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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 M2 |
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管理番号 | 1094800 |
審判番号 | 不服2002-8996 |
総通号数 | 53 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2004-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-05-20 |
確定日 | 2004-03-25 |
意匠に係る物品 | 配管用ダクトカバー |
事件の表示 | 意願2001- 1577「配管用ダクトカバー」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願の意匠 本願の意匠は、物品の部分について意匠登録を受けようとする平成13年1月26日の意匠登録出願に係り、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「配管用ダクトカバー」とし、その形態を願書の記載、及び願書に添付した図面に表したとおりとし、意匠登録を受けようとする部分を実線によって表したものである(別紙第1参照)。 2.原審の拒絶の理由 これに対して、原審は、「この種物品分野において、本体部と蓋部からなる配管用ダクトカバーを嵌合可能に形成することはこの出願前より極めて普通に行われているところですが(※1)、この意匠登録出願に係る意匠は、その嵌合部を公知の嵌合態様(※2)にあらわした程度に過ぎず、容易に創作をすることができたものと認められます。 ※1 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第0848024号の意匠 ※2 特許庁発行の意匠公報記載 意匠登録第1023810号の意匠」 とし、本願の意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当するとした拒絶の理由を示し、その後、同理由により拒絶の査定をしたものである。 3.請求人の主張の要点 請求人は、上記査定を不服として審判を請求し、その請求の理由において要旨以下のとおり主張する。 (1)創作非容易性について この種の配管用ダクトカバーとしては、本願の意匠や引用の意匠1(意匠登録第848024号)のような、蓋部材と取り付け部材とを分離自在に係合連結する分割型タイプと、引用の意匠2(意匠登録第1023810号)のように、天井壁部の左右方向中央位置で分断した一体型タイプに分かれるが、係合部、及び被係合部の性能が相違するため、一体型タイプを分割型タイプに転用する場合、分割型タイプに応じた改良を加える必要があり、引用の意匠1、及び2が公然知られた意匠であるとしても、それらから、本願の意匠を容易に創作することはできない。 (2)本願の意匠の美的創作について 本願の意匠は、係合部と被係合部の間に形成される半楕円状の大きな管状空間の存在により、看者に外力に対する外れ止め効果の高い形態を視覚的に容易に認識させることができるのに対し、引用の意匠2の係合部は、係合部と被係合部とを係合させたとき、それらが互いに密着しているため、本願の意匠のような半楕円状の大きな管状空間が形成されることはない。 (3)したがって、本願の意匠は、引用の意匠1、及び2には存在しない美的創作が加えられており、引用の意匠1、及び2が公然知られた意匠であるとしても、それらから、本願の意匠を容易に創作することはできない。 以上のとおりであるから、本願の意匠は、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録をすることができないものであるとした原査定は理由がなく、請求の趣旨のとおり、原査定を取り消す、本願の意匠は登録すべきものとするとの審決を求める。 4.当審の判断 (1)本願の意匠は、蓋部材と取り付け部材の2部材を係合して、長手方向に連続する略隅丸四角筒体とした配管用ダクトカバーにおいて、左右やや上方寄りに形成した蓋部材と取り付け部材の係合部分である。 すなわち、その形態は、蓋部の端部を内側に略「し」の字状に折り曲げて「係合部」とし、取付部の端部を内側に略「フ」の字状に折り曲げさらにその先端部を内側に弧状に折り返して「被係合部」とし、当該係合部の内側先端部と被係合部の内側下方部が密接して係合状態を呈するものであり、さらに両者の間に略半楕円形の空間部が形成されているものである。 (2)そこで、本願の意匠の創作の非容易性について検討する。 この種の配管用ダクトカバーにおいては、蓋部材と取り付け部材に分割するタイプは、意匠登録第848024号の意匠(引用の意匠1:別紙第2参照)にみられるとおり、本願の出願前から一般に広く知られているものであり、また、意匠登録第1023810号の意匠(引用の意匠2:別紙第3参照)のように、一体型で係合部の位置が本願の意匠と異なるタイプのものであるが、係合方法としては、これを分割型の係合部に置換することに格別困難性は認められないものである。しかしながら、本願の意匠の係合部と被係合部との係合態様、とりわけ両者の間に略半楕円形の空間部が形成される態様は、引用の意匠2には見られないものであり、かつ当該空間部は、意匠全体としてみるならともかく、部分意匠としてみた場合、その占める割合も大きいものであることから、本願の意匠の特徴を形成する独自の態様と認められる。 そうすると、引用の意匠2の態様をほとんどそのまま表した程度に過ぎないものということができない。 (3)したがって、本願の意匠は、その出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内、又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩、又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものとはいえず、本願の意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当するとして本願を拒絶すべきとした原審の拒絶査定は当を得ないものであり、取消を免れない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2004-03-10 |
出願番号 | 意願2001-1577(D2001-1577) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(M2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 木村 恭子、清野 貴雄 |
特許庁審判長 |
藤 正明 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 西本 幸男 |
登録日 | 2004-04-23 |
登録番号 | 意匠登録第1208706号(D1208706) |
代理人 | 北村 修一郎 |
代理人 | 北村 修一郎 |