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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L3
管理番号 1134412 
審判番号 不服2005-11514
総通号数 77 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2006-05-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-06-17 
確定日 2006-04-04 
意匠に係る物品 テラス 
事件の表示 意願2004- 38412「テラス」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 1.本願意匠
本件審判請求に係る意匠は、2004年(平成16)年12月15日に意匠登録出願をしたもの(以下、「本願意匠」という。)であって、願書の記載および願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「テラス」とし、その形態は、同添付図面に示すとおりのものである。(この審決書に添付した図面第1参照)
2.引用意匠
原審の拒絶理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」という)は、1994年(平成6年)8月3日に特許庁意匠課が受け入れた、立山アルミニウム工業株式会社発行のカタログ「パルテラスフラッティ」第1頁に写真版により掲載された意匠(特許庁文献番号HN06007245号)であって、同頁の記載全体によれば、意匠に係る物品を「日よけ」とし、その形態は、同写真版に示すとおりのものである。(この審決書に添付した図面第2参照)
3.本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠と引用意匠は、いずれも建物の外壁に取り付け、雨や日差しを遮るためのテラスの屋根および支柱から成るものであるから、両意匠は意匠に係る物品が共通する。
しかしながら、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び差異点が認められる。
先ず、共通点としては、全体は、横長矩形状の屋根部の左右両端寄りにそれぞれ一本づつ角柱状の支柱を取り付けて左右対称状に構成したものである点、屋根部は、水下側に傾斜し、四辺の外枠を支柱とほぼ同様の太さとし、枠内に複数本の細い桟を横等間隔に設けている点が認められる。
しかしながら、その具体的な態様について対比すると、次のとおりの差異点が認められる。
先ず、(1)支柱部の取り付け態様について、本願意匠は、左右の外枠寄りに平行であって前後両端に掛かる梁部を設け、その後端近くに支柱部を取り付けているのに対し、引用意匠は、梁部の有無が不明であって支柱を水下側の軒先近くに取り付けている点、(2)屋根部の軒先部分の態様について、本願意匠は、略中央に下向きの段差を施して几帳面状に形成しているのに対し、引用意匠は、丸面状に形成し、左右両端の下側を側面視鉤状に形成している点(同写真版では引用意匠の左端の下側部分が見えないが、取り付け態様から見て、当該部分を右端の下側部分と対称状に形成しているとみなし、前記のとおり認定する。)、そして、(3)屋根部の縦横の長さの比について、本願意匠は、約7対2であり、引用意匠は、約13対7である点が認められる。
4.本願意匠と引用意匠の類似性についての判断
以上の共通点及び差異点を総合し、意匠全体として本願意匠と引用意匠の類似否類似すなわち両意匠の類似性について考察すると、両意匠に共通しているとした、全体を横長矩形状の屋根部の左右両側にそれぞれ一本づつ角柱状の支柱を取り付けて左右対称状に構成している態様は、この種物品の骨格的な構成態様としてすでに一般的であると言えるほどのものであり、屋根部をやや水下側に傾斜し、四辺の外枠を支柱とほぼ同様の太さとし、枠内に複数本の細い桟を横等間隔に設けて構成している態様は、両意匠のほかにも多数見受けられる態様であり、いずれも両意匠のみに共通する格別新規の構成態様とは言えず、形態の共通点としてはそれほど評価すべきほどのものとは言えないから、両意匠の類似性についての判断に与える影響は微弱なものにすぎない。
一方、前記各差異点を検討すると、差異点の(1)については、この種物品分野では、引用意匠のように支柱を水下側の軒先近くに取り付けているものは一般的であるのに対し、本願意匠と同様に屋根部の後端近くに支柱部を取り付けているものは本願意匠の出願前には普通に見受けられず、本願意匠の支柱部の取り付け態様は本願意匠を特徴づける大きな要素であり、形態全体の骨格的な構成態様に係る差異である点も勘案すると、引用意匠の梁部の有無を明らかにするまでもなく、両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいものである。差異点(2)については、水下側の下方に面した部分の態様についての差異であり、取り付けた態様では前方から観察する度合いが比較的大きい点を勘案すると、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいものである。差異点(3)については、縦横の長さの比自体は、両意匠のみの差異点とは言えないが、軒先部分の態様についての前記差異点と相乗して生じる意匠的な効果は、観察する度合いが比較的大きい正面の態様に影響を与えるものであるから、その差異は両意匠の類似性についての判断にも影響を与えるものである。そして、これら差異点に係る態様が相まって生じる意匠的な効果は、両意匠の類似性についての判断を左右するほどのものと言える。
以上のとおりであって、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通しているが、形態については、共通点は両意匠のみに認められるものとは言えないものであるのに対し、前記のとおり、差異点による意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するほどのものと言えるから、両意匠は、意匠全体として互いに類似しないものと認める。
5.結び
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当しないものであり、原審の拒絶理由によって拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2006-03-23 
出願番号 意願2004-38412(D2004-38412) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (L3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 梅澤 修 
特許庁審判長 伊勢 孝俊
特許庁審判官 小林 裕和
鍋田 和宣
登録日 2006-04-14 
登録番号 意匠登録第1272537号(D1272537) 
代理人 山本 哲也 

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