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審決分類 |
審判 判定 同一・類似 属する(申立成立) H1 |
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管理番号 | 1101323 |
判定請求番号 | 判定2004-60008 |
総通号数 | 57 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠判定公報 |
発行日 | 2004-09-24 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2004-02-06 |
確定日 | 2004-07-23 |
意匠に係る物品 | 発光ダイオード |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1171193号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「発光ダイオード」の意匠は、登録第1171193号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。 |
理由 |
第1 請求人の申立て、及び理由 1.請求人は、イ号物件(当審の判断、及び結論においては「イ号意匠」という。)は、意匠登録第1171193号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)の範囲に属する、との判定を求めると申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、甲第1号証ないし第9号証を提出した。 2.判定請求の必要性 本件登録意匠に係る物品、及びイ号物件は、全体の寸法が極めて小さい、特殊性があるため、イ号物件が本件登録意匠の範囲に属するか否かについてその大きさが争点になると考えられるので、特許庁にその判断を求めることを趣旨として判定請求する次第である。 3.本件登録意匠について (1)本件登録意匠は、意匠に係る物品を「発光ダイオード」とするもので、その構成は下記のとおりである。 (2)基本的構成態様 本体は、細長長方形状の直方体からなる正面体と該正面体の背面側に一体形成され正面体と略同長さの細長直方体状の背面体とからなり、前記正面体の正面視中央には、透光性を有する発光窓が形成されなり、さらに前記本体から端子電極が外方に突出されてなる構成である。 (3)具体的構成態様 前記正面体の底辺が正面視両端縁を除き略逆台形状に突出形成されてなり、正面体の両側には、正面視において外側上部角が角取りされてなる略長方形の端子電極が一対突出してなり、且つ該電極は正面体から背面体側に向けて側面視略L字状に形成されている。 4.イ号物件 イ号物件は、別紙イ号物件目録に記載のとおりの「発光ダイオード」である。 該イ号物件は、正面視において本体の長さは2.9mmで端子電極を含めて全長4mmで、高さ0.8mmで平面視において幅は1.4mmである。 しかも、その構成は本件登録意匠とその構成態様において共通するものである。 4.本件登録意匠とイ号物件との類否 本件登録意匠とイ号物件とは、その基本的構成態様において全て共通する他、具体的構成態様においても実質的に共通するものである。 よって、イ号物件は本件登録意匠に類似することは疑う余地がない。特に本件登録意匠に類似するとして登録されている関連意匠を参酌すれば本件登録意匠の要部は、本体を細長長方形状の直方体とし、かつ該直方体の正面の略全面に横長な楕円形状の発光窓を形成し、しかも該本体から端子電極が外方に突出した構成態様にあると判断できる。 さすれば本件登録意匠とイ号物件とは類似することは明らかである。 5.視認性について (1)イ号物件 イ号物件は、極めて小さく視覚上の判別が極めて困難で意匠法上の意匠としての物品性を欠くとの反論があり得ることが予測できる。 意匠法上の「視覚」とは「聴覚」、「触覚」、「味覚」、「嗅覚」等に対応する用語で、意匠は「視覚」を通じて美感を起こさせるものと定義したものであり、それ以外の意義はないと解する。 一方、意匠の審査基準によると、少なくとも肉眼で形態が判別できるものについては寸法の大小関係なく意匠法上「視覚に訴えるもの」として認めているのである。 このことからすれば、イ号物件のようにその大きさが全長4mm×幅1.4mm×高さ0.8mmの物品であれば、その形態を認識することは十分に可能である。しかもイ号物件は本件登録意匠と同様に端子電極が正面視本体の両側面から外方に突出してなるため、十分に形態認識が可能である。 よって、イ号物件は意匠法上の意匠を構成し物品として成立するものであると判断する。 (2)本件登録意匠の特徴 特に本件登録意匠のように意匠の要部が、正面視本体からやや大きく突出した端子電極と本体とのプロポーションに基調がある場合には、より一層その形態の認識が容易となるもので、決して肉眼で認識できない形状ではないのである。 6.本件登録意匠とイ号物件との属否 (1) 類否判断 前記のようにイ号物件は、本件登録意匠の構成要件を全て具備するため、本件登録意匠に類似することは明らかである。 (2) 視認性 イ号物件は、前記のように極めて寸法的に小さいものであるが、少なくともその要部は肉眼にて観察することが可能である他、その取引慣行を参酌すれば何ら視認性を否定することができず、むしろ物品として十分に認識でき得るものである。 7.むすび さすれば、イ号物件は本件登録意匠の範囲に属することは明らかであるため、本件判定請求の趣旨に従った判定を求めるものである。 