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審決分類 審判 無効  2項容易に創作 無効とする L3
管理番号 1085024 
審判番号 無効2003-35122
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2003-11-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-03-31 
確定日 2003-09-16 
意匠に係る物品 防獣フェンス 
事件の表示 上記当事者間の登録第1166740号「防獣フェンス」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1166740号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 請求人の申立及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由として大要以下に示すとおり主張し、甲第1号証ないし甲第4号証を提出した。
意匠登録第1166740号(以下、「本件登録意匠」という)は、甲第1号証に示す公知のフェンスに、甲第2号証に示すように横線間隔を上から下に向かって変化させ、更に甲第3号証や甲第4号証に示すように下端突出部に横線を1本配設したものにすぎない。横線材の間隔を変えたり、横線材を追加したりすることは、必要に応じて適宜行われる設計的事項にすぎず、寄せ集めの手法もありふれた手法というべきである。従って、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に違反するものですから、意匠法第48条の規定により無効にされるべきものです。
甲第1号証 特開2001-8604号公報
甲第2号証 意匠登録第1117962号公報
甲第3号証 意匠登録第1117973号公報
甲第4号証 意匠登録第1117976号公報

第2 被請求人の答弁
被請求人は、「本件意匠登録無効の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由として大要以下のとおり主張し、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1.本件登録意匠と甲第1号証との相違点
本件登録意匠と甲第1号証とは全体の美感を全く異にしている。すなわち、いずれの意匠も2本一組の横線材が存在している点で同一であるが、この横線材をどのような間隔で配置して全体的に特異な美感を生起するかの点から見ると別異の意匠である。
2.本件登録意匠と甲第2号証の相違点
甲第2号証は、傾斜状の菱形フェンスであり、菱形フェンスと矩形状のフェンスとは非類似である(乙第1号証及び乙第2号証参照)。
したがって、横線材の数や間隔の一部構成が同一であっても、菱形の甲第2号証のフェンスにおける横線材の配置の形状を矩形に転用することは創作容易に該当しない。
2本一組の横線材の間隔が下方に向かって漸次狭小になっている基本形状の点は甲第2号証に示すように開示されているとしても、具体的な形状においては全く異なる形状である。このように、両意匠は横線材の構成そのものに相違があることに加えて、間隔を漸次狭小とするその間隔も異なるため、たとえ甲第2号証が公知であったとしても本件登録意匠には、十分な創作性があると認められる。
3.本件登録意匠と甲第3,4号証の相違点
甲第3、4号証、のいずれも、2本一組の横線材が等間隔で配置されているフェンスであるため、本件登録意匠と甲第3,4号証意匠はその基本的形状において非類似の意匠であり、最下端の1本の横線材の部分のみを抽出しても創作性容易の根拠にはならない。
4.結論
甲第1ないし4号証のいずれも、本件登録意匠に類似の美感を有した意匠は開示されていない。
乙第1号証 登録第1117973号意匠公報
乙第2号証 登録第1117977号意匠公報

