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審決分類 審判 無効  1項2号刊行物記載(類似も含む) 無効としない L3
管理番号 1101320 
審判番号 無効2003-35422
総通号数 57 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2004-09-24 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-10-07 
確定日 2004-06-30 
意匠に係る物品 支柱固定具 
事件の表示 上記当事者間の登録第1090258号「支柱固定具」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 請求人の申立及び理由
請求人は、「意匠登録第1090258号(以下、「本件登録意匠」という)を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」と申立て、その理由として要旨以下に示すとおり主張した。
まず要点として、本件登録意匠は、甲第1号証(以下、「甲号意匠」という)に記載のものと類似するものであって、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号により、無効とすべきである。
本件登録意匠と甲号意匠とは、共に「支柱用固定具」である物品として同一である。
そして、両者は、その基本的形態において共通する。すなわち、全体の形態として、「埋込部と、この埋込部の上面に板状載置部を介して立設された角筒状の支柱取付け部とを主体とし」た形態であり共通する。
この埋込部においても、「長三角形状板材を十字形に組み合わせて先端に至るにしたがって先細としたくさび形状となし」た形態であり共通する。
また、板状載置部においても、「上下2枚の円板からなる」点で共通しており、「それぞれの円板の中央部に小円孔が形成されている」か、否かの点に相違がある。
埋込部と板状載置部の関係において、「板状載置部の下側円板は埋込部の長三角形状板材の上端面にその中心を整合させ、且つ、その外周縁を長三角形状板材より外方に延出させた状態で取付けられ」た形態であり、両者は共通する。
支柱取付け部においても、「板状載置部の上側円板の上面には角筒状の支柱取付け部が取付けられ、縦長の角筒状で、高さが正四角筒の一辺の長さの約1.5倍(本件登録意匠)と1.5倍強(甲号意匠)に形成され」た形態であり、両者は共通する。
したがって、両者は、この種物品としての特徴的ともいえる基本的形態においてことごとく共通するものであり、類似するものであることは明らかである。
しかし、本件登録意匠において、「埋込部の各長三角形状板部のほぼ上部寄りの同位置に小円孔が形成され」ている形態、「前記上側円板の支柱取付け部の外周寄りには等配4ヶ所に円弧状孔が形成される一方、下側円板には、その円弧状孔に対向してボルト挿通孔が形成され、円弧状孔とボルト挿通孔に挿通したボルトとナットにより上側及び下側円板が固定され」ている形態、「支柱取付け部の正背両対向面には、上端の幅が上辺横幅の略3分の1でかつ深さが角筒の略3分の2の上側を隅丸状となした略U字状の縦割状切欠部が形成され」ている形態、「縦割状切欠部を挟む左右辺の略中央部にはそれぞれ小円孔が形成され」ている形態、「支柱取付け部の縦割状切欠部のない両対向面には上方寄り中央位置に小円孔が形成され」ている形態が、甲号意匠と異にするが、この点は、前記「埋込部」、「板状載置部」、「支柱取付け部」の基本形態に変化を及ぼすことのない単なる付加的形態で、部分的な差異に止まり、その差異は両意匠の類似性を妨げるものではない。
したがって、本件登録意匠は、甲号意匠と類似するものであって、無効とすべきである。

