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審決分類 |
審判 無効 1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする B9 |
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管理番号 | 1096467 |
審判番号 | 無効2003-35057 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2004-06-25 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-02-14 |
確定日 | 2004-04-12 |
意匠に係る物品 | 携帯電話用ストラップ |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1162586号「携帯電話用ストラップ」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1162586号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.請求人の申立及び理由 請求人は、結論と同旨の審決を求める、と申立て、その理由として、審判請求書に記載のとおりの以下の主張をし、証拠方法として、甲第1号証乃至甲第12号証(枝番含む)及び検甲第1号証、検甲第2号証を提出した。 (1)登録第1162586号意匠(以下「本件登録意匠」という。)は、意匠の創作をした者でない者であって、その意匠について意匠登録を受ける権利を承継しないものの意匠登録出願に対してされたものであるから、意匠法第48条第1項第3号に該当する。 (2)本件登録意匠は、その出願前に日本国内において、少なくとも被請求人によって販売された、検甲第1号証及び検甲第2号証の意匠と同一又は類似する意匠であるから、意匠法第3条第1項第1号又は第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである。 (3)本件登録意匠は、その出願前に株式会社全国観光と物産新聞社が発行した「全国観光と物産新聞(平成14年1月1日付)」(甲第7号証)の19面下欄の「ご警告」欄に掲載されている3つ並んだ意匠のうちの中央の意匠と同一または類似するものであり、意匠法第3条第1項第2号又は第3号の規定により意匠登録を受けることができないものである。 (4)本件登録意匠は、その出願前に当業者が日本国内において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に創作をすることができた意匠であり、意匠法第3条第2項の規定により意匠登録を受けることができないものである。 第2.被請求人の答弁 被請求人は、請求人の請求を棄却する、審判費用は、請求人の負担とする、との審決を求める、と答弁し、答弁書、及び当審の審尋に対する回答書において、請求人の無効とする主張に理由はなく、本件登録意匠は自己の創作に係る出願であるから保護されるべき、と反論した。 第3. 当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠(部分意匠)は、平成14年2月21日に意匠登録出願され、平成14年11月15日に設定の登録がなされたものであり、意匠に係る物品を「携帯電話用ストラップ」とし、形態を、願書及び願書に添付された図面代用写真に現されたとおりとするもので、図面代用写真において黒色を付した部分を除く部分が部分意匠として意匠登録を受けた部分である(別紙第一参照)。 2.無効理由についての検討 請求人は、本件登録意匠が、その出願前に株式会社全国観光と物産新聞社が発行した「全国観光と物産新聞」(甲第7号証)の19面下欄の「ご警告」欄に掲載されている3つ並んだ意匠のうちの中央の意匠と類似する、と主張するので、以下検討する。 請求人の提出した甲第7号証は、「全国観光と物産新聞」と題する業界新聞で、上段欄外に2002年1月1日(通巻314号)との記載が認められることから、本件登録意匠の出願前に日本国内において頒布された刊行物と認められるものであり、その19面下欄の「ご警告」欄の左側に「ミンクおこじょシリーズ」として3つの写真版が掲載されており、そのうちの中央に、動物人形付きのストラップが認められ、この動物人形付きストラップにおいて、本件登録意匠に対応する部分を、以下「甲号意匠」として以下検討する。(別紙第二参照) 3.本件登録意匠と甲号意匠の類否について 本件登録意匠と甲号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態について、小動物を模した頭部と、その頭頂部に連結された紐状の連結部材からなるもので、頭部は、全体が明調子の毛状のもので覆われ、上部左右に三角状に突出する小さい耳を配し、顔面中央に、目、鼻として3つの暗調子の半球玉を配して、動物としての「おこじょ」の頭部をほぼそのまま模した態様としたものであり、紐状の連結部材は、基端に頭部との連結具、その先の稍太めの紐が二つ折りされた連結紐、及び先端のループ状の細い取付紐からなり、連結紐に、3つのリング玉が中間のリング玉を稍狭幅として数珠状に填め込まれ、先端の取付紐との境目に円筒状のカシメ金具が配されたものである。そしてこの共通する態様は、両意匠の形態全体に及ぶとともに、両意匠の特徴をよくあらわして、全体の基調を形成しており、両意匠の類否判断に決定的ともいえる大きな影響を及ぼすものである。 一方両意匠には、頭部の毛の長短に差異が認められ、また甲号意匠においては、当該写真版からは基端の連結金具の形状が稍不明瞭であるが、前者については、動物としての「おこじょ」の頭部をほぼそのまま模したという、視覚上の強い共通性の中でみられる微差であり、後者については、仮に形状に違いがあると仮定しても、限られた部分についての差異で、全体形態に影響を及ぼすまでのものとは到底認められず、これらの差異及び不明瞭な点は、関連したとしても、両意匠の共通点がなす全体の基調を覆すまでには到底至らず、両意匠は全体として類似する。 なお、被請求人は、甲号意匠が自己の創作に係る意匠で、無効とされるべき理由はない、と主張するが、仮に自己の創作に係るものと仮定しても、甲号意匠がその出願前に発行された刊行物に記載された意匠であることを否定する理由とはならず、また本件登録意匠は、新規性喪失の例外規定の適用を受けるための手続がなされた出願に係るものでもなく、被請求人の主張は採用できない。 以上のとおりであって、本件登録意匠はその出願前に頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであり、意匠法第3条第1項第3号の意匠に該当し、請求人が主張した他の無効理由について検討するまでもなく、同法第3条の規定に反して登録されたものであるから、その登録を無効とすべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2004-02-13 |
結審通知日 | 2004-02-18 |
審決日 | 2004-03-02 |
出願番号 | 意願2002-4332(D2002-4332) |
審決分類 |
D
1
11・
113-
Z
(B9)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 正田 毅 |
特許庁審判長 |
日比野 香 |
特許庁審判官 |
山崎 裕造 市村 節子 |
登録日 | 2002-11-15 |
登録番号 | 意匠登録第1162586号(D1162586) |
代理人 | 宮澤 明雄 |
代理人 | 山中 伸一郎 |
代理人 | 平尾 正樹 |
代理人 | 久保田 嘉信 |