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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1119526 
審判番号 不服2004-13309
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2005-08-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-06-28 
確定日 2005-06-27 
意匠に係る物品 自動車用タイヤ 
事件の表示 意願2003- 20545「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本願意匠は、2003年7月16日の意匠登録出願(優先権主張 フランス国 2003年1月16日出願)に係り、願書及び願書添付の図面の記載によれば,意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし、その形態を同図面に示すとおりとしたものである。(別紙第1参照)
2. 引用意匠
これに対して、本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠は、本願の出願前の1995年4月3日に現(独)工業所有権情報・研修館が受け入れ所蔵する雑誌「モーターファン 第49巻第5号」(1995年5月1日株式会社三栄書房発行)の第153頁所載の写真版に示された意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HA07005004号)であって、その記載によれば、意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし、その形態は同写真版に示されるとおりのものである。(別紙第2参照)
3.比較
本願意匠と引用意匠とを比較すると、両意匠は、意匠に係る物品が同一であり、その形態については、主として以下の共通点と差異点があるものと認められる。
(共通点)
先ず共通点を摘示すると、ショルダエッジがやや丸い自動車用タイヤにおいて、(1)トレッド中央寄りに4本の太い周回縦溝を設け、それらの縦溝に囲まれた部分に、左から順に中央左ブロック列、中央リブ、中央右ブロック列を形成し、それらの外側に左ショルダブロック列又は右ショルダブロック列を設けるとともに、中央リブには上下等間隔平行状に略斜め短溝を形成し、中央左右ブロック列には上下等間隔に右下がり平行斜線状溝を形成し、左右ショルダブロック列には上下等間隔平行状に横溝及びサイプを形成した、全体の概括的な構成態様が認められる。
また、具体的な構成態様においても、(2)中央リブの左右中央に細溝1本を設けている点、が認められる。
(差異点)
次いで差異点を摘示すると、(ア)中央左右ブロック列の横幅につき、引用意匠が同幅であるのに対して、本願意匠は、右側のものが広幅である点、(イ)中央リブの略斜め短溝につき、本願意匠は、左半部と右半部がごく僅かに上下にずれた線状溝が、倒コ字状に全幅にわたって設けられているのに対して、引用意匠は、左右辺縁から内側に向かって略小三角形状の短溝が千鳥足状に配置されている点、(ウ)中央左ブロック列の平行斜線状溝について、本願意匠は、上下の溝の間隔が広く、上下の溝の間に斜め短状細溝がてれこの位置に3本設けられているのに対して、引用意匠は、上下の溝の間隔が狭く、上下の溝の間に1本の短溝が配置されている点、(エ)中央右ブロック列の平行斜線状溝について、引用意匠は、中央左ブロック列の溝と点対称形であるのに対して、本願意匠は、点対称形でなく、平行斜線状溝の上下の間隔が狭く、上下の平行斜線状溝間に2本の短溝が設けられている点、(オ)左ショルダブロック列の横溝について、本願意匠は、僅かに上方に膨らむ弧状で、その左半部が太く、上下の溝の間に短横溝が1本形成され、隣接する中央左ブロック列の平行斜線状溝と段違い状を成しているのに対して、引用意匠は、平行斜線状溝とその間の短溝の傾斜が急で、隣接する中央左ブロック列の平行斜線状溝及び短溝と連続するように配置されている点、(カ)右ショルダブロック列の横溝について、引用意匠は、隣接する中央左ブロック列の平行斜線溝と短溝の延長線上に位置し、左ショルダブロック列の横溝と点対称形となっているのに対して、本願意匠は、左ショルダブロック列の横溝と形状が異なり、平行斜線状溝が略S字状にうねっており、その間に稍短い略S字状細溝が形成されている点、が認められる。
4.当審の判断
そこで、上記の共通点と差異点が両意匠の類否の判断に及ぼす影響について以下に検討する。
先ず共通点について、(1)の点は、全体の基本的な構成態様ではあるが、未だ両意匠の抽象的ないしはごく大掴みな態様についての共通点に止まっており、またその態様は、従来から公知の態様であって特徴的なもではないから、その類否判断に及ぼす影響はさほど大きいとはいえないものである。(2)の点は、中央部に位置する態様ではあるがさほど目立つものではなく、また、公知の態様で特徴のないものであるから、その類否判断上の影響は軽微に止まるものである。
次いで差異点について、(ア)の点は、単なる幅の差異としては大きな差異ではないものの、中央左右ブロック列の左右対称性と非対称性の違いを印象付けるものであり、中央部分の目を惹く部分の態様でもあるから、その影響は大きいものである。(イ)の点は、両意匠ともに格別特徴のある態様とはいえないものの、トレッド中央の目立つ部分の差異であり、その影響はやや大きいものである。(ウ)及び(オ)の点は、これらが相まって、トレッド左半部の構成につき、引用意匠が左右方向の連続性及び中央左ブロック列と左ショルダブロック列の一体性を印象付けるのに対して、本願意匠は、左右の非連続性及び中央左ブロック列と左ショルダブロック列の独立性を印象付けるものであり、その影響は大きいものである。(エ)及び(カ)の点は、これらが相まって、トレッド右半部の構成につき、トレッド左半部と同様の差異感を生じさせるから、その影響は大きいものである。そして、これら差異点が相まって奏する効果は、引用意匠がトレッド右半部が左半部と点対称形の態様であるのに対して、本願意匠はトレッド右半部と左半部とが非対称の異質な態様であることを強く印象付けるものであり、その影響は非常に大きいものである。
そうすると、類否判断に及ぼす共通点の影響は、これらが相まって奏する効果を検討しても大きいとはいえないのに対して、差異点がまとまって及ぼす影響は大きなものであるから、差異点が共通点を陵駕するのは明らかである。
したがって、両意匠は、類似するとはいえない。
5.まとめ
以上のとおり、本願意匠は、意匠法第3条第1項の規定により意匠登録を受けることができないとすることはできない。また、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2005-06-09 
出願番号 意願2003-20545(D2003-20545) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 伊藤 栄子 
特許庁審判長 藤木 和雄
特許庁審判官 岩井 芳紀
樋田 敏恵
登録日 2005-07-08 
登録番号 意匠登録第1248667号(D1248667) 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 中村 稔 
代理人 箱田 篤 
代理人 西島 孝喜 
代理人 宍戸 嘉一 
代理人 大塚 文昭 
代理人 今城 俊夫 
代理人 中村 稔 
代理人 村社 厚夫 
代理人 小川 信夫 
代理人 村社 厚夫 
代理人 小川 信夫 
代理人 今城 俊夫 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 箱田 篤 
代理人 大塚 文昭 
代理人 西島 孝喜 
代理人 宍戸 嘉一 

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