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審決分類 審判 判定  同一・類似 属する(申立成立) J7
管理番号 1130948 
判定請求番号 判定2005-60049
総通号数 75 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2006-03-31 
種別 判定 
判定請求日 2005-07-27 
確定日 2006-02-21 
意匠に係る物品 貼り薬 
事件の表示 上記当事者間の登録第1090872号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 (イ)号図面及びその説明書に示す「貼り薬」の意匠は、登録第1090872号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、イ号図面及びその説明書に示す意匠(以下、「イ号意匠」という。)は登録第1090872号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求めると申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、甲第1号証ないし第8号証を提出した。
本件登録意匠とイ号意匠は、貼り薬の外形が横長方形であり、最も重要なイラスト模様の基本的構成態様、すなわち、人の両手で横長方形状の貼り薬の両端部分を掴んで左右に引っ張って伸ばした状態を使用する者の視点から左右対称に描いて成るものであり、これには貼り薬の剥離フィルムが中央で分離されて、やや捲れた態様が含まれている点、具体的構成態様において、剥離フィルムに描かれたイラスト模様中に、左右へ向かう矢印模様を表した点で共通している。
他方、イラスト模様中の具体的構成態様において、矢印模様につき、本件登録意匠では貼り薬の中に表しているのに対して、 イ号意匠では貼り薬の上側に表している点、イ号意匠ではその中央部上下に火花状の模様を表したのに対して、本件登録意匠にはかかる構成はない点、剥離フィルムが捲れた部分につき、本件登録意匠のそれは先端部がU字状に捲れているのに対して、イ号意匠ではその先端がやや浮き上がった態様である点に差異がある。
両意匠は、その要部であるイラスト模様の基本的構成態様が共通するから、その外観上の印象は明らかに酷似したものとなっているが、差異点は部分的な差異にすぎず、イラスト模様の基本的モチー
フや表現態様を凌駕するものではありえない。
そうだとすれば、イ号意匠は本件登録意匠に明らに類似する意匠というべきであり、イ号意匠は本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属するものである。
第2.被請求人について
本件判定請求には被請求人の記載がないが、請求人はその理由として、請求人自身が実施(ライセンスを含む。)を準備しているイ号意匠が本件登録意匠の類似の範囲に含まれることを確認するために判定請求するものである、と述べている。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成12年3月24日に意匠登録出願をし、平成12年9月8日に意匠権の設定の登録がなされた、関連意匠に係る意匠登録第1090872号意匠(本意匠は意匠登録第1090608号)であり、その意匠は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「貼り薬」とし、形態を願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものである(別紙第1参照)。
すなわち、その構成態様は、(1)正面視において横長方形の薄いシート体であって、そのシート体は、支持体とそれに膏体を塗布した貼付剤部と剥離フィルムの三層から成り、(2)剥離フィルムの面ほぼいっぱいに上下2連から成るイラスト画模様を表したものであり、その1連のイラスト画模様には、横長方形状の貼り薬の両端部分を両手の親指と人差し指の間に掴んで左右に引っ張って伸ばした略左右対称の画模様が描かれており、(3)画模様には親指と人差し指の間に掴んで引っ張られた貼り薬の剥離フィルムが左右中央部で破断分離して左右にU字状に捲れあがった画模様部分が描かれ、捲れあがった部位と親指の間には引っ張り方向の向きの暗調子で太幅の横矢印の画模様部分が左右に描かれているものであることが認められる。
2.イ号意匠
イ号意匠は、甲第2号証のイ号意匠説明書及び甲第3号証のイ号意匠図面に示されたものであって、意匠に係る物品が「貼り薬」であり、その形態はイ号意匠説明書及びイ号意匠図面に示されたとおりのものである(別紙第2参照)。
すなわち、その構成態様は、(1)正面視において横長方形の薄いシート体であって、そのシート体は、支持体とそれに膏体を塗布した貼付剤部と剥離フィルムの三層から成り、(2)剥離フィルムの面ほぼいっぱいに上下2連から成るイラスト画模様を表したものであり、その1連のイラスト模様には、横長方形状の貼り薬の両端部分を両手の親指と人差し指の間に掴んで左右に引っ張って伸ばした略左右対称の画模様が描かれており、(3)画模様には親指と人差し指の間に掴んで引っ張られた貼り薬の剥離フィルムが左右中央部で破断分離した画模様部分が描かれ、貼り薬の画模様部分からはみ出た上下の部位には暗調子で太幅の先尖り爆発火花状の画模様部分が描かれ、上方にある爆発火花状の画模様部分の横には引っ張り方向の向きの暗調子で先が太幅で尻切れの横矢印の画模様部分が左右に描かれているものであることが認められる。
3.本件登録意匠とイ号意匠の比較検討
本件登録意匠とイ号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態については主として以下の共通点及び差異点がある。
(共通点)
