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審決分類 審判    J5
管理番号 1143274 
審判番号 無効2005-88019
総通号数 82 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2006-10-27 
種別 無効の審決 
審判請求日 2005-09-27 
確定日 2006-08-21 
意匠に係る物品 自動販売機等の据付け用ブロック 
事件の表示 上記当事者間の登録第1166052号「自動販売機等の据付け用ブロック」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 理由
第1.請求人の申し立て及び理由の要点
請求人は、「意匠登録第1166052号の登録を無効とする。」と申し立て、その理由として要旨以下のように主張し、証拠方法として、甲第1号証の書証を提出している。
1.無効理由の要点
意匠登録第1166052号に係る意匠(以下、「本件登録意匠」という。)は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された意匠(甲第1号証の意匠、以下、「甲号意匠」という。)に類似するものであるから、本件意匠登録は、意匠法第3条の規定に違反してされたものであり、同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきである。
2.本件登録意匠
本件登録意匠は、(a)意匠に係る物品を「自動販売機等の据付け用ブロック」とし、その形状を以下のとおりとするものである(別紙第1参照)。
すわなち、その(b)基本的構成態様は、(b-1)全体が、扁平で細長い直方体のブロック状であり、(b-2)上面に、溝形のレールがブロックの長手方向に沿って埋設され、(b-3)レールは、ブロックの一方の側面に片寄った位置にあり、かつブロックの一端から他端に至る。
そして、その(c)具体的構成態様は、(c-1)上面と側面の交差稜、上面と端面の交差稜、側面と端面の交差稜がそれぞれ面取りされ、(c-2)ブロックの側面と端面が、底面に対して約81°をなし、(c-3)レール位置が、一方の側面と他方の側面の間を1:2に分ける位置であり、(c-4)ブロックの端面の下部に凹部が形成されている。
3.甲号意匠
甲号意匠は、(A)本件登録意匠の出願前である平成11年8月27日に発行された特開平11-230491号公報(発明の名称を「自動販売機等機器類の設置基礎ベースに関する簡易取付け方法」とする)の図3に記載された「自動販売機等の据付け用ブロック」の意匠である。そして、その形状を以下のとおりとするものである(別紙第2参照)。
すわなち、その(B)基本的構成態様は、(B-1)全体が、扁平で細長い直方体のブロック状であり、(B-2)上面に、溝形のレールがブロックの長手方向に沿って埋設され、(B-3)レールは、ブロックの一方の側面に片寄った位置にあり、かつブロックの一端から他端に至る。
そして、その(C)具体的構成態様は、(C-1)上面と側面の交差稜、上面と端面の交差稜がそれぞれ面取りされ、(C-2)ブロックの側面と端面が、底面に対して直角であり、(C-3)レール位置が、一方の側面と他方の側面の間を1:2に分ける位置である。
4.本件登録意匠と甲号意匠との対比
<共通点>
(あ)両意匠は、意匠に係る物品がいずれも「自動販売機等の据付け用ブロック」であり、意匠に係る物品が一致する。
(い)本件登録意匠の基本的構成態様(b-1)(b-2)(b-3)は、甲号意匠の基本的構成態様(B-1)(B-2)(B-3)と共通する。
(う)本件登録意匠の具体的構成態様(c-1)は、上面と側面の交差稜、上面と端面の交差稜がそれぞれ面取りされている点で、甲号意匠の具体的構成態様(c-1)と共通する。また、本件登録意匠の具体的構成態様(c-3)は、甲号意匠の具体的構成態様(C-3)と共通する。
<差異点>
(ア)本件登録意匠は、具体的構成態様(c-1)において、側面と端面の交差稜がそれぞれ面取りされているのに対して、甲号意匠は、具体的構成態様(C-1)において、側面と端面の交差稜が面取りされていない点で差異がある。
