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審決分類 審判 無効  2項容易に創作 無効とする L3
管理番号 1102944 
審判番号 無効2003-35408
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2004-10-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-09-30 
確定日 2004-08-02 
意匠に係る物品 フエンス 
事件の表示 上記当事者間の登録第1164547号「フエンス」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第1164547号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。
理由 第1 請求人の申立及び理由
請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由として要旨以下に示すとおり主張し、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。

意匠登録第1164547号(以下、「本件登録意匠」という)は、その出願前に公知となった甲第1号証に甲第2号証の横線材を組み合わせて、中段と下段の横線材を2本一組にしたものにすぎず、公知の意匠を慣用的な手法により寄せ集めたにすぎない。従って、本件登録意匠は、甲第1号証及び甲第2号証に記載の公知意匠に基づいて容易に創作することができたものであるから、意匠法第3条第2項の規定に該当して、意匠法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきである。
甲第1号証 意匠登録第953796号公報
甲第2号証 意匠登録第1129869号公報
第2 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない。審判の費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由として要旨以下に示すとおり主張した。

(1)甲第1号証
(a)物品
甲第1号証の意匠は、2段フェンスの上段フェンスとして利用されるものであって、使用目的が特化されたもので、縦線材の下端部がカギ型になっている。
フェンスとしては半完成品であり、基本的に物品として異なるものであり、非類似の物品である。
(b)意匠
縦線材について、末端がカギ型になっており、この形状が顕著な特徴となっており、本意匠とは全く違う。横線材は、均等に5本配設されているが、本意匠は2本1組のものが2段配設されている。
(2)甲第2号証
上部に円環状の胴縁を備えていない単純な線格子フェンスに過ぎない。円環状の胴縁を備えた本意匠と全く異なるものである。
(3)甲第1号証と甲第2号証の組合わせ
甲第1号証のフェンスは、フェンスとしては部品あるいは半完成品に相当するもので、このようなフェンスに、甲第2号証のフェンスの構成を転用することは、単なる置換や寄せ集めではあり得ないし、転用自体ありふれた手法ということはできない。
甲第1及び2号証から本意匠に到るには、甲第1号証の縦線材の下端のカギ型を直線化し、その上で甲第2号証の横線材を転用して2本1組とするという変更が必要である。
(4)結論
以上のように、本登録意匠は甲第1号証及び甲第2号証に基づいて容易に創作できたものでないことは明らかであるから、本登録意匠が無効となるべきものではないことは明らかである。

第3 無効の理由の通知
当審において、新たな無効の理由を発見したので以下のとおり通知した。
「本件登録意匠は、下記公知例1の「道路用防獣さく」の上方の胴縁部(上段の2本一組の横線材部分を含む上方部分)を、下記公知例2の「フエンス」の胴縁部の形状に、ほとんどそのままの態様で置き換えた程度にすぎないので、容易に創作できたものと認められ、意匠法第3条第2項の意匠に該当し、同条同項の規定に違反して登録された意匠に該当します。
公知例1(甲第2号証の意匠)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第1129869号の意匠
公知例2(甲第1号証の意匠)
特許庁発行の意匠公報記載
意匠登録第953796号の意匠」

