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審決分類 |
審判 無効 1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効とする E2 |
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管理番号 | 1101315 |
審判番号 | 無効2003-35388 |
総通号数 | 57 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2004-09-24 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2003-09-16 |
確定日 | 2004-06-30 |
意匠に係る物品 | 知育用パズル |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1175938号「知育用パズル」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1175938号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.請求人の申立及び理由 請求人は、意匠登録第1175938号(以下、当該意匠を「本件登録意匠」という。)を無効とする、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める、と申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、甲第1号証ないし甲第5号証を提出した。 1.意匠登録無効の理由の要点 本件登録意匠は、甲第2号証及び甲第3号証に記載された公知意匠に類似する意匠であり意匠法第3条第1項第3号の規定により、意匠登録を受けることができないものであり、本件意匠登録は同法第48条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。 2.本件意匠登録を無効とすべきである理由 甲第2号証は、平成13年(2001)2月現在のもので、本件登録意匠の出願日前にマギー・ヴワット株式会社により発行された新製品カタログであり、本件登録意匠に類似する公知意匠であるチャイルドパズル新製品「ひらがなをおぼえよう!」(以下、「公知意匠」という。)が示されている。 甲第3号証は、甲第2号証のカタログに掲載されたチャイルドパズル新製品「ひらがなをおぼえよう!」を平成13年(2001)9月13日に販売したことの証明書である。 以下、実際に市場において販売された商品である公知意匠から形状を抽出して本件登録意匠と対比する。 A.共通点 (ア)横長形状の薄いパズル台紙である。 (イ)五十音順のひらがなの配置が全く同じである。特に「や」行と「わ」行とは必ずしも両意匠同じ配置にする必要はない。 (ウ)パズルピースは外形が全て異なるピースである。 (エ)外形の違いはピースの四辺のうちいずれかの辺に変化を持たせていることによる。 (オ)パズルピースを対応する凹部から外すための指掛け部を設けてあり、すべての指掛け部が共通した位置に設けてある。 B.相違点 (ア)パズルピースの外形の違いが、本件登録意匠の場合には、各パズルピースの四辺が異なるのに対して、公知意匠は各パズルピースの一辺だけが異なるように構成されている。 (イ)各パズルピースを外す指掛け部の位置が異なる。本件登録意匠は、指掛け部が各ピースの上辺右隅に配置されているのに対して、公知意匠は、指掛け部が各ピースの右中央に配置されている。 両意匠には、その構成において上記のような相違点はあるものの、公知意匠は先行周辺意匠との関係から、パズルピースの外形が五十音すべて異なるように構成されており、今までにない斬新な意匠であることから、意匠の類似の幅は広いといえる。そして、本件登録意匠もパズルピースの外形が五十音すべて異なるように構成されており、しかも五十音の配置を全く同じにしていることから、本件登録意匠は公知意匠に類似する意匠であるといわざるを得ない。 第2.被請求人の答弁 当審は、請求書の副本を被請求人に送達し、期間を指定して答弁書を提出する機会を与えたが、被請求人からは何らの応答もない。 第3.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成14年4月30日に意匠登録出願をし、平成15年4月18日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1175938号意匠であり、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「知育用パズル」とし、その形態を願書及び願書に添付の図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.公知意匠 公知意匠は、甲第2号証に示すマギー・ヴワット株式会社発行のカタログ「新製品チャイルドパズルW・Lスペシャルセット 新製品チャイルドパズルスペシャルセット」見開きの左上段右側に記載された「ひらがなをおぼえよう!」