(イ)本件登録意匠は、具体的構成態様(c-2)において、ブロックの側面と端面が底面に対して約81°をなすのに対して、甲号意匠は、具体的構成態様(C-2)において、ブロックの側面と端面が底面に対して直角である点で差異がある。
(ウ)本件登録意匠は、具体的構成態様(c-4)において、ブロックの端面の下部に凹部が形成されているのに対して、甲号意匠は、ブロックの端面の下部に凹部がない点で差異がある。
5.共通点と差異点の検討(類否判断)
両意匠において共通するとしている基本的構成態様は、両意匠の形態についての骨格的な態様であって、形態全体を支配する要素に係るものであるから両意匠の類否判断に与える影響が大きい。また、具体的構成態様において、レールの位置を一方の側面と他方の側面の間を1:2に分ける位置とした点は、基本的構成態様の共通点と相まって、看者に対し共通の美観を生じさせる。
一方、両意匠の差異点(ア)について、側面と端面の交差稜の面取りの有無は意匠全体から見れば僅かな差にすぎない。また、両意匠の差異点(イ)について、ブロックの側面と端面が底面に対してなす角度に差があるとしても、その角度は、いずれも底面に対して垂直な印象を看者に対して与える範囲にあり、その角度の差は、看者に対して異なった美観を生じさせる程のものではない。両意匠の差異点(ウ)についても、本件登録意匠のブロックの端面の下部に形成された凹部の有無は、全体としてみれば部分的な差異であって看者の注意を引く部分ではない。なお、レールの断面形状は、意匠全体としてみれば視覚的に目立たないところであり、看者の注意を惹くような特徴ある部分とはいえず、類否判断に及ぼす影響は微弱に過ぎない。
結局、上記差異点はいずれも類否判断上は微弱なものにとどまり、上記差異点がもたらす意匠的効果は、両意匠の共通点が醸し出す類似するとの印象を凌駕して看者に対し全体として異なった美観を生じさせる程のものではない。
上記のように、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、その形態が看者に対し共通の美観を生じさせるから、互いに類似する。
6.むすび
以上の通り、本件登録意匠は、その出願前に日本国内において頒布された刊行物に記載された意匠に類似するものであるから、本件意匠登録は、意匠法第3条の規定に違反してされたものであり、同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきものである。
第2.被請求人の答弁及び理由の要点
被請求人は、「結論と同旨の審決を求める。」と答弁し、要旨以下のように反論している。
1.理由の要点
本件登録意匠と甲号意匠とは類似せず、本件意匠登録は、意匠法第3条の規定に違反してされたものではないから、同法第48条第1項第1号の規定により無効とすべきものではない。
2.本件登録意匠と甲号意匠との類否判断について
(1)両意匠の共通点とされる、基本的態様における全体が扁平で直方体のブロック形状であるというのは、本件登録意匠のようなコンクリートブロック製品において直方体というのは至極一般的な形状であり、なんら特徴のあるものとは言えず、共通点ではあるがこれをもって類似と判断されるようなものではない。
よって、両意匠の類似性を判断するための共通点としては、基本態様の、上面に溝形のレールがブロック長手方向に沿って埋設され、レールは、ブロックの一方の側面に片寄った位置にあり、かつブロックの一端から他端に至るということだけである。
(2)本件登録意匠のブロックに埋め込まれているレールの断面形状は、上面に開口を有し、左右両側から中央へと向かう上面の端部は各々下側へと折り返された形状となっているのに対し、甲号意匠のブロックに埋め込まれているレールは上面に開口を有し、左右両側から中央へと向かう上面の端部には折り返し等は設けられていない。このレールの断面形状は新たな差異点となりうる。
(3)本件登録意匠の側面が底面となす角度は決して垂直な印象を与えるものではない。本件登録意匠の公報における側面図および正面図を見ると、台形をしていることが明らかである。もし、側面と端面が底面に対してなす角度が垂直な印象を与えるとするなら、側面図および正面図は長方形に見えるはずであるが、本件登録意匠の側面図および正面図を見ても、底面と正面の辺の長さの違いが明らかであることから、看者は台形であると認識することが十分に可能である。
