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審決分類 |
審判 M1 |
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管理番号 | 1119549 |
審判番号 | 無効2004-88019 |
総通号数 | 68 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2005-08-26 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-08-18 |
確定日 | 2005-06-13 |
意匠に係る物品 | レース地 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1207141号「レース地」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1207141号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 請求人の申し立て及び理由 請求人は、結論同旨の審決を求めると申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、証拠として、甲第1号証乃至甲第5号証を提出した。 意匠登録第1207141号の意匠(意匠に係る物品「レース地」。以下、「本件登録意匠」という。)は、本件登録意匠の出願前に頒布された刊行物であるカタログ「CONTRACT CURTAIN 医療・福祉・教育・各種施設用 VOL.4」(甲第3号証)に記載されている商品名「オークランド」(品番CK9606)の意匠(以下、「甲号意匠」という。)に類似する意匠であり、本件登録意匠は意匠法第3条第1項第3号の規定に該当し、また、甲号意匠に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであるから、本件登録意匠は同法第3条第2項の規定に該当する。 したがって、同法第48条第1項第1号の規定により、本件登録意匠の登録は無効とすべきである。 第2 被請求人の答弁 被請求人は、上記請求人の主張に対して、指定された期間内に答弁書を提出しなかった。 第3 当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成15(2003)年8月8日に意匠登録出願され、その後平成16(2004)年4月16日に、意匠権の設定の登録がなされた意匠登録第1207141号の意匠であって、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「レース地」とし、形態は、願書に添付された見本のとおりとしたものである(本件審決書に添付の別紙第一参照)。 2.当審の無効理由通知 当審は、当事者が申し立てない理由について審理し、意匠法第52条で準用する特許法第153条第2項の規定により、平成17年1月13日付でその審理の結果を当事者に通知し、相当の期間を指定して意見を申し立てる機会を与えた。 通知した無効理由は以下のとおりである。 「意匠登録第1207141号の意匠(以下、本件登録意匠と言う。)は、下記に示すように、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められますので、意匠法第3条第2項の規定に該当します。 記 本件登録意匠は、全体がシート状の布地であって、表面の上方及び下端寄りに余地を残して、略横長楕円形状の孔を縦に複数配列した列を左右に連続させ、各列の上端の孔の上辺を上方に膨らませ、下端の孔の下辺を下方に膨らませたレース地である。本願の出願前に、この種物品分野においては、全体がシート状の布地であって、表面の上方及び下端寄りに余地を残して、略横長楕円形状の孔を縦に複数配列した列を左右に連続させ、各列の上端の孔の上辺を上方に膨らませ、下端の孔の下辺を下方に膨らませた意匠は公然知られている(資料1)ことから、本願の意匠は、(資料1)に基づいて、表面上方の余地部の面積と孔の数に変更を加えたにすぎないものであって、余地部の面積と孔の数に変更を加えることは、この種物品分野においてはありふれたものである(例えば、資料2)から、本願の意匠は、公然知られた形状に基づいて、ありふれた手法により、容易に創作ができたものと認められます。 資料1 本願の出願前、日本国特許庁が平成6年(1994年)12月6日に発行した登録実用新案公報に記載された、実用新案登録第3004929号の図1これに関連する記事によって表された「カーテン地」の意匠 資料2 本願の出願前、日本国特許庁が平成6年(1994年)2月1日に公開し、公開特許公報に記載された、平成6年特許出願公開第22842号の図2及びこれに関連する記事によって表された「カーテン」の意匠」 3.当審の無効理由通知に対する被請求人の意見 被請求人は、当審の無効理由通知に対して、指定された期間内に意見書を提出しなかった。 4 本件登録意匠の創作性の有無 本件登録意匠に関して、創作性の有無について検討すると、全体がシート状の布地であって、表面の上方及び下端寄りに余地を残して、略横長楕円形状の孔を縦に複数配列した列を左右に連続させ、各列の上端の孔の上辺を上方に膨らませ、下端の孔の下辺を下方に膨らませた意匠は、資料1(別紙第二参照。)に見られるように本件登録意匠の出願前に本件登録意匠に属する分野において公然知られているものである。 次に、シート状の布地の表面上方の余地部の面積と孔の数に変更を加えることは、例えば、資料2(別紙第二参照。)に見られるように、本件登録意匠の出願前に本件登録意匠に属する分野においてはありふれたものである。 上述の通り、資料1は本件登録意匠の出願前に公然知られているものであるから、本件登録意匠は、全体がシート状の布地であって、表面の上方及び下端寄りに余地を残して、略横長楕円形状の孔を縦に複数配列した列を左右に連続させ、各列の上端の孔の上辺を上方に膨らませ、下端の孔の下辺を下方に膨らませた意匠(資料1)に基づいて、資料2に見られるように、シート状の布地の表面上方の余地部の面積と孔の数に変更を加えるというありふれた手法を施したにすぎないものであるから、公然知られた形状に基づいて、ありふれた手法により、容易に創作ができたものと認められる。 5.結び 本件登録意匠は、無効理由通知で通知した理由のとおり、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであり、意匠法第3条第2項の規定に該当し、本件意匠登録は、同法同条の規定に違反してなされたものであるので、同法第48条第1項第1号に該当し、無効とすべきである。 審判に関する費用については、意匠法第52条において準用する特許法第169条第2項において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2005-03-10 |
結審通知日 | 2005-03-14 |
審決日 | 2005-04-25 |
出願番号 | 意願2003-23126(D2003-23126) |
審決分類 |
D
1
113・
121-
Z
(M1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 高野 善民 |
特許庁審判長 |
伊勢 孝俊 |
特許庁審判官 |
小林 裕和 鍋田 和宣 |
登録日 | 2004-04-16 |
登録番号 | 意匠登録第1207141号(D1207141) |
代理人 | 川崎 実夫 |
代理人 | 稲岡 耕作 |