平方向に設けてある所用数の中間連結部材とを備えており、(後略)」との記載があるものである。

3.本件登録意匠の創作容易性についての判断
(1)甲第1号証の図1から、
(ア)全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は40数本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、上部連結部材及び下部連結部材として横線材を上下間隔幅狭の2本一組を一段として上端寄り及び下端寄りに水平に二段配したもので、
(イ)隣り合う縦線材の左右の間隔と、横線材各段の横線材の上下の間隔を略同長とし、
(ウ)縦線材の上下端部及び横線材の左右端部に、それぞれ上下左右方向に余地部を残し、特に下端部の余地部は、各縦線材の間隔の略3倍長として土に埋設のための突出部を形成した「防獣用さく」の形状が、出願前、公然知られていたことが認められる。
(2)甲第1号証の図2から
(ア)横線材2本一組を一段として上部及び下部に連結部材として設けた上下段の間隔(中間部)に横線材2本一組を一段とした中間連結部材を複数段幅広等間隔に設けた形状が公然知られた形状であることも明らかである。
そして、甲第1号証の請求項に記載の「(前略)上部連結部材と下部連結部材との間に、水平方向に設けてある所用数の中間連結部材とを備えており、(後略)」との記載から、上端寄り及び下端寄りに設けた上部連結部材及び下部連結部材の上下間(中間部)に2本一組を一段とする中間連結部材を複数段配すること、及びその段数は使用態様に合わせて設けることは、出願前公然と知られていたことが明らかである。
そうであるから、本件登録意匠は、その2本一組からなる中間連結部材の所用数を一段としたまでの創作であって、出願前に公然知られた甲第1号証の意匠に基づいて容易に創作することができたものと認められる。

4.むすび
以上のとおり、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当し、請求人の他の主張を検討するまでもなく、その登録は無効とされるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2002-10-22 
結審通知日 2002-10-25 
審決日 2002-11-22 
出願番号 意願平11-25362 
審決分類 D 1 11・ 121- Z (L3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川越 弘 
特許庁審判長 秋間 哲子
特許庁審判官 鍋田 和宣
西本 幸男
登録日 2001-11-02 
登録番号 意匠登録第1129869号(D1129869) 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 高橋 清 
代理人 内野 美洋 

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