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審決分類 |
審判 判定 属する(申立成立) L5 |
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管理番号 | 1108093 |
判定請求番号 | 判定2004-60041 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠判定公報 |
発行日 | 2005-01-28 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2004-04-30 |
確定日 | 2004-11-24 |
意匠に係る物品 | カ―テン吊用フツク |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第0808040号の類似第4号意匠の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | (イ)号図面及びその説明書に示す「カ―テン吊用フツク」の意匠は、登録第0808040号の類似第4号意匠意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。 |
理由 |
1.請求の趣旨 本件請求は、イ号意匠が意匠登録第808040類似の4号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)およびこれに類似する意匠の範囲に属するとの判定を求めるものである。 2.請求人の主張 請求人は、イ号意匠について概ね次のとおり主張し、甲第1〜7号証を提出している。 (1)本件登録意匠は、意匠に係る物品がイ号意匠と共通する。また、両物品ともプラスチック材料の一体成型品である点で共通する。 (2)両意匠は、基本的形態が共通する。 挿入杆部が直線的に延びているか否か、またフック部の寸法比率等若干相違する部分があるが、間接的な対比においては、かかる差異点よりも基本的形態が共通している印象が大きい。更に、杆の周径が徐々に変化し、また全体として継ぎ目なく連続するという意匠上の特徴が共通する点も基本的形態の共通性を更に深くする。 (3)イ号意匠には、本件登録意匠の創作の要点である溝部が、その範囲、位置、大きさがほぼ共通する形態で存在しているものであり、両意匠の類否の判断に大きな影響を与えるものである。 (4)両意匠の差異点である挿入杆部またはフック部先端が略球状であるか否かについては、公知資料1からも分かるように、既に用いられている形態であり、特段顕著な差異点とはいえない。また、挿入杆凸部及び主杆凸部の有無も、その大きさが挿入杆部の10%に過ぎないので、こちらも大きな差異点とはいえない。 (5)両意匠を全体的に考察すると、両意匠の差異が類否の判断に与える影響は、いずれも微弱なものであって、基本形態の共通及び要部の共通を凌駕しているものとはいえない。 したがって、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するものである。 (証拠方法) 甲第1号証 イ号意匠 甲第2号証 イ号掲載カタログ「HARMONY CURTAIN TOOLS CATALOGUE Vol.3」表表紙,第38頁,裏表紙の写し 甲第3号証 関連カタログ「HARMONY CURTAIN TOOLS CATALOGUE’91」表表紙、奥付頁、裏表紙の写し 甲第4号証 公知資料1 意匠公報706799号(写し) 甲第5号証 公知資料2 意匠公報707244号(写し) 甲第6号証 公知資料3 意匠公報706808号(写し) 甲第7号証 本件登録意匠説明図 3.被請求人の主張 本件判定請求に対する被請求人の答弁は無い。 4.当審の判断 4.1本件登録意匠とイ号意匠の対比 本件登録意匠は、昭和63(1988)年3月9日に出願され、平成3(1991)年7月12日に類似意匠の意匠登録を受けたものであり、願書及び願書添付の図面によれば、その意匠は、意匠に係る物品「カーテン吊用フック」の形状に関する創作物であって、その形状を同図面記載のとおりとしたものである(別紙1参照)。 一方、甲第1〜3号証によれば、イ号意匠は、意匠に係る物品が「カーテン吊用フック」であり、その形状が甲第1号証(別紙2参照)に記載されたとおりのものである。 両意匠を対比すると、意匠に係る物品については、両者一致し、その形状については、次に示す共通点と相違点が認められる。 [共通点] (1)つづら折り状に屈曲する一体成形のカーテン吊用フックであって、略「く」字状に浅く屈折する主杆部の下端を円弧状に曲げて上方に向かう挿入杆部を形成すると同時に、主杆部と挿入杆部によってヘアピン状のクリップ部を形成し、さらに主杆部上端を円弧状に曲げてジグザグ状に下方に向かうフック部を形成した全体の基本構成。 (2)ヘアピン状クリップ部について、挿入杆部を主杆部よりも多少短くするとともに、先端を漸次先細状とし、主杆部の屈折部外角と挿入杆部が接近する括れ部を開放端寄りに形成し、主杆部から挿入杆部に至る湾曲部のカーブに沿って正面側及び背面側に略U字形に湾曲する細溝を形成している点。 (3)フック部について、先端を漸次先細状とし、主杆部上端の円弧状湾曲部から下方に向けて裾広がりに下降させた後、内側に逆「く」字形に屈折させ、さらに外側に「く」字形に屈折させて開放端寄りに括れ部を形成するとともに先端部を主杆部中央付近に位置づけている点。 (4)部材の最大幅(若しくは厚み)を全高の略1/15程度としている点。 [相違点] (1)ヘアピン状クリップ部における凸部の有無について、本件登録意匠は、括れ部の下方に食い違い状に噛み合う一対の半円状凸部を形成しているのに対し、イ号意匠は、そのような凸部を形成していない点。 (2)挿入杆部の形状について、本件登録意匠は、括れ部から先を逆「く」字状に浅く屈折させ、先端を滑らかに丸めているのに対し、イ号意匠は、挿入杆部全体を直線的に形成し、先端に俵形の小さな膨らみを形成している点。 (3)フック部先端の形状について、本件登録意匠は、先端に球形の小さな膨らみを形成しているのに対し、イ号意匠は、先端を滑らかに丸めている点。 (4)主杆部における屈折部の位置について、本件登録意匠は、屈折部を全高の略2/5程度に位置づけているのに対し、イ号意匠は、屈折部を全高の略4/5程度に位置づけている点。 4.2 類否判断 これらの共通点及び相違点について検討すると、共通点(1)に示す全体の基本構成は、意匠全体の骨格を成すものであるとともに、共通点(2)に示すヘアピン状クリップ部の形態及び共通点(3)に示すフック部の形態を併合することによって、両意匠の支配的な基調を形成し、さらに共通点(4)に示す部材の寸法比率における共通性も加わって、観察者に共通の美感を起こさせるとともに、両意匠間に強い類似性をもたらしているものと認められる。 一方、相違点(1)のヘアピン状クリップ部における半円状凸部の有無の差異については、該凸部を有さないイ号意匠の当該部位の形態に特筆すべきものはなく、相違点(2)の挿入杆部の形状における差異については、該部を直線状に形成して先端に膨らみを持たせたイ号意匠の当該部位の形態が甲第6号証意匠等(別紙3参照)に見られるようにありふれたものであるため、いずれもイ号意匠を特徴付けるものとは成し得ないものである。 また、相違点(3)のフック部先端の形状における差異については、先端を滑らかに丸めただけのイ号意匠の当該部位の形態に特筆すべきものはなく、相違点(4)の主杆部における屈折部の位置の差異については、適宜施される常套的改変の域を出ないものであって、共通点(1)〜(3)に基づく両意匠の支配的基調の共通性を凌ぐものではない。 さらに、これらの相違点に係るイ号意匠の形態が相俟って表出する視覚効果を勘案しても、上記共通点からもたらされる両意匠の圧倒的な類似性を凌ぐほどの差異を認めることはできない。 すなわち、イ号意匠は、本件登録意匠に類似するものと認められる。 5.むすび したがって、イ号意匠は、本件意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するものと認められる。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2004-11-10 |
出願番号 | 意願昭63-9546 |
審決分類 |
D
1
2・
-
YA
(L5)
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最終処分 | 成立 |
特許庁審判長 |
藤木 和雄 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 岩井 芳紀 |
登録日 | 1991-07-12 |
登録番号 | 意匠登録第808040号の類似意匠登録第4号(D808040/4) |
代理人 | 中川 信治 |
代理人 | 宮崎 伊章 |