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審決分類 |
審判 査定不服 意10条1号類似意匠 取り消して登録 H1 |
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管理番号 | 1101313 |
審判番号 | 不服2003-16262 |
総通号数 | 57 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2004-09-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-08-22 |
確定日 | 2004-07-30 |
意匠に係る物品 | 電気コネクタ用アウターハウジング |
事件の表示 | 意願2002- 28543「電気コネクタ用アウターハウジング」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.手続きの経緯 本願は、2002年(平成14年)10月21日の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、出願当初の願書に本意匠の表示を同日出願の意願2002-28540号と記載し、意匠に係る物品の部分について意匠登録を受けようとするものであって、意匠に係る物品を「電気コネクタ用アウターハウジング」とし、意匠登録を受けようとする部分の形態を願書に添付した図面に示すとおりとしたものである。(別紙第1参照) 原審において、本願意匠は、出願当初の願書に記載した本意匠(その後、設定登録された意匠登録第1180202号の意匠、別紙第2参照)に類似する意匠と認められず、意匠法第10条第1項の規定に該当しないから拒絶すべきものとする通知をした。 これに対し、請求人は、意見書を提出し、両意匠は、上段の貫通穴の態様において相違する点もあるが、類否判断を左右する重要な共通点があるので、全体として類似するものであり、本願意匠は、本意匠の関連意匠として登録を受けるべきものである旨主張したが、原審において、意見書の主張は採用できないとして本願を拒絶すべきものとする査定をしたため、同査定を不服とし、審判の請求をすると同時に手続補正書を提出し、願書の本意匠の表示を削除した。 2.本願意匠と本意匠の対比 本願意匠と本意匠は、いずれもコネクターハウジングの筺体の内側を構成している部分について、意匠登録を受けようとするものであって、意匠登録を受けようとする部分の用途、機能、位置および範囲が共通し、その形態については、直方体状の筐体の内側の前後方向に、開口部を略扁平矩形状とした穴部を上下2段に貫通して形成し、正面の上下の穴部のそれぞれ内側の上縁に端子金具案内用のごく短い傾斜面を複数等間隔に形成した態様である点で共通している。 一方、形態の差異点として、上段の構成態様について、本願意匠は、やや中央寄りに、上段の穴部を左右に分割する垂直壁を設け、その垂直壁を前後に貫通している正面視縦長長方形状の穴部を形成しているのに対し、本意匠は、そのような垂直壁を設けず、上段の穴部の全体を貫通している点が認められる。 3.本願意匠と本意匠の類否判断 先ず、共通するとした前記の態様について、この種物品分野において、コネクターハウジングの筐体内側の略扁平直方体状の空間に、前後に貫通した穴部を上下2段に形成したものは、例をあげるまでもなく普通に見受けられるものであり、また、両意匠のみに共通する格別の態様に形成したものとも言えない。そして、相手側コネクターの端子金具の挿入を確実かつ容易にするため、穴部の縁に短い傾斜面を形成することも普通であるところ、両意匠の傾斜面は、穴部の内側の限られた部位に形成したごく小さな部分ににすぎず、その態様についての前記共通点が形態全体の基調に与える影響は軽微であり、共通点はいづれも両意匠の類否判断に影響を与える要素としてそれほど評価できない。 一方、前記差異点について考察すると、本願意匠の前記態様は、本願意匠に新規に形成した具体的な構成態様であり、穴部が前後に貫通しているためその態様は正面側のみならず背面側の外観にも影響を与えるものであり、また、意匠に係る物品の形態の構成位置および範囲を特定している部分の態様についての差異である点も勘案すると、その差異は、両意匠の類否判断を左右するほどの影響があると言えるものである。 したがって、両意匠の形態については、共通点よりも差異点のほうが両意匠の類否判断に与える影響が大きいと言えるから、互いに類似しないものと言わざるを得ず、両意匠は、意匠に係る物品が共通しているが、その形態全体としては共通しないものであるから、意匠全体として類似しないものと認める。 4.むすび 以上のとおりであるから、本願意匠は、本意匠の関連意匠としての登録を受けることができないものであり、意匠法第10条第1項の規定に該当しないとした原審の判断に誤りはない。 そして、前記のとおり、本願は、審判請求と同時に願書の本意匠の表示を削除する補正がなされているから、原審の拒絶の理由によっては拒絶できないものであり、また、当審において、他に拒絶の理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2004-07-15 |
出願番号 | 意願2002-28543(D2002-28543) |
審決分類 |
D
1
8・
3-
WY
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 川崎 芳孝 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
小林 裕和 鍋田 和宣 |
登録日 | 2004-08-13 |
登録番号 | 意匠登録第1218314号(D1218314) |
代理人 | 垣内 勇 |
代理人 | 瀧野 秀雄 |