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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H5 |
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管理番号 | 1088245 |
審判番号 | 不服2001-9791 |
総通号数 | 49 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2004-01-30 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-06-11 |
確定日 | 2003-11-19 |
意匠に係る物品 | インクリボンカセット |
事件の表示 | 意願2000- 2617「インクリボンカセット」拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は、2000年(平成12年)2月16日の意匠登録出願であり、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、願書および願書に添付した図面の記載によれば、意匠に係る物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、意匠に係る物品を「インクリボンカセット」とし、意匠登録を受けようとする部分の形態を添付図面に示すとおりとしたものである。(別紙第1参照) 2.引用意匠 原審において、本願意匠に類似するとして拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、1999年(平成11年) 1月8日発行の日本国特許庁意匠公報に記載された登録第967416の類似第5号の本願意匠に相当する部分の意匠であって、同意匠公報の記載全体によれば、意匠に係る物品を「インクリボンカセット」とし、その形態は、同公報の記載のとおりのものである。(別紙第2参照) 3.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠は、いずれもインクリボンカセットに係るものであるから、両意匠の意匠に係る物品は一致する。 次に、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び差異点が認められる。 先ず、共通点として、両意匠は、インクリボンカセットの筐体の上端より全体の約2/5であってリボンテープ巻取軸より上方の部分の形態に係り、全体は、横長の筐体状であって、正面視中央に野球のホームベース状のやや大きな凹部を形成してヘッド挿入部とし、その左右両側にヘッド挿入部よりも縦横の幅が小さい凹部を形成して支持ピン挿入部とし、ヘッド挿入部と支持ピン挿入部との間に縦長で先端が丸い突出部を形成し(以下、「ヘッド側突出部」という。)、上方の左右両角を丸面状に面取りし、その下側の側面をそれぞれわずかに中央寄りの垂直状に形成し、そして、支持ピン挿入部寄りの上面にそれぞれ略矩形状の凹部を形成した態様が認められる。 しかしながら、その具体的な態様における差異点として、(イ)全体の横の長さに対する奥行きについて、本願意匠は、約1/5であるのに対し、引用意匠は、約1/9である点、(ロ)ヘッド側突出部の正面視態様について、本願意匠は、それぞれ左右両端側を弧状とした略三角形状であるのに対し、引用意匠は、左右両端を平行状とした略マッチ棒状である点、そして、(ハ)支持ピン挿入部の正面視態様について、本願意匠は、それぞれ中央にやや傾いた略U字形状であるのに対し、引用意匠は、それぞれ左右両端側を緩やかな弧状とした略角丸矩形状である点が認められる。 4.本願意匠と引用意匠の類否の判断 前記の共通点及び差異点を総合し、意匠全体として両意匠の類否について考察すると、共通していると前記した態様は、この種リボンカセットの製品規格上の制約もあって、両意匠のほかにも近似した構成態様のものが見受けられ、両意匠のみに共通する態様とは言えないものであり、両意匠の類否判断を左右するほどの要素としては評価が低いものにとどまる。 一方、前記各差異点について検討すると、差異点(イ)については、前記の奥行きの比率を本願意匠と同程度として形成したものは一般的であって、本願意匠のみに新規の態様とは言えないが、インクリボンカセットの筐体の上端より全体の約2/5の部分の構成態様についての対比である点を考慮すると、その比率の差異は両意匠の類否にも多少の影響を与えていると言える。差異点(ロ)については、中央寄りのやや目立つ部位に形成した部分の態様にかかり、とくに正面視あるいは背面視において対比した場合は、やや大きな差異であると言わざるを得ず、その差異は、両意匠の類否判断に影響を与えるものである。差異点(ハ)については、本願意匠は、ヘッド側突出部の弧状部分と相まった意匠的な効果により、支持ピン挿入部が中央に傾いている態様がやや強調されているから、その差異は、両意匠の類否にも影響を与えるものである。そして、両意匠がいずれもインクリボンカセットの筐体の上端より全体の約2/5であってリボンテープ巻取軸より上方の部分の形態に係り、全体が横長の筐体状である点を考慮すると、これら差異点を総合した場合に生じる意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するほどの影響を与えていると言える。 . したがって、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、形態については、共通点は両意匠の類否判断を左右するほどの要素としては評価が低いものにとどまるのに対し、差異点を総合した場合に生じる意匠的な効果によって、両意匠の類否判断を左右するほどの影響を与えていると言えるから、結局、意匠全体として類似するものと言うことはできない。 4,結び 以上のとおりであるから、原審の拒絶の理由によって本願意匠を拒絶すべきものすることはできない。また、本願について、他に拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2003-10-29 |
出願番号 | 意願2000-2617(D2000-2617) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(H5)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 梅澤 修 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
永芳 太郎 鍋田 和宣 |
登録日 | 2003-12-26 |
登録番号 | 意匠登録第1197253号(D1197253) |
代理人 | ▲桑▼原 史生 |