証拠方法
甲第1号証 「GAH ALBERTS」社発行の商品カタログ写し

第2 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由として要旨以下に示すとおり主張した。
「支柱取付部」の形状について、従来製品は甲号意匠に見られるようにその基本形状が平坦面で構成された角筒状であったが、本件登録意匠は、そのような平坦面の構成ではなく、対向する二面に略「U」字状の大きな「縦割状切欠部」を形成したものであり、この態様は従来の製品には見られない本件登録意匠の顕著な特徴とするところである。
甲号意匠には、「縦割状切欠部」がないばかりか、逆に本件登録意匠には見られない「支柱取付部」の四角筒の少なくとも一面の下端部に横幅いっぱいの「横長矩形状切欠部」が形成されている。この「横長矩形状切欠部」は四角筒の高さの約1/4の高さを有する幅のある切欠部であるため、看者にとってはその存在を無視できないものであり、「縦割状切欠部」を設けた本件登録意匠との違いをより強調している。
共通する先端部が先細状の長三角形状板材を十字形に組み合わせて形成した「くさび状埋込部」の上部に、支柱取付部を結合する「板状載置部」を設けてその上部に、角筒状の「支柱取付部」を立設したもので、この構成態様は、この種物品の用途に照らして考えれば、必然的に採用しなければならない構成態様のひとつであって、この構成態様に何ら形態上の特徴はない。
以上のとおり、両意匠は「支柱取付部」の態様において、顕著な差異があり、この差異は形態上の要部である「支柱取付部」におけるものであるから、意匠全体の類否を左右することは明らかである。
すなわち、両意匠は截然として別異の創作に係る意匠であり、本件登録意匠は引用意匠には類似しない。
したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に規定する意匠に該当しない。
よって、意匠法第48条第1項第1号の規定により無効とすることはできない。
第3 当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成11年10月20日の意匠登録出願に係り、平成12年9月1日設定の登録がなされたものであって、願書及び願書に添付された図面によれば、意匠に係る物品を「支柱固定具」とし、その形態は、添付された図面に表されたとおりのものである(別紙第1参照)。
すなわち、その形態は、全体が、上方の支柱支持部と下方の土中埋め込み部と、その中間のプレート部とからなるもので、プレート部は、薄板体からなり、支柱支持部は、略縦長正方形筒状体とし、プレート部の上面外周部にわずかな鍔状の余地部を残して一体状に立設し、土中埋め込み部は、下すぼまり状とした倒二等辺三角形状薄板(以下、「フィン」という)2枚を、下面視十文字交差状に形成したもので、その上辺部(二等辺三角形の底辺部分)をプレート部の下面に一体状に設けた基本的構成態様のものであり、
各部の具体的な態様において、
(A)支柱支持部の筒状体につき、幅と高さの比率を略2対3とした一部材からなるものであり、その正面及び背面側に、上端開放部の幅が支柱支持部の幅の3分の1弱、深さが支柱支持部の高さの3分の2強の下すぼまり状とした略V字状の切り欠き部を形成したもので、該切り欠き部の上端開放部の角部を円弧状に、切り欠き部の谷部を小円弧状にそれぞれ形成したものであり、その正背面側につき、切り欠き部の左右余地部それぞれの左右中央のやや上方寄りに、左右対称状に小円孔を穿ち、左右側面側につき、左右両側面の相対する部位で、奥行きの中央部やや上方寄りの部位に少し大きめの円孔を穿ったものである点、
(B)プレート部につき、直径を筒状体の一辺の長さの略2倍長とした同形同大の2枚の円形状プレートを、わずかに回動する態様でボルト留めにより固着したものであって、上側のプレート(以下、「上プレート」という)は、中央にやや大きめの円孔を穿ち、外周寄りに等間隔に4個の円弧状長円形のボルト孔を形成し、下側のプレート(以下、「下プレート」という)は、中央に上プレートと同径の円孔を穿ち、外周寄りで各フィンの中間部分に等間隔に4個のボルト孔を形成したものである点、
(C)土中埋め込み部のフィンの態様につき、高さを、全体の高さの略4分の3とし、上辺部の長さを、全体の高さの略4分の1としたもので、下端部(頂点部分)を小さな円弧状に形成し、フィンの上方寄りに2個の円孔を設けたものである点、
が認められる。

