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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) B6
管理番号 1129050 
判定請求番号 判定2005-60025
総通号数 74 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2006-02-24 
種別 判定 
判定請求日 2005-04-18 
確定日 2006-01-11 
意匠に係る物品 ライタ― 
事件の表示 上記当事者間の登録第0962554号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「ライタ―」の意匠は、登録第0962554号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、イ号意匠図面及びその説明書に示す意匠(以下、「イ号意匠」という。)は登録第962554号及び類似1号及び類似2号(これらにつき、請求人は「本件登録意匠」というが、当審においては登録第962554号のみを「本件登録意匠」という。)意匠の範囲に属する、との判定を求めると申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、甲第1号証ないし第5号証、資料1及び2(本件登録意匠とイ号意匠の主要図)、及び資料3ないし7(本件登録意匠に関する先行周辺意匠の意匠公報の写し)を提出した。
本件登録意匠とイ号意匠とは、意匠に係る物品が「ライター」で共通しており、基本的な構成態様において、胴体部分であるライター下部と、キャップ部と操作部及び仕切部で構成されるライター上部から成り、ライター上部上辺は操作部とキャップ部の接点からそれぞれの端に向かうに従って緩やかな曲線を描き、ライターの横断面形状は左右対称の楕円形であって、キャップ部と操作部の正面における比率はほぼ1:1であり、ライター上部とライター下部の高さの比率はほぼ1:3であるという特徴を同じくするものである。
また具体的な構成態様において、仕切部とライター下部の境界はライターを横断する直線で仕切られ、キャップ部及び操作部と仕切部の境界は正面図左よりの部分が一部直線になった曲線で仕切られ、他方は約20度右上がりに傾斜し、これに続く右端部で水平方向の直線で構成されているという特徴を同じくし、操作部上辺から少し下側にある軒のラインと、操作部と仕切部との境界の仕切りラインとは、ともに緩やかな弧線で平行に設けられているという特徴を同じくするものである。
他方、ライター上部上辺、キャップ部の空気取り入れ口、キャップ部上面の火口孔周辺等に差異があるが、かかる差異点は意匠全体の形状から見れば僅かなものであり、特別顕著な相違とは言えないもので、類否の判断に与える影響は微弱である。
以上のとおりであるから、イ号意匠は本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するものである。
第2.被請求人の答弁及び理由
請求書の副本を平成17年6月21日に被請求人に送達し、30日以内の期間を指定して答弁書を提出する機会を与える旨通知したが、被請求人からは答弁書その他の提出はなかった。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成7年1月26日に意匠登録出願をし、平成8年6月24日に意匠権の設定の登録がなされた登録第962554号(登録第962554号の類似1号及び類似2号は除く)であり、その意匠は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「ライター」とし、形態を願書及び願書に添付した図面及び本件登録意匠の主要図に記載されたとおりとするものである(別紙第1)。
2.イ号意匠
イ号意匠は、イ号意匠図面及びイ号意匠説明書に示されたものであって、意匠に係る物品を「ライター」とし、その形態はイ号意匠図面及びイ号意匠の主要図に示されたとおりのものである(別紙第2参照)。
3.本件登録意匠とイ号意匠の比較検討
本件登録意匠とイ号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態については主として以下の共通点及び差異点がある。
(共通点)
両意匠には、基本的な構成態様において、(1)液体ガスを貯蔵するタンクを有する胴体部分であるライター下部と、発火部分を保護するキャップ部と押し下げ式の点火操作部及び仕切部で構成されるライター上部から成る点、(2)ライターの横断面形状が左右対称の楕円である縦長楕円柱である点、(3)ライター上部上面は操作部とキャップ部の接点からそれぞれの端に向かってなだらかな曲線を描いている点、で共通性が認められ、各部の具体的な構成態様において、(4)キャップ部と操作部の正背面における比率はほぼ1:1であり、ライター上部とライター下部の高さの比率はほぼ1:3である点、(5)正面における仕切部とライター下部の境界は、ライターを横断する直線で仕切られ、キャップ部と仕切部の境界は正面図左よりの部分が一部直線で仕切られ、操作部と踏み台形仕切部の上辺との境界は正面図右よりの部分が水平方向の直線で、その間を約20度右上がりに傾斜するなだらかな線で結んで仕切られている点、(6)キャップ部の正背面及び側面に空気を取り入れるための長孔と、上部には火口となる円孔が穿ってある点、(7)正背面における操作部上辺から少し下側にある軒のラインと、操作部と仕切部との境界の仕切りラインとは、ともに緩やかな弧線で平行に設けられている点、で共通性が認められる。
(差異点)
両意匠には、具体的な構成態様において、(イ)ライター上部上面の形状について、本件登録意匠は操作部の方が若干高い曲線であるのに対し、イ号意匠はキャップ部と操作部がほぼ同じ高さの曲線となっている点、(ロ)正背面のキャップ部の空気取り入れ口の数について、本件登録意匠はそれぞれに二つの長孔を構成しているのに対し、イ号意匠はそれぞれに一つの長孔を構成している点、(ハ)キャップ部上面の火口孔周辺の形状について、本件登録意匠は丸孔の周辺に半円弧状のスリットを有するのに対し、イ号意匠は丸孔の周辺にC字状の円弧状スリットを有する点、(ニ)操作部と仕切部の色彩について、本件登録意匠は特段の色彩は示されていないのに対し、イ号意匠は、青色で構成されている点、(ホ)ライター下部の素材について、本件登録意匠は不透明であるのに対し、イ号意匠は、青色の透明素材で構成されている点、に差異が認められる。
(比較検討)
これらを踏まえて、本件登録意匠とイ号意匠の上記の共通点と差異点について、意匠全体として総合的に審案する。
まず、共通点のうち(1)ないし(3)の点は、全体の基本的な構成態様を表すと共に、本件登録意匠の特徴をよく表す態様と認められ、類否判断に大きな影響を及ぼし、更に具体的な構成態様において、(4)の構成比率の酷似性、また(5)ないし(7)の各部の具体的な態様の共通性が組み合わされ一体となって、両意匠に極めて強い共通感を生じさせており、これら共通点は、両意匠の類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものと認められる。
一方差異点について、(イ)の点は、(1)ないし(3)の共通点の中での部分的な差異というべきで、類否判断に及ぼす影響は微弱である。(ロ)及び(ハ)の点についは、キャップ部分に空いた微小な孔の数及び形状についての差異であり、これをもって両意匠を別異なものとするに至らない。また、(ニ)及び(ホ)の点についも、胴体部分及び操作部を単一色で構成すること及びライター下部を透明素材で構成することは、この種物品では例を挙げるまでもなく極普通に見られる態様で、本件登録意匠に対しイ号意匠を別異に特徴付けるまでのものとはいえない。
即ち、両意匠の差異は、何れも類否判断に及ぼす影響が微弱で、それらが相俟った効果を考慮しても、両意匠においては前示のとおり、共通点が類否判断に及ぼす影響が極めて大きく、これを差異点が凌駕するには到底至らないものであるから、両意匠は全体として類似するものである。
4.結び
以上のとおりであって、イ号意匠は本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2005-12-28 
出願番号 意願平7-1423 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (B6)
最終処分 成立  
前審関与審査官 秋間 哲子 
特許庁審判長 森 則雄
特許庁審判官 市村 節子
伊藤 敦
登録日 1996-06-24 
登録番号 意匠登録第962554号(D962554) 

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