両意匠には、構成態様において、(1)正面視において横長方形の薄いシート体であって、そのシート体は、支持体とそれに膏体を塗布した貼付剤部と剥離フィルムの三層から成る点、(2)剥離フィルムの面ほぼいっぱいに上下2連から成るイラスト画模様を表したものであり、その1連のイラスト画模様には、横長方形状の貼り薬の両端部分を両手の親指と人差し指の間に掴んで左右に引っ張って伸ばした略左右対称の画模様が描かれている点、(3)親指と人差し指の間に掴んで引っ張られた貼り薬の画模様には、剥離フィルムが左右中央部で破断分離した画模様部分が描かれ、引っ張り方向の向きの暗調子の横矢印の画模様部分が左右に描かれている点に共通点が認められる。
(差異点)
一方、両意匠には、構成態様において、(イ)左右中央部破断分離の画模様部分につき、本件登録意匠は、破断分離してから左右にU字状に捲れ上がった態様であるのに対し、イ号意匠は、破断分離して僅かに上方にずらした態様に加えて、貼り薬の画模様部分からはみ出た上下の部位に暗調子で太幅の先尖り爆発火花状の画模様部分が描かれている点、(ロ)引っ張り方向の向きの暗調子の横矢印の画模様部分につき、本件登録意匠は、捲れあがった部位と親指の間の位置に太幅に描かれているのに対し、イ号意匠は、上方にある爆発火花状の画模様部分の横の位置に先が太幅で尻切れに描かれている点、その他貼り薬の画模様部分の輪郭の違いに差異点が認められる。
(比較検討)
本件登録意匠は関連意匠に係るものであり、その本意匠は甲第4号証に示された1連のイラスト画模様が描かれた意匠登録第1090608号意匠であり、意匠登録第1090608号を本意匠とする他の関連意匠には甲第5号証に示された貼り薬の画模様部分の左右中央部の破断分離の態様等が異なる意匠登録第1090871号意匠があるが、これらの他には、両手で横長方形状の貼り薬の両端部分を掴んで左右に引っ張って伸ばした略左右対称の画模様が描かれていることを特徴とする本件登録意匠に似通った貼り薬に係る先行意匠はみられない。
以上を踏まえて、本件登録意匠とイ号意匠の上記の共通点と差異点について、意匠全体として総合的に検討する。
まず、共通点について審案するに、共通点(1)の正面視において横長方形の薄いシート体であって、そのシート体は、支持体とそれに膏体を塗布した貼付剤部と剥離フィルムの三層から成る点については、貼り薬において極一般的な構成態様にすぎないから、この点は両意匠の類否判断に殆ど影響しないというほかない。
共通点(2)の剥離フィルムの面ほぼいっぱいに上下2連から成るイラスト画模様を表したものであり、その1連のイラスト画模様には、横長方形状の貼り薬の両端部分を両手の親指と人差し指の間に掴んで左右に引っ張って伸ばした略左右対称の画模様が描かれている点については、このイラスト画模様のモチーフや表現方法にさほどの目新しさはないが、貼り薬に係るデザイン創作にはその物品の性格上の制約がある中にあって、この貼り薬の具体的な使い方を剥離フィルム面に上記に認定したイラスト画模様として表した点はこれまでにみられない特徴と一応いえるものであるから、この点は両意匠の類否判断に影響するものといえ、これらと共通点(3)の親指と人差し指の間に掴んで引っ張られた貼り薬の画模様には、左右中央部で破断分離した画模様部分が描かれ、引っ張り方向の向きの暗調子の横矢印の画模様部分が左右に描かれている点が相俟った効果をみるに、相乗した効果は一つのまとまり感を醸成し、両意匠の特徴をよく表出し、看者に印象の共通感を想起させるところであるから、共通点が両意匠の類否判断に及ぼす影響は小さくないといえる。
これに対し、一方の具体的構成態様のうちの差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響において共通点に優るかどうかを審案する。
差異点(イ)の左右中央部破断分離の画模様部分につき、本件登録意匠は、破断分離してから左右にU字状に捲れあがった態様であるのに対し、イ号意匠は、破断分離して僅かに上方にずらした態様に加えて、貼り薬の画模様部分からはみ出た上下の部位に暗調子で太幅の先尖り爆発火花状の画模様が描かれている点、差異点(ロ)の引っ張り方向の向きの暗調子の横矢印の画模様部分につき、本件登録意匠は、捲れあがった部位と親指の間の位置に太幅に描かれているのに対し、イ号意匠は、上方にある爆発火花状の画模様部分の横の位置に先が太幅で尻切れに描かれている点については、一見すると目立つが、差異点(イ)、(ロ)とも共通点(2)の貼り薬の具体的な使い方を剥離フィルムの面にイラスト画模様として表した特徴や共通点(3)によって打ち消されてしまう程度のものでしかないから、いずれの差異点もそれ単独では両意匠の類否判断に影響を及ぼすこともない。
そして、差異点(イ)(ロ)及び貼り薬の画模様部分の輪郭の違いその他の相俟った効果を考慮してもなお、それらは、共通点が奏する一つのまとまり感を醸成し、両意匠の特徴をよく表出し、看者に印象の共通感を想起させる効果を損なわしめ、別なるものを感得させ得るほどのものではないから、両意匠の類否判断に及ぼす影響において差異点が共通点に優っているとはいえず、本件判定請求には被請求人が存在しないものであり、請求人自身が実施を準備しているイ号意匠が本件登録意匠の類似の範囲に含まれることを確認する限りの判定請求の理由において、イ号意匠は本件登録意匠に類似するものであるとするのが相当である。
4.結び
以上のとおりであって、イ号意匠は本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2006-02-09 
出願番号 意願2000-7283(D2000-7283) 
審決分類 D 1 2・ 1- YA (J7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 生亀 照恵 
特許庁審判長 森 則雄
特許庁審判官 伊藤 敦
市村 節子
登録日 2000-09-08 
登録番号 意匠登録第1090872号(D1090872) 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 佐藤 英二 

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