第2 当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、意匠公報、意匠登録原簿、出願書類によれば、平成13年11月2日の出願に係り、平成15年2月28日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1171193号の意匠であって、願書の記載、及び願書に添付された図面の記載によれば、意匠に係る物品を「発光ダイオード」とし、その形態は、次のとおりとしたものである(別紙第1参照)。 すなわち、その基本的構成態様は、本体部を略横長直方体形状とし、その左右側面、及び平底面の中央やや後方寄りを若干すぼまり状に形成し、正面部中央部分に略横長楕円形状の発光窓部を形成し、背面中央部分に平面視逆台形状の浅い縦溝を形成したものであり、本体部の両側面部の前後中央部分から外方に側面視略「L」字状の電気接続端子が突出したものであって、具体的な態様は、(ア)本体部の背面の縦溝の中央部分に略短円柱形状の突起を形成している点、(イ)本体部の背面の縦溝の両側にそれぞれ矩形状の浅い凹部を形成している点、(ウ)本体部の底面左右端部を前後に渡って正面視扁平台形状に切り欠いている点、(エ)本体部の正面側左上隅部を三角柱状に斜めに小さく切り欠いている点、(オ)電気接続端子の下面側の接触面を本体部の底面に合わせて面一としている点、(カ)電気接続端子の外側の上端隅部をわずかに弧状に切り欠いている点、(キ)本体部の左右側面、及び平底面の中央やや後方寄り(すぼまり状の境界部分)にわずかな段差を設けている点が認められる。 2.イ号意匠 イ号意匠は、請求人が提出した「イ号物件目録」、及び「イ号物件図」によれば、意匠に係る物品を、「発光ダイオード」とし、その形態については、次のとおりのものと認められる(別紙第2参照)。 まず、イ号意匠の形態についてであるが、「イ号物件目録」の(2)の記載によれば、「イ号物件は、正面視において本体の長さは、2.9mmで両側面に突出した端子電極を含めて全長4mmで高さ0.8mmで、平面視において幅は1.4mmである。」としたものであり、その大きさは極めて小さいものであるが、「イ号物件図」は、実物の大きさを約16倍に拡大したものであるから、当該「イ号物件図」に記載される図のうち、イ号物件の大きさに縮小したとき肉眼でその形態を認識することができない部分については、意匠を構成する要素と認めることはできない。したがって、イ号意匠については、肉眼で認識することができる形態についてのみ特定し、認定をするものとする。 すなわち、本体部を略横長直方体形状とし、その左右側面、及び平底面の中央やや後方寄りを若干すぼまり状に形成し、正面部中央部分に略横長楕円形状の発光窓部を形成し、背面中央部分に平面視逆台形状の浅い縦溝を形成したものであり、本体部の両側面部の前後中央部分から外方に側面視略「L」字状の電気接続端子が突出したものである。 3.本件登録意匠とイ号意匠の比較検討 (1)意匠に係る物品については、両意匠は、共に電子機器等の発光部に使用される「発光ダイオード」であるから一致している。 (2)形態については、本件登録意匠の基本的構成態様において、本体部を略横長直方体形状とし、その左右側面、及び平底面の中央やや後方寄りを若干すぼまり状に形成し、正面部中央部分に略横長楕円形状の発光窓部を形成し、背面中央部分に平面視逆台形状の浅い縦溝を形成し、本体部の両側面部の前後中央部分から外方に側面視略「L」字状の電気接続端子が突出したものである点が共通する。 一方、本件登録意匠の具体的な態様(ア)ないし(キ)について、イ号意匠は、当該箇所に該当する部分の大きさが極めて小さいため、その態様を肉眼で認識することができず、詳細は不明であり、当該部分の形態を特定することができない。 (3)そこで、上記(2)に基づいて、本件登録意匠とイ号意匠を全体として観察し、両意匠の類否判断に与える影響について、総合的に考察する。 まず、両意匠において共通するとした態様は、両意匠の形態についての骨格的な態様であって、形態全体を支配する要素に係るものであり、とりわけ本体部の両側面部の前後中央部分から外方に側面視略「L」字状の電気接続端子が突出した態様は、本件登録意匠の形態上の特徴を顕著に表すところであって、この点が共通する両意匠は、看者に共通する印象を与えるところであり、両意匠の類否判断を左右する要素と認められる。 次に、本件登録意匠の具体的な態様(ア)ないし(キ)と、イ号意匠の当該箇所に該当する部分についての比較であるが、前記(2)のとおり、イ号意匠の当該箇所に該当する部分の態様が不明であるため、両意匠の具体的な比較検討はできない。しかしながら、たとえイ号意匠の当該箇所の態様が明確な場合であっても、これらの部分は、いずれも背面部や底面部等のさほど目立たない部位における態様であるか、あるいは、意匠全体として見ると極小さい部分における態様であるから、仮に、本件登録意匠との間に差異があるとしても、これらの点は、両意匠の共通するとした態様に包摂される程度の部分的な差異に止まるものであって、類否判断を左右する要素としては、微弱なものといえる。 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が一致し、形態についても、前述のとおりの不明な点があっても、類否判断を左右する要素において共通するから、全体として類似するものというほかない。 4.結び したがって、イ号意匠は、本件登録意匠、及びこれに類似する意匠の範囲に属する。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2004-07-06 |
出願番号 | 意願2001-32437(D2001-32437) |
審決分類 |
D
1
2・
1-
YA
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 橘 崇生 |
特許庁審判長 |
藤 正明 |
特許庁審判官 |
内藤 弘樹 西本 幸男 |
登録日 | 2003-02-28 |
登録番号 | 意匠登録第1171193号(D1171193) |
代理人 | 藤本 昇 |
代理人 | 薬丸 誠一 |
代理人 | 岩田 徳哉 |
代理人 | 中谷 寛昭 |