この側面および端面と底面のなす角度が垂直であるかどうかという差異により、本件登録意匠の公報における斜視図と甲第1号証の図3から受ける印象は大きく異なる。本件意匠が底面から上面にかけて側面及び端面が傾斜している裾広がりであることにより、看者に対し特別な印象を与えるようにデザインされていることがわかるのに対し、甲号意匠は単なる直方体にレールが埋め込まれていると認識させるのみである。
(4)本件登録意匠のブロックの端面の下部に形成された凹部は、両端面に設けられていることにより、自動販売機等の据付け用ブロックを簡単に手で持つことができることが本件登録意匠の創意が現れているところであり、上記凹部は端面において大きな面積を占めていることから、決して部分的な差異ではない。
(5)本件登録意匠の公報に記載されている【使用状態を示す斜視図】を見るとわかるように、自動販売機等の据付け用ブロックの使用状態では、ブロックの大部分が自動販売機に隠れており、実際に目にすることが多いのは端面である。このような使用状況で両者を比較すると、端面における凹部の有無、側面および端面が傾斜している形状およびレールの断面形状の差異により、本件登録意匠は看者に十分な注意を引くことができ、甲号意匠とは共通の印象をもたらすものではない。
これらの差異点は、前述の共通点を凌駕して、両意匠に別異のものとするには十分であり、本件登録意匠は甲号意匠と類似するものではない。
3.まとめ
以上のように、本件登録意匠は甲号意匠とは十分に識別可能であり、本件無効審判の請求は成り立たない。
第3.当審の判断
1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成14年2月21日の意匠登録出願に係り、平成14年12月27日に設定の登録がなされた意匠登録第1166052号の意匠であって、願書及び添付図面の記載によれば、意匠に係る物品が「自動販売機等の据付け用ブロック」であり、その形状が別紙第1に示すとおりのものである。
2.甲号意匠
甲号意匠は、本件登録意匠の出願前である平成11年8月27日に発行された特開平11-230491号公報(発明の名称を「自動販売機等機器類の設置基礎ベースに関する簡易取付け方法」とする)の図3に記載された「自動販売機等の据付け用ブロック」の意匠であり、その形状が別紙第2に示すとおりのものである
3.両意匠の対比
両意匠は、意匠に係る物品がいずれも「自動販売機等の据付け用ブロック」であり、意匠に係る物品が一致する。
そして、その形状については、以下のような一致点、相違点がある。
<一致点>
両意匠は、(あ)全体形状を、扁平で細長い略直方体のブロック状とし、(い)その上面の長手方向全幅にわたり、側面と平行に溝形のレールを埋設し、(う)そのレールの位置を、ブロックの一方の側面と他方の側面の間を1:2に分ける片寄った位置とし、(え)上面と側面の交差稜、及び上面と端面の交差稜に面取りをした構成態様において一致する。
<相違点>
両意匠は、(ア)本件登録意匠は、側面と端面の交差稜がそれぞれ面取りされているのに対して、甲号意匠は、側面と端面の交差稜が面取りされていない点、(イ)本件登録意匠は、ブロックの側面と端面が底面に対して約81°をなし、略台形状であるのに対して、甲号意匠は、ブロックの側面と端面が底面に対して直角であり、略長方形状である点、(ウ)本件登録意匠は、ブロックの端面の下部に凹部が形成されているのに対して、甲号意匠は、ブロックの端面の下部に凹部がない点、(エ)本件登録意匠のレールは、同じ厚みの板材を折り曲げて形成し、上面に開口を有する略倒コ字状としているのに対し、甲号意匠は、底部に断面略逆T字状凸部を有する断面外形が略台形状部材の内部に、設置用の角座金とボルト頭が収まるように上面が開口する略十字状スペースを形成した点において相違する。
3.両意匠の類否判断
この種自動販売機等の据付け用ブロックは、これを購入し使用する需要者は自動販売機等の据付けをする業者である。その業者は、その購入に際しては、主として自動販売機等の据付け作業の目的の観点から、この種自動販売機等の据付け用ブロックを検討するが、ある程度据付後の状態等も考慮するものである。したがって、この種自動販売機等の据付け用ブロックの意匠においては、全体の構成態様を主として、特に、据付のための構成態様、及び、据付後に視認される構成態様が看者の注意を惹く部位と認められる。
