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審決分類 審判 査定不服  意9条先願 取り消して登録 H3
管理番号 1083343 
審判番号 不服2002-8308
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-10-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-05-10 
確定日 2003-09-08 
意匠に係る物品 テレビ用共聴器 
事件の表示 意願2000- 14910「テレビ用共聴器」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願の意匠
本願は、本意匠を意願2000-14908号とする、平成12年(2000年)6月2日の関連意匠に係る意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願の意匠」という。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「テレビ用共聴器」とし、その形態は、願書に添付した図面代用写真により現されたとおりのものである(別紙第一参照)。
第2 引用の意匠
原審において、本願の意匠が類似するとして、拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用の意匠」という。)は、本願の意匠の出願日前、平成12年2月10日に意匠登録出願され、その後、意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1121992号の意匠であって、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「有線テレビ放送用共聴器」とし、その形態は、願書に添付された図面に記載されたとおりのものである(別紙第二参照)。
第3 両意匠の対比
本願の意匠と引用の意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態については、主として以下の共通点と差異点が認められる(なお、本願の意匠は正面図側を、引用の意匠は平面図側をそれぞれ上面として認定し、端子を有する面を背面、その対称面を前面として認定する。)。
すなわち、両意匠は、全体の基本的な構成態様について、偏平な横長略直方体とした本体の背面の3個所に円筒形の端子を設けたものとしている点が共通し、また、各部の具体的態様について、本体全周側面の上下幅の略中央に細幅の横溝を設けている点、下面の隅寄り4個所に高さの低い脚を突設している点が共通している。
一方、各部の具体的な構成態様のうち、主に、(1)上面について、本願の意匠は、前面寄り略半分に、2辺を弧状に膨らませた略三角形状を暗調子で表した模様を付しているのに対して、引用の意匠は、無模様である点、(2)本体形状について、本願の意匠は、上面をごく緩やかな膨出面とし、上面側から見た場合、四側面をともに弧状にやや膨出させ、左右側面を前方に向けて漸次幅狭となる態様としているのに対して、引用の意匠は、上面を平坦面とし、上面側から見た四側面は、前面のみを弧状にやや膨出させ、左右側面を並行に設けている点、(3)下面につき、本願の意匠は、脚の形状を側面に貫通孔を設けた偏平直方体とし、脚の突出を除いては平坦面としているのに対して、引用の意匠は、脚を偏平略円柱形とし、中央に、下面の四分の一弱の面積を占める長方形状凹部を設け、脚の四隅寄りにビス頭形状が看取されるものである点、(4)前面について、引用の意匠が、右端寄りにLEDの発光表示部を設けているのに対して、本願の意匠は、設けていない点、に差異がある。
第4 両意匠の類否
両意匠の共通点及び差異点を総合して、意匠全体として両意匠の類否を検討すると、まず、両意匠に共通するとした基本的な構成態様については、従来より既に一般化している構成態様にすぎず、また、両意匠に共通するとした各部の具体的構成態様についても、本願意匠の出願前、この種物品の属する分野において、他にも見受けられる態様であって、看者の注意を格別引くものとはいい難いから、共に類否判断に及ぼす影響は微弱にすぎず、さらに、それらの共通点を纏めても、特段際立った特徴を奏するとはいい難いものであるので、類否判断に及ぼす影響はなお微弱の域を超えないといわざるを得ない。
次に、差異点とした各部の具体的態様のうち、
(1)の上面の差異については、この種物品の一際目立つ部分における形態上の構成要素が異なるものであって、本願に付された模様が、通常見られるありふれた形状ではない特徴を有していることを勘案すると、その差異は、看者の注意を際立って引くものであるから、類否判断に影響を及ぼすといわざるを得ない。
(2)の本体形状の差異については、本願の意匠が、各面を膨出させて全体に丸まった形状としているのに対して、引用の意匠は、前面を膨出させている以外は、ほぼ直線と平坦面とで形成される直方体形状であって、形態上の基調が異なるものであり、本願の意匠が左右側面を前方に向けて漸次幅狭としている特徴を引用の意匠が有していない差異も勘案すると、それらは、全体形状に係わる差異であって、看者の注意を十分引くものであるから、類否判断に影響を及ぼすといわざるを得ない。
(3)の下面の差異については、、脚の形状、中央凹部の有無、隅寄りのビス頭形状の有無において異なるものであり、この種小型で軽量な物品においては、下面についても見られる機会がよくあることも勘案すると、看者の注意を引くものであり、類否判断に影響を及ぼすといわざるを得ない。
(4)の前面の差異については、前面と言う目立つ部位における、発光体の有無であることを勘案すると、小さな円形状部の有無であっても看者の注意を引くものであり、類否判断に影響を及ぼすといわざるを得ない。
そうすると、前記(1)ないし(4)の差異点は、何れも、両意匠に共通するとした態様を翻す程の印象を看者に与えるものであり、その余の差異点と相俟って、両意匠の醸し出す形態全体の印象を異にするほどの差異感を奏するものであるから、類否判断に影響を及ぼすといわざるを得ない。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品は共通するが、形態において、差異点が両意匠の共通点を凌駕して類否判断を左右するという外ないから、本願の意匠は、意匠全体として観察すると、引用の意匠に類似する意匠とはいえない。
第5 むすび
本願の意匠は、原査定の拒絶の理由によっては、拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願の意匠について、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2003-08-14 
出願番号 意願2000-14910(D2000-14910) 
審決分類 D 1 8・ 4- WY (H3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 奥家 勝治 
特許庁審判長 伊勢 孝俊
特許庁審判官 鍋田 和宣
永芳 太郎
登録日 2003-09-26 
登録番号 意匠登録第1190463号(D1190463) 
代理人 中島 知子 
代理人 佐竹 弘 

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