と称する「知育用パズル」の意匠であり、形態は同カタログに記載されたとおりである(別紙第2参照)。 そして、同カタログは、その見開きにおける、右下端の価格についての「2001年2月現在」と右下段の注文書欄の「3月21日発売予定 ご注文締め切り日:3月5日」との記載を総合すると、遅くとも、本件登録意匠の出願日である平成14年(2002年)4月30日より前の2001年3月5日までには頒布されたものと認められる。 また、甲第3号証の株式会社河田が株式会社テンヨーに宛てた証明書の記載全文によれば、公知意匠のものは平成13年9月13日までには販売されたものと認められる。 3.本件登録意匠と公知意匠の対比検討 本件登録意匠と公知意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態については、主として以下の共通点及び差異点がある。 【共通点】 (1)全体が台紙とパズルピースからなり、横長方形状の薄い台紙の表面側にそれぞれ外形が異なる46個の凹部を縦横に整列して設け、46個のパズルピースの外形を、凹部それぞれの外形に対応するように、辺に変化を持たせてそれぞれ異なる変形略縦長方形状に形成して、各パズルピースをどの凹部対応のものか子供が一目で分からないように似たような形状とし、各凹部に、その外形に対応する外形のパズルピースを着脱自在にはめ込んでなるものである点。 (2)各凹部の同位置に同形の小突出状辺を配して、パズルピースを外すための指掛け部を形成すると共に、この指掛け部に対応させて、各パズルピースの同位置に同形の切り欠き辺状の指掛け部を形成している点。 (3)凹部とそこにはめ込んだパズルピースは、台紙の右上端からスタートして縦書き方向に10列5段、「あ」文字用のものから「ん」文字用のもの順(ひらがな順)に配列され、左3列目と左1列目の「や」行用と「わ」行用の列には、それぞれ下2段を空けて、「や」、「ゆ」、「よ」文字用のものと「わ」、「を」、「ん」文字用のものを配列している点。 【差異点】 (A)各パズルピースの外形をそれぞれ異なる変形略縦長方形状に形成するに当たり、本件登録意匠は各辺に変化を持たせているのに対して、公知意匠は上辺のみに変化を持たせており、したがって、両意匠の対応する各パズルピースの外形は、具体的に見ると相違する点。 (B)各凹部及び各パズルピースにおける指掛け部の位置について、本件登録意匠は、右上隅としているのに対して、公知意匠は右辺中央としている点。 (C)台紙と各パズルピースの表面の模様の有無差(公知意匠に有り)。 そこで、上記の共通点と差異点について総合的に検討するに、共通点については、(1)の点は、台紙上の凹部とパズルピースとの基本的な組み合わせ態様に係るところであり、(2)の点は指掛け部の基本的な配置態様をよく表すところであり、(3)の点は凹部とそこにはめ込んだパズルピースの配列について特徴をなすところであり、これらの(1)ないし(3)の共通点が相俟って形成する形態全体のまとまりは、この種知育パズルの従来意匠に照らしてみるに、公知意匠の特徴をよく表すところといえ、両意匠間に強い共通感をもたらしている。 一方、差異点については、(A)の点は、パズルピースの外形差であるが、パズルピースの外形を、凹部それぞれの外形に対応するように、辺に変化を持たせてそれぞれ異なる変形略縦長方形状に形成して、各パズルピースをどの凹部対応のものか子供が一目で分からないように似たような形状とした両意匠のパズルピースの外形における基本的な共通態様、さらには、共通点全体がもたらす両意匠の強い共通感がある中にあっては、差異点として働く効果はさほど大きなものとはいえず、両意匠の類否判断を左右するまでには至っていない。また、(B)の点は、(2)のとおり、指掛け部の基本的な配置態様が両意匠共通する中での指掛け部の位置を若干改変した程度の差異に過ぎず、(C)の点は、意匠の実施に際して二次的に付加されたものといえる表面模様の有無差に過ぎず、いずれの差異点も、両意匠の類否判断を左右するほどのものではない。 そして、これらの差異点が相俟った効果を考慮しても、両意匠間に強い共通感をもたらす共通点に圧倒されており、結局のところ、本件登録意匠は公知意匠を超えるほどの特異性を発揮するまでには至っておらず、両意匠は、類似するものである。 4.結び 以上のとおりであって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当するものであり、本件意匠登録は、同法同条同項の規定に違反してなされたものであるので同法第48条第1項第1号に該当し、無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2004-04-27 |
結審通知日 | 2004-05-06 |
審決日 | 2004-05-18 |
出願番号 | 意願2002-11627(D2002-11627) |
審決分類 |
D
1
11・
113-
Z
(E2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松下 香苗 |
特許庁審判長 |
遠藤 京子 |
特許庁審判官 |
市村 節子 渡邊 久美 |
登録日 | 2003-04-18 |
登録番号 | 意匠登録第1175938号(D1175938) |
代理人 | 北村 仁 |