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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1081521 |
審判番号 | 不服2002-13279 |
総通号数 | 45 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2003-09-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-07-17 |
確定日 | 2003-07-25 |
意匠に係る物品 | 自動車用タイヤ |
事件の表示 | 意願2000- 27160「自動車用タイヤ」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願意匠は、平成12年9月28日の意匠登録出願に係り、願書の記載及び願書添付の図面の記載によれば,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし、その形態を同図面において実線で表された部分としたものである。(別紙第一参照) 2.引用意匠 これに対して、本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠は、本願の出願前の平成10年5月8日発行の意匠公報に掲載された登録第1009123号意匠であって、意匠に係る物品が「自動車用タイヤ」のサイド部を除いた部分の意匠である。(別紙第二参照) 3.両意匠の比較 本願意匠と引用意匠とを比較すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通のものであり、その形態については、主として以下の共通点と差異点があると認められる。 [共通点] 先ず共通点として、(1)トレッド中央部に周回する中央縦溝と中央縦リブを設け、その両側のショルダ部寄りに周回する左右縦溝を設け、トレッド中央部から左右ショルダ部に掛けて上下等間隔に多数の略弧状溝を設けると共に、中央部に傾斜したブロックを、ショルダ部に水平状ブロックをそれぞれ形成した全体の基本的な構成態様、(2)ショルダ部の態様について、やや太幅の略弧状溝と細幅の略弧状溝を、上下等間隔で交互に形成した点、が認められる。 [差異点] 次いで差異点として、(イ)中央縦溝及び中央縦リブの態様について、本願意匠は、中央に太幅の縦溝を1本設け、その両側に縦リブを設けているのに対し、引用意匠は、中央に細溝を有する縦リブを挟んで、2本の縦溝が設けられている点、(ロ)左右縦溝の態様について、本願意匠は、鋸刃状に屈曲しているのに対して、引用意匠は、直線状である点、(ハ)略弧状溝の態様について、本願意匠は、中央縦リブからショルダ部に掛けて細幅の弧状溝を形成し、その先端を急角度で下方に屈曲させ、該細幅の弧状溝の上方にやや太幅の弧状溝を形成し、その先端を該細幅の弧状溝と結合させているのに対して、引用意匠は、中央縦溝から鋭角状に斜め上方に向かった後緩やかに湾曲してショルダ部に達する屈曲した溝と、緩やかな傾斜のごく短い細溝を形成し、該屈曲した溝の途中からショルダ部に向かう断続する細幅の傾斜溝をブロックの中央に設けている点、(ニ)ブロックの態様について、本願意匠は、中央部に略受話器様ブロックと略爪状ブロックが形成され、ショルダ部には略矩形状ブロックが形成されているのに対して、引用意匠は、中央部に略三角形状ブロックと略変形台形状ブロックが形成され、ショルダ部には平行四辺形状ブロックが形成されている点、が認められる。 4.当審の判断 そこで、上記の共通点と差異点が両意匠の類否の判断に及ぼす影響について検討すると、共通点(1)は、形態全体に係わるものではあるが、ごく概略的な形態の共通性に止まる概念的なものであるから、類否判断上特に大きく評価することはできない。共通点(2)は、ショルダ部の態様としては概略的かつ一般的な態様にすぎないから、類否判断上は微弱にとどまる。そして、これらが相まって奏する効果を検討しても、その共通性は、概念的ないしは一般的態様の範囲内のものにすぎないから、類否判断上特に評価することができず、下記に検討する強い差異感に優越する程のものとは認められない。 次いで差異点について、差異点(イ)は、注目されるトレッド中央部の態様の差異であって、さほど特徴的な態様ではないものの、差異点(ニ)と相まって、類否判断上一定の影響を及ぼすものと認められる。差異点(ロ)は、視覚的には小さい部分であり、格別特徴がある態様ではないことから類否判断上の影響は小さいと認められる。差異点(ハ)及び(ニ)は、造形上明らかに異なる印象をもたらしており、特に、本願意匠の中央部付近の弧状溝の態様及びブロックの形状は、他に類を見ない特徴あるものであるから類否判断上大きな影響を及ぼすものと認められる。 そうすると、差異点(ハ)及び(ニ)は主要な差異であり、これに差異点(イ)が加重されることにより、両意匠間に強い差異感をもたらしていると認められる。 5.以上のとおりであって、差異点の及ぼす影響が共通点の及ぼす影響を凌駕する両意匠は、結局、類似するものとすることはできない。 従って、本願意匠は、引用意匠を以て意匠法第3条第1項第3号に該当するとすることはできない。また、他に拒絶理由を発見できない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2003-07-11 |
出願番号 | 意願2000-27160(D2000-27160) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 前畑 さおり |
特許庁審判長 |
藤木 和雄 |
特許庁審判官 |
江塚 尚弘 岩井 芳紀 |
登録日 | 2003-08-08 |
登録番号 | 意匠登録第1186258号(D1186258) |
代理人 | 高橋 詔男 |
代理人 | 高柴 忠夫 |
代理人 | 渡邊 隆 |
代理人 | 志賀 正武 |