第3 当審の判断
1. 本件登録意匠
本件登録意匠は、平成14年4月18日に意匠登録出願し、平成15年1月10日に意匠登録第1166740号として登録の設定がされたものであり、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「防獣フェンス」とし、その形態を添付された図面に示すとおりとしたものである(別紙第1参照)。
すなわち、その形態は、
(ア)全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は42本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔と同幅で2本一組としたものを、水平に四段配し、
(イ)該横線材は、各段の間隔を下方に向かって漸次狭幅となる間隔とし、
(ウ)縦線材の下端部の下方向に突出した余地部を形成し、該余地部の下端寄りにわずかに余地部を残して1本の線材を水平に配したものである点が認められる。
2. 甲号意匠
(1)甲第1号証
甲第1号証の意匠は、平成13年1月16日、特許庁が発行した公開特許公報に掲載された特開2001-8604号の防獣用フェンスとそのためのフェンス体であって、その形態は、同公報に掲載されたとおりのものである。(別紙第2参照)
すなわち、図1として掲載されたフェンス体の意匠の形態は、
(ア)全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は43本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔と同幅で2本一組としたものを、水平に四段配し、
(イ)該横線材は、各段の間隔を縦線材の間隔の略8倍長の幅広等間隔とし、
(ウ)縦線材の上下端部及び横線材の左右端部に、それぞれ上下左右方向に突出した余地部を形成したものである点が認められる。
(2)甲第2号証
甲第2号証の意匠は、平成13年8月13日、特許庁が発行した意匠公報に掲載された登録意匠第1117962号の意匠であって、意匠に係る物品を「道路用防獣さく」とし、その形態は、同公報に掲載されたものである(別紙第3参照)。
すなわち、その形態は、
(ア)全体が、同じ長さからなる縦線材と同じ長さからなる横線材とを右上がり平行四辺形パネル状の竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は41本を幅狭の等間隔垂直で、上端を略30度右上がりの傾斜状に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔と同幅で2本一組としたものを、右上がり略30度の傾斜状に六段配し、
(イ)該横線材は、各段の間隔を下方に向かって漸次狭幅となる間隔とし、
(ウ)縦線材の下端部に突出した余地部を形成したものである点が認められる。
なお、同公報の「使用状態を示す参考図」によれば、右上がり平行四辺形パネル状のさくの左右両端に設けた、縦線材の上端を水平にそろえ、2本一組の横線材を、下方に向かって漸次狭幅となる間隔で水平に配した態様のものが認められる。
(3)甲第3号証
甲第3号証の意匠は、平成13年8月13日、特許庁が発行した意匠公報に掲載された登録意匠第1117973号の意匠であって、意匠に係る物品を「道路用防獣さく」とし、その形態は、同公報に掲載されたものである(別紙第4参照)。
すなわち、その形態は、
(ア)全体が、縦線材と横線材で竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は43本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔と同幅で幅狭間隔の2本一組としたものを、水平に四段配し、各段間中央部に1本の線材をそれぞれ水平に配し、
(イ)該横線材は、各段の間隔を縦線材の間隔の略9倍長の幅広等間隔とし、
(ウ)縦線材の上下端部に突出した余地部を形成し、下端部の余地部の下端寄りにわずかに余地部を残して1本の線材を水平に配したものである点が認められる。
(4)甲第4号証
甲第4号証の意匠は、平成13年8月13日、特許庁が発行した意匠公報に掲載された登録意匠第1117976号の意匠であって、意匠に係る物品を「道路用防獣さく」とし、その形態は、同公報に掲載されたものである(別紙第5参照)。
すなわち、その形態は、
(ア)全体が、上辺部を背面側に折り曲げて、側面視において倒L字状に形成された線材による格子状のものであって、以下、正面側についてみると、縦線材と横線材で竪繁格子状に形成したものであり、縦線材は43本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔の略2倍幅間隔で2本一組としたものを、水平に三段配し、
(イ)該横線材は、各段の間隔を縦線材の間隔の略8倍長の幅広等間隔とし、
(ウ)縦線材の下端部に突出した余地部を形成し、該余地部の下端寄りにわずかに余地部を残してに1本の線材を水平に配したものである点が認められる。
が認められる。
3.本件登録意匠の創作容易性についての判断
本件登録意匠の形態について、
(a)(ア)の点の、全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に形成したもので、縦線材は、40数本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔と略2倍幅間隔で2本一組としたものを、水平に四段配したものは、本件登録意匠の出願前より公然と知られており(例えば、甲第1号証の図1及び図2)、
(b)(イ)の点の、2本一組とした横線材の各段の間隔を、下方に向かって漸次狭幅となる間隔で配すること、更に、それを水平に配することも公然と知られているところであり(例えば、甲第2号証)、
(c)(ウ)の点の、縦線材の下端部に突出した余地部を形成し、該余地部の下端寄りにわずかに余地部を残して1本の線材を水平に配することも公然と知られているところである(例えば、甲第3号証、甲第4号証)。
そうして、この種物品において、横線材を適宜間隔で配したり、横線材の数を適宜増減することは、普通に行われているところであり、上記(a)ないし(c)の態様に基づいて一の意匠を創作することは、容易に想到できるものといえる。
結局、本件登録意匠は、その形態において、本件登録意匠のみの特徴といえる態様を有するものとはいえず、その出願前に公然と知られた上記甲第1号証ないし甲第4号証の意匠に基づいて容易に創作することができたものといわざるを得ない。
なお、被請求人は、甲第1号証ないし甲第4号証のそれぞれの意匠が、本件登録意匠と類似の美感を有していない旨主張するが、意匠法第3条第2項の趣旨は、出願前に公然知られた意匠に基づいて容易に意匠の創作をすることができたか否かを問うものであって、公然知られた意匠が、その出願の意匠(本件登録意匠)と類似する意匠であることを要するものではないことは、意匠法第3条第2項の条文の括弧書き「(前項各号に掲げるものを除く。)」からも明らかであり、被請求人の主張は採用できない。
また、被請求人は、甲第2号証の意匠について、傾斜状の菱形フェンスと矩形状のフェンスとは非類似であり、横線材の数や間隔の一部構成が同一であっても菱形のフェンスにおける横線材の配置の形状を矩形状に転用することは、創作容易に該当しない旨主張するが、この種物品においては、使用の場所や設置される長さに応じて、フェンスの縦横の構成比や外形状を適宜変更して形成し、関連する複数枚のフェンスを連接して囲いとすることが一般的に行われており、平坦地と傾斜地に同デザインのフェンスを連接して用いることは、例えば、甲第2号証の使用状態を示す参考図からも明らかなように、本件登録意匠の出願前に公然知られているところであり、菱形のフェンスの形状に基づいて矩形状のフェンスを創作することは容易に想到できるものといわざるを得ない、従って、この点についても 被請求人の主張は採用することができない。
4. むすび
以上のとおり、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当する意匠であるにもかかわらず、意匠登録を受けたものであるから、請求人の他の主張を検討するまでもなく、その登録は無効とされるべきものでである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2003-07-17 
結審通知日 2003-07-23 
審決日 2003-08-05 
出願番号 意願2002-10506(D2002-10506) 
審決分類 D 1 11・ 121- Z (L3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川越 弘 
特許庁審判長 藤 正明
特許庁審判官 西本 幸男
内藤 弘樹
登録日 2003-01-10 
登録番号 意匠登録第1166740号(D1166740) 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 高橋 清 
代理人 内野 美洋 
代理人 内野 美洋 

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