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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D3 |
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管理番号 | 1153485 |
審判番号 | 不服2006-19630 |
総通号数 | 88 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2007-04-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2006-09-05 |
確定日 | 2007-02-06 |
意匠に係る物品 | 懐中電灯 |
事件の表示 | 意願2006- 948「懐中電灯」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は、平成18年1月19日の意匠登録出願であり、その意匠は、願書の記載によれば、意匠に係る物品を「懐中電灯」とし、形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 これに対して、原審において、拒絶の理由として引用した意匠は、特許庁発行の意匠公報記載の登録第号の「1205050」の意匠であり、その形態は、同公報に記載されたとおりのものである(別紙第2参照)。 そこで、本願の意匠と引用の意匠を比較すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、また、形態については、主として以下の共通点と差異点がある。 すなわち、共通点として、(1)円筒体を基調とし、円筒体に直交した小円筒体から構成されるものであって、大別すると3つの部分から成り、前部円筒体を照射部とし、これに直交する円筒体をラジオ部とし、さらに本体部を略円筒体に形成した点、(2)本体部の一側に開閉可能な長方形状蓋部を形成し、この長方形状蓋部の内方に蛍光灯部を設け、表面に太陽電池パネルを貼付した点、がある。 一方、差異点として、(イ)スピーカー部について、本願の意匠は、円筒体の照射部に直交する小円筒体のラジオ部に連続して小円筒体のスピーカー部を形成しているのに対して、引用の意匠は、スピーカー部を後端部に形成している点、(ロ)後端部について、本願の意匠は、円筒形の付属品収納部を形成しているのに対して、引用の意匠は、スピーカー部が形成されているだけであり、付属品収納部がない点、(ハ)前方小円筒体部について、本願の意匠は、ラジオ部とスピーカー部の境部分で屈曲自在としているのに対して、引用の意匠は、屈曲不可能としている点、(ニ)本体部について、本願の意匠は、両側部に平坦面を形成しているのに対して、引用の意匠は、略円筒体としている点、がある。 そこで、上記の共通点と差異点について総合的に検討するに、共通点について、(1)については、両意匠の形態の全体にかかわるものであるが、円筒体を基調とし、これと直交する小円筒体から成り、大別して3つの円筒体からなる点は極めて特徴的な形態であり、この種の物品分野においては、様々な形態が創作されている中で、ここまで共通する特徴を有するということは、模倣とまで言うことはできないが、いかにも不自然であって、少なくとも参考にして意識的に近づけた創作と言われてもやむを得ないほど近似してるというべきである。しかしながら、各部の具体的な態様に差異が存在するので、概念的には明らかに類似するものではあるが、この点が共通することを以て、類似するとは必ずしも言えない。(2)については、一側に開閉可能な長方形状蓋部を形成する場合、開閉軸の位置や太陽電池パネルの形状なども考慮して創作するものであり、アイデアとしては共通点として配慮すべき点ではあっても、アイデアを具現化した結果物において一定程度相違するので、類否判断上、共通性としては必ずしも重要視すべき点であるとはいえない。 一方、前記差異点について、(イ)の点については、本体および照射部に直交する小円筒体を2個形成することは、概念的には容易なこと、または、ありふれた改変であることが明白であるとしても、結果的にはそれほど僅かな差異とは言えず、その類否判断に及ぼす影響は一定程度評価せざるを得ない。(ロ)の点については、円筒形の付属品収納部が形成されているとしても、形態的には後端部に円筒部が存在すると見るべきであり、この観点からは引用意匠の方が特徴的であるから、その差異は微細なものとは言えない。(ハ)の点については、屈曲することが外観上の特徴として明確には表れていないものの、引用の意匠にはない特徴であり、類否判断に及ぼす影響は無視できない。(ニ)の点については、部分的差異であり、しかも平坦面としての特徴が際だったものではないものとはいえ、ある程度の視覚的効果のある差異と言わざるを得ない。 したがって、共通点はやや概念的であり、類否を決定付けるには至らず、差異点が引用の意匠とは異なる本願の意匠の特徴を一定程度表していると言うことができる。 以上のとおりであって、両意匠は、意匠に係る物品は共通するものの、その形態については、両意匠の共通点および差異点が相俟った視覚的効果を総合的に判断すると、両意匠は類似しないものと言わざるを得ない。 したがって、本願の意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないので、原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また、他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2007-01-24 |
出願番号 | 意願2006-948(D2006-948) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D3)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 小柳 崇、小林 佑二 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
市村 節子 上島 靖範 |
登録日 | 2007-03-16 |
登録番号 | 意匠登録第1298483号(D1298483) |
代理人 | 黒田 勇治 |