2.甲号意匠
甲号意匠は、請求の理由及び甲第1号証(表紙及び10頁上から2段目)の記載によれば、「支柱用固定具」に係る意匠であって、その形態は、カタログに記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。
すなわち、その形態は、全体が、上方の支柱支持部と下方の土中埋め込み部と、その中間のプレート部とからなるもので、プレート部は、薄板体からなり、支柱支持部は、略縦長正方形筒状体とし、プレート部の上面外周部にわずかな鍔状の余地部を残して一体状に立設し、土中埋め込み部は、下すぼまり状とした倒二等辺三角形状のフィンを、下面視十文字交差状に形成したもので、その上辺部(二等辺三角形の底辺部分)をプレート部の下面に一体状に設けた基本的構成態様のものであり、
各部の具体的態様において、
(A’)支柱支持部の筒状体につき、幅と高さの比率を略2対3とした一部材からなるものであり、少なくともその内の一面(又は対向する2面)の下辺部(プレートとの接合部)にわずかな隙間を形成し、隙間を有しない対向する2面の幅方向中央の上方及び、下方寄りに各1個の小円孔を穿っている点、
(B’)プレート部につき、直径を筒状体の一辺の長さの略2倍長とした同形同大の2枚の円形状プレートを、中心を軸として回動する態様で固着したものである点、
(C’)土中埋め込み部のフィンの態様につき、高さを、全体の高さの略6分の5とし、上辺部の長さを、全体の高さの略6分の1としたものである点、
が認められる。