第4 当審でした無効理由の通知に対する被請求人の意見
被請求人は、当審で通知した無効の理由に対して、要旨以下のとおり意見を主張した。
(1)公知例1のフェンスについて
公知例1のフェンスには胴縁が存在しない。認定では括弧書きで「上方部分」としており、この上方部分を強引に胴縁と認定している。胴縁のあるフェンスとないフェンスとは本質的に異なるものであって、胴縁のないフェンスは平張りといって、支柱一面側にべたべたと連続してフェンスを張る構成になる。胴縁のあるフェンスは支柱と支柱の中心を結ぶ線状に1枚ずつ張設するものである。
従って、公知例1のフェンスに胴縁があると強引に解釈した認定はその前提において間違いである。
(2)胴縁の置き換えについて
本願意匠の胴縁部はフェンスと一体に形成されており、フェンスの上部に横線を密に配設して、この部分を円筒に丸めて胴縁としたものである。このようなフェンスと一体の胴縁を置き換えることは一般的に行われることではない。
胴縁は通常、フェンスとは異なる部品として提供されるが、本願意匠の胴縁はフェンスと一体であって、部品を組み合わせるように交換できるものではない。
このように、フェンスと一体の胴縁を置き換えたと認識した上記認定はこの点においても、その前提を誤っている。
(3)公知例1のフェンスへの公知例2の胴縁の転用について
前記のように、公知例1のフェンスは胴縁の存在しないベタ張り用のフェンスであり、このようなフェンスに胴縁を適用することは普通ない。胴縁を適用した場合、支柱への張設方法が全く異なってくるため、現実的ではない。
例え公知例1に胴縁を適用するとしても、それは部品として存在するパイプ胴縁などを公知例1の上下端部に設けるのが普通であり、公知例2に示すようなフェンスと一体型の胴縁を適用することはない。
公知例2のような胴部を適用する場合、製造工程を全く異なるものとしなければならない、更に付言すれば、このような胴縁の一体化されたフェンスは、厚みがあるため、格納や運搬の面でも公知例1のフェンスとは全く異なる。
(4)結論
以上説明したように、無効理由の認定は誤った認識に基づいており、本願意匠は、公知例1及び2に基づいて容易に創作できたものではない。

第3 当審の判断
1. 本件登録意匠
本件登録意匠は、平成14年2月18日に意匠登録出願し、平成14年12月6日に意匠登録第1164547号として登録の設定がされたものであり、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「フェンス」とし、その形態を添付された図面に示すとおりとしたものである(別紙第1参照)。
すなわち、その形態は、
(ア)全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に配し、上端部に縦横線材で円筒状の胴縁部を形成したものであり、縦線材は37本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔と同幅で2本一組としたものを、中間部と下端部寄りに水平に二段配したものである点、
(イ)胴縁部は、縦線材の上端を円形状に形成し、その内方に6本の横線材を天地に1本ずつ、正背面側に2本ずつ等間隔に配したものである点、
が認められる。

2.当審が無効理由で通知した公知意匠
(1)「公知例1」(請求人が提出した甲第2号証の意匠)
「公知例1」は、平成13年12月25日、特許庁が発行した意匠公報に掲載された意匠登録第1129869号の意匠であって、意匠に係る物品を「道路用防獣さく」とし、その形態は、同公報に表されたとおりのものである(別紙第2参照)。
すなわち、その形態は、
(ア-1)全体が、縦線材と横線材を縦繁格子状に配したものであり、縦線材は42本を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔と同幅で2本一組としたものを、上端寄り、中間、下端寄りに等間隔に水平状に三段配したものである点、
が認められる。
(2)「公知例2」(請求人が提出した甲第1号証の意匠)
「公知例2」は、平成8年5月17日、特許庁が発行した意匠公報に掲載された意匠登録第953796号の意匠であって、意匠に係る物品を「フェンス」とし、その形態は、同公報に表されたとおりのものである。(別紙第3参照)
すなわち、
(ア-2)全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に配し、上端部に縦横線材で円筒状の胴縁部を形成したものであり、縦線材は、下端部を背面側に略「し」の字状に折り曲げたもの23本を、幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔の2.5倍の幅で水平略等間隔に5本配したものである点、
(イ-2)胴縁部は、縦線材の上端を円形状に形成し、その内方に6本の横線材を天地に1本ずつ、正背面側に2本ずつ等間隔に配したものである点、
が認められる。