一致点(あ)は、両意匠の全体にわたる基本的構成態様であるが、扁平で細長い略直方体のブロック状の構成態様は、この種ブロックの意匠においては、例を挙げるまでもなく広く知られた構成態様であり、格別看者の注意を惹くものではない。一致点(い)のレールを埋設した構成態様は、ブロック上面に係るもので、ある程度目に付きやすい部位での一致点であるが、長手方向全幅にわたり、側面と平行に溝形のレールを埋設した構成態様は、この種据え付け用ブロックの意匠においては、広く知られた構成態様であり(例えば、意匠登録第969933号、同第1050723号、実開平2-13921、実開平4-3198、登実3038678号、特開平10-54499。)、格別看者の注意を惹くものではない。一致点(う)は、「アルミレールのコンクリート基礎ベースの打設は要望により任意に打設する」(特開平11-230491,【007】6行〜9行)と説明されているように、レールはいろいろな位置に配置されるもので、1:2の位置が特に意味のあるものではなく、また、1:2の位置は通常の中央の位置からややずらした程度のものでしかなく、真横や真上から比較すればともかく、斜視する場合はほとんど注意を引かない程度の片寄りであり、視覚的効果においてはほとんど差異がなく、格別看者の注意を惹く構成態様ではない。一致点(え)は、細部の態様であり、かつ、ありふれたもので、格別看者の注意を惹くものではない。
一方、相違点(ア)は、細部の態様であり、かつ、ありふれたもので、格別看者の注意を惹くものではない。相違点(イ)は、両意匠の構成態様は、この種ブロックの意匠においては、例を挙げるまでもなく広く知られた構成態様であるが、全体にわたる基本的構成態様であり、かつ、側面と端面が略台形状であるか長方形状であるかは明確に視認され、ブロック全体の基本的形状の相違として視認される。相違点(ウ)は、端面の一部位に係るもので全体としてみれば部分的であり、凹部を形成することはありふれた構成態様であるが、運搬や据付作業時には注目される部分であり、かつ、据付後も視認されるもので、一定の視覚的効果がある。レールの断面形状の相違点(エ)は、端面の一部位に係るもので全体としてみれば部分的であるが、自動販売機等の据付作業においては特に注意される部位であり、据付後も端面から視認されるものであり、かつ、レールの形状には様々な構成態様のものがあるが、両意匠のレール断面形状が広く知られたものでもなく、この相違点は看者の注意を惹くものである。
以上のように、一致点(あ)ないし(う)は、両意匠の全体にわたる基本的構成態様であり、両意匠はある程度の共通する美感を起こさせるものである。しかし、一致点(あ)及び(い)は、広く知られた構成態様であり、(う)は、注意を惹かない程度の片寄りで、いずれも格別看者の注意を惹くものではない。これに対して、相違点(イ)は、ブロックの基本的形状の相違として視認され、相違点(ウ)は、凹部に一定の視覚的効果があり、相違点(エ)は、看者の注意を惹くものであり、これら相違点(イ)ないし(エ)の相まった視覚的効果を勘案すると、両意匠は相異なった美感を起こさせるものである。
したがって、両意匠は美感が異なり、類似しない。
4.むすび
以上のとおり、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件意匠登録を無効にすべきものとすることができない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2006-06-20 
結審通知日 2006-06-26 
審決日 2006-07-07 
出願番号 意願2002-4395(D2002-4395) 
審決分類 D 1 113・ 113- Y (J5)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 関口 剛 
特許庁審判長 梅澤 修
特許庁審判官 樋田 敏恵
杉山 太一
登録日 2002-12-27 
登録番号 意匠登録第1166052号(D1166052) 
代理人 中谷 弥一郎 
代理人 吉川 俊雄 
代理人 鎌田 文二 
代理人 東尾 正博 
代理人 鳥居 和久 
代理人 田川 孝由 

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