3. 本件登録意匠と甲号意匠の類否判断
(1)両意匠の共通点及び差異点
本件登録意匠と甲号意匠とは、意匠に係る物品が共通し、形態について、以下の共通点差異点が認められる。
まず共通点として、
全体が、上方の支柱支持部と下方の土中埋め込み部と、その中間のプレート部とからなるもので、プレート部は、薄板体からなり、支柱支持部は、略縦長正方形筒状体とし、プレート部の上面外周部にわずかな鍔状の余地部を残して一体状に立設し、土中埋め込み部は、下すぼまり状とした倒二等辺三角形状のフィン2枚を、下面視十文字交差状に形成したもので、その上辺部をプレート部の下面に一体状に設けた基本的構成態様が共通し、
各部の具体的態様の内、
(a)支柱支持部の筒状体につき、全体の幅と高さの比率を略2対3としたもので、一部材からなるものである点、
(b)プレート部につき、直径を筒状体の一辺の長さの略2倍長とした同形同大の2枚の円形状プレートを、回動する態様で固着したものである点、
が認められる。
次に、差異点として、
(a’)支柱支持部の筒状体につき、本件登録意匠は、その正面及び背面側に、上端開放部の幅が支柱支持部の幅の3分の1弱、深さが支柱支持部の高さの3分の2強の下すぼまり状とした略V字状の切り欠き部を形成したもので、該切り欠き部の上端開放部の角部を円弧状に、尖端部を小円弧状にそれぞれ形成しているのに対して、甲号意匠は、切り欠き部を有していない点、下辺部に隙間の有無の点及び、各面における円孔の有無の点
(b’)プレート部につき、本件登録意匠の上プレートには、中央にやや大きめの円孔を穿ち、外周寄りに等間隔に4個の円弧状長円形のボルト孔を形成し、下プレートには、中央に上プレートと同径の円孔を穿ち、外周寄りで各フィンの中間部分に等間隔に4個のボルト孔を形成したものであるのに対して、甲号意匠は、中心を軸として回動する態様で固着したものである点、
(c’)土中埋め込み部のフィンの態様につき、全体の高さに対するフィンの高さの比率が、本件登録意匠の方が甲号意匠よりわずかに低い(短い)点及び、上方寄りの円孔の有無の点、
が認められる。
(2)両意匠の類否判断
そこで、本件登録意匠と甲号意匠を全体として観察し、上記共通点及び差異点の類否判断に与える影響について、総合的に考察する。
まず、 差異点について
(a’)の点は、支柱支持部について、略V字状の切り欠き部の有無の差異であるが、下記に示すとおり、両意匠の共通するとした基本的構成態様が、本件登録意匠独自の態様といえないことを考慮すると、両意匠の要部は、上方に設けた看者の注意を最も強く惹くところの支柱支持部の具体的態様であるということができる。そうすると、その差異は、顕著なものといわざるを得ず、この点が両意匠の類否判断に与える影響は大きいものである。
また、下辺部の隙間の有無の点及び、円孔の有無の点は、それぞれ細部の差異にすぎないものではあるが、上記略V字状の切り欠き部の有無の差異点と相まって、両意匠の類否判断に若干の影響を及ぼすものといえる。
(b’)の点は、上下プレートの係止態様の差異であって、回動する共通点の中の、機構上の差異にすぎず、いずれも普通に見受けられる態様であり、意匠の類否判断に与える影響は微弱にすぎない。
(c’)の点は、両者を並べて比較すればわかる程度の差異であり、使用態様においては、土中に埋め込まれて見えなくなる部分であることを勘案すると、部分的な差異に止まり、類否判断に与える影響は微弱なものといわざるを得ない。
そして、これらを総合し、意匠全体として観察した場合、両意匠の要部である支柱支持部における、略V字状の切り欠き部を有するか否かの具体的態様が表出する両意匠の印象の差異は、その他の差異点と相まって、看者に別異の意匠の印象を与えるものであり、両意匠の類否判断を左右するところと認められる。
それに対して、両意匠において共通するとした基本的構成態様は、両意匠の骨格をなす態様であるが、この種物品においては、本件登録意匠の出願前に、支柱支持部(又は、支柱部)と土中埋め込み部とプレート部とからなり、土中埋め込み部を下すぼまり状で、下面視十文字交差状に形成した態様のものが広く見受けられ(例えば、実用新案出願公開昭60-162148号、特許出願公開昭59-154270号、PeterGesell発行のカタログ「Ratgeberfu"rsBauen」256頁所載の「さく支柱用ソケット」(意匠課公知資料HD09001599)の意匠(別紙第3)参照)、また、この種物品において、支柱支持部を縦長角筒状とすること及び、フィンを倒二等辺三角形状とすることが、いずれも常套手段であることからこの共通点は格別高く評価することができないものであり、類否判断に与える影響は微弱なものといわざるを得ない。
次に各部の具体的な態様において共通する点についても、
(a)の点は、使用する支柱の太さ、長さ等により必然的に決まる部分であり、従来より普通に見受けられる範囲を出るものではなく、類否判断に与える影響は微弱にすぎない。
(b)の点は、従来より普通に見受けられるもので(例えば、前出の実開昭60-162148号公報参照)、本件登録意匠にみの特徴といえるものではなく、類否判断に与える影響は微弱にすぎない。
そうすると、これらの共通点は、いずれも類否判断に与える影響が微弱であって、これら共通点を総合し、相まった効果を考慮しても、前記差異点が共通点を大きく凌駕して、両意匠が看者に別異の印象を与えるものであり、これらの共通点は、両意匠の類否判断に与える影響は微弱なものといわざるを得ない。
以上のとおり、本件登録意匠と甲号意匠は、意匠に係る物品が共通するが、形態については、共通点があっても、類否判断を左右する差異点があるから、本件登録意匠は、甲号意匠に類似しているものということができない。

4. むすび
以上のとおりであって、請求人の主張する理由によって、本件登録意匠の登録を無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲

審理終結日 2004-04-28 
結審通知日 2004-05-06 
審決日 2004-05-19 
出願番号 意願平11-28996 
審決分類 D 1 11・ 113- Y (L3)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 川越 弘 
特許庁審判長 藤 正明
特許庁審判官 内藤 弘樹
西本 幸男
登録日 2000-09-01 
登録番号 意匠登録第1090258号(D1090258) 
代理人 谷口 和夫 
代理人 山本 哲也 
代理人 犬飼 達彦 
代理人 福迫 眞一 
代理人 石岡 隆 
代理人 福田 鉄男 
代理人 岡田 英彦 

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