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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H5
管理番号 1136248 
審判番号 不服2005-15743
総通号数 78 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2006-06-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2005-08-17 
確定日 2006-05-10 
意匠に係る物品 決済端末 
事件の表示 意願2003- 37094「決済端末」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由 第1 本願意匠
本願は、平成15(2003)年12月16日の意匠登録出願であって、その意匠(以下、「本願意匠」と言う。)は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「決済端末」とし、その形態は、願書に添付した図面に記載されたとおりのものである(別紙第一参照)。

第2 引用意匠
本願意匠が類似するとして原審が拒絶の理由に引用した意匠(以下、「引用意匠」と言う。)は、本願の出願の日前に、特許庁総合情報館が1994年7月8日に受け入れた外国カタログ「SOFTWARESOLUTIONS」第B-1頁所載の「コンパクトカード支払端末機」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HD06009155号)であって、その形態を同カタログの写真版に現されたとおりとしたものである(別紙第二参照)。

第3 両意匠の対比
本願意匠と引用意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、両意匠の形態(本願意匠の各図の方向に倣って、引用意匠の方向を認定する。)については、主として以下の共通点と差異点が認められる。
全体の基本的構成態様については、以下の共通点が認められる。
(A)全体は、正面から見た形状が略縦長矩形状で、側面から見た形状が下窄まりの略三角形状のいわゆる略楔型のものであって、その前面には、上からプリンター部、液晶表示部及び操作ボタン部を設けたものである。
各部の具体的構成態様については、以下の共通点が認められる。
(B)液晶表示部は横長矩形状であって、前面の中央やや下寄りに配されており、操作ボタン部は横方向4列の複数のボタンから成るものであり、各ボタンは前方にやや突出している。
(C)側面の態様について、略中央から上方の後面(接地面)寄りの部分が窪んでいる。
また、具体的構成態様については、以下の差異点が認められる。
(ア)前面の構成態様について
本願意匠の前面は、周囲の縁にごく細幅で額縁状の囲いが形成され、その内側の面が、操作ボタン部及びプリンター用紙排出部の溝を除いて平板状とされているが、引用意匠では、周囲の縁が段差状に面取りされ、液晶表示部の上方にはカード読み取り用のスリット溝が横断状に設けられ、更にその上方には横長の溝部が設けられている。
(イ)上面付近の構成態様について
本願意匠の前面から上面にかけては略垂直面状に連続しているが、引用意匠では丸面状に形成されている。また、引用意匠の上面付近にはプリンター用紙(ロール紙)排出部が設けられ、その下方には横長矩形状の銘板が配されているが、本願意匠のプリンター用紙排出部はプリンター部の下部に設けられ、銘板は見られない。
(ウ)側面の形状について
側面から見た上面の形状について、本願意匠は直線状に形成されているが、引用意匠では、略弧状に形成され、上面には更に略弧状の凸面が形成されている。

第4 両意匠の類否の判断
両意匠の共通点及び差異点を総合し、意匠全体として両意匠の類否を検討すると、前記の基本的構成態様及び具体的構成態様の共通点は、いずれも本願意匠の出願前にこの種物品分野において他にも見受けられる態様であって、それらの共通点が重なったとしても、格別看者の注意を惹くものとは言い難いから、類否判断に及ぼす影響は小さいと言える。
これに対して、具体的構成態様の差異点については、以下のように、類否判断を左右すると言わざるを得ない。
先ず、具体的構成態様の差異点(ア)については、本願意匠に見られる額縁状の囲いとその内側の平板状面の態様は、引用意匠の態様とは明らかに異なっており、特に、前面のほぼ全面を平板状とした態様は、本願意匠の特徴を成すものであって、看者の視覚的注意を惹くものであり、引用意匠に存する段差状の面取り及び横断状スリット溝が無いことと相俟って、両意匠の印象を別異のものとしていることから、差異点(ア)は両意匠の類否判断を左右すると言うことができる。
次に、差異点(イ)については、物品の上面付近という比較的目につきやすい部位に関する差異であって、本願意匠の略垂直面状と引用意匠の丸面状とは、その形状が与える視覚的印象を大きく異にするものであり、プリンター用紙排出部の位置の差異と併せて、両意匠の類否判断に大きな影響を及ぼすものと言える。
そして、差異点(ウ)についても、同様に、直線状と略弧状の差が顕著なものであって、その差異が側面方向又は斜視方向からはっきりと看取されるものであり、両意匠の視覚的印象に変化を与えていることから、両意匠の類否判断に及ぼす影響は微弱とは言えない。
そうすると、(ア)ないし(ウ)の差異点は、いずれも両意匠の共通点に比べて類否判断に大きな影響を及ぼすものであり、それらの差異点が相俟って、形態全体について異なる美感を看者に与えることから、両意匠の差異点は共通点を凌ぐものであると認められる。
したがって、両意匠は、意匠に係る物品が共通しているが、形態において、差異点が共通点を凌ぐものであるから、本願意匠は、引用意匠に類似する意匠とは認められない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当せず、原査定の拒絶の理由によっては、拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審決日 2006-04-28 
出願番号 意願2003-37094(D2003-37094) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H5)
最終処分 成立  
前審関与審査官 外山 雅暁木村 恭子 
特許庁審判長 西本 幸男
特許庁審判官 小林 裕和
岩井 芳紀
登録日 2006-05-19 
登録番号 意匠登録第1275715号(D1275715) 

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