3.本件登録意匠の創作容易性についての判断
(a)本件登録意匠の(ア)の点の内、上端部の胴縁部を除く、全体が、縦線材と横線材を竪繁格子状に形成したもので、縦線材は、40本前後を幅狭の等間隔で垂直に配列し、横線材は、隣り合う縦線材の間隔と同幅で2本一組としたものを、縦線材の中間部と下端部寄りに水平に配した態様のものが、公知例1の(ア-1)に示すとおり本件登録意匠の出願前に公然知られている。
(b)本件登録意匠の(イ)の、胴縁部が縦線材の上端を円形状に形成し、その内方に横線材6本を等間隔に配したもので、側面視の外径を隣り合う縦線材の間隔と略同長とし、横線材を天地に1本ずつ、正背面側に2本ずつ配した態様のものが、公知例2の(イ-2)に示すとおり本件登録意匠の出願前に公然知られている。
そうして、上記(a)及び(b)の態様に基づいて一の意匠にまとめることは、当業者であれば容易に想到できるものといえるものであるから、本件登録意匠は、その形態において、その出願前に公然知られた公知例1及び公知例2の意匠に基づいて容易に創作することができたものといわざるを得ない。
なお、被請求人は、当審において通知した無効理由に対する意見として、(1)まず、「公知例1のフェンスには胴縁は存在しない。胴縁のあるフェンスとないフェンスとでは、胴縁のないフェンスは、支柱の一面側に平張りする構成であるのに対して胴縁を有するフェンスは、支柱間に1枚ずつ張設するもので本質的に異なるものである。従って公知例1のフェンスに胴縁があると強引に解釈した認定はその前提において間違いである。」旨主張している。
しかしながら、胴縁とは、「垣(フェンス)において親柱、間柱に渡す水平の材。」(1997年4月10日発行、彰国社刊「建築大辞典 第2版」1170頁に掲載の記事及び図版より抜粋)とあるように、公知例1の意匠についてみれば、水平に渡した2本一組の横線材が、それぞれ胴縁に係るものであるから、胴縁が存在しないという被請求人の主張は失当といわざるを得ない。また、公知例1の「使用状態を示す参考図」に、支柱の一面側に張る構成のもののみが表されているからといって、この構成に限定されるものではなく、公知例1のフェンスを支柱間に張設することも可能であることから、この点について被請求人の主張は採用することができない。
(2)次に、「本願意匠の胴縁はフェンスと一体であって、部品を組み合わせるように交換できるものではない。」旨主張している。
しかしながら、この点について意匠法第3条第2項の趣旨は、部品等のように物理的な置き換えが容易か否かを問うものではなく、一体不可分のものであっても、それ自体として具体的な態様が識別できるものであれば、創作性の判断の基礎とすることができるというものであるから、この点についての被請求人の主張は採用することができない。
(3)さらに、「公知例1のフェンスは、胴縁の存在しないベタ張り用のフェンスであり、このようなフェンスに胴縁を適用することは普通ない。胴縁を適用した場合、支柱への張設方法が全く異なるため現実的でない。例え適用するとしても、それは部品として存在するパイプ胴縁などを公知例1の上下端部に設けるのが普通である。公知例2のような胴縁を適用すると、製造工程が異なり、格納や運搬の面でも異なる。」旨主張している。
しかしながら、上記(1)で述べたとおり、公知例1は、胴縁を有するフェンスであり、支柱への張設方法についても、支柱の一面側にベタ張りするのみでなく、支柱間に張設することが可能なフェンスであることは明らかであり、胴縁を有するフェンスにおいても、支柱間に張設する方法のみならず、支柱の一面側に張り付ける手法も見受けられることからすると、「支柱への張設方法が全く異なる」とする被請求人の主張は当を得ないものといわざるを得ない。
また、「部品であるパイプ胴縁などを設けるのが普通である」とする点は、この種線材で構成されたフェンスにおいて、上下端部に縦線材を屈曲させて形成したものが普通に見受けられることを勘案し、意匠の創作の観点で公知例1を見ると、胴縁の態様がパイプ胴縁に限定されるものではなく、むしろ、端部を屈曲させて筒状の胴縁を形成する方が普通といえるものであるから、被請求人の主張は採用することができない。
その余の、製造工程や、格納、運搬に関する主張は、物品の形態が異なれば、当然に発生することで、意匠の創作容易性の判断に何らの影響を与えるものではない。

4. むすび
以上のとおり、本件登録意匠は、意匠法第3条第2項の規定に該当する意匠であるにもかかわらず、意匠登録を受けたものであるから、請求人の他の主張を検討するまでもなく、その登録は無効とされるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2004-06-08 
結審通知日 2004-06-11 
審決日 2004-06-22 
出願番号 意願2002-3999(D2002-3999) 
審決分類 D 1 11・ 121- Z (L3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川越 弘 
特許庁審判長 藤 正明
特許庁審判官 内藤 弘樹
西本 幸男
登録日 2002-12-06 
登録番号 意匠登録第1164547号(D1164547) 
代理人 内野 美洋 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 内野 美洋 
代理人 松尾 憲一郎 
代理人 高橋 清 

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