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審決分類 |
審判 判定 同一・類似 属さない(申立不成立) L2 |
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管理番号 | 1160537 |
判定請求番号 | 判定2007-600033 |
総通号数 | 92 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠判定公報 |
発行日 | 2007-08-31 |
種別 | 判定 |
判定請求日 | 2007-04-12 |
確定日 | 2007-07-06 |
意匠に係る物品 | ブロックマット |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1180425号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 |
結論 | イ号図面及びその説明書に示すブロックマットの意匠は、登録第1180425号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。 |
理由 |
第1.請求の趣旨及び理由 請求人は、イ号図面並びにその説明書に示す「ブロックマット」は、意匠登録第1180425号の登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求める、と申し立て、その理由として、判定請求書に記載のとおりの主張をし、甲第1号証ないし甲第4号証(枝番を含む)を提出した。 第2.被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の判定を求める、旨の答弁をし、判定請求答弁書に記載のとおりの主張をし、乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む)を提出した。 第3.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成14年8月12日に意匠登録出願をし、平成15年6月6日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1180425号意匠であり、意匠に係る物品を「ブロックマット」とし、その形態を、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものである。(別紙第1参照) 2.イ号意匠 イ号意匠は、判定請求書添付の「イ号図面」と記載された図面(甲第2号証の1)、及び「シビックマット」と題するカタログの写し(甲第2号証の2)により表されたブロックマットの意匠であり、その形態は、「イ号図面」と記載された図面に記載されたとおりのものと認める。(別紙第2参照) 3.本件登録意匠とイ号意匠の対比検討 本件登録意匠とイ号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態については主として以下の共通点と差異点がある。 即ち、共通点として、(1)縦長方形状の薄いシート状のマットにおいて、上端、下端、及び右端にコの字状に余地部を残して、その内側に、略方形盤状のブロック体を、縦横格子状に配列した基本的な構成態様のものである点、その具体的な態様について、(2)マットは、縦と横の寸法比がほぼ70対18で、上端、下端の余地幅(上下幅)が右端の余地幅(左右幅)よりやや幅広で、右端の余地幅がブロック体の一辺よりやや幅狭程度である点、(3)各ブロック体は縦横同寸の扁平な略方形盤状で、横に4列、縦に14?15段配されている点、(4)各ブロック体の上面につき、外周沿いを額縁状に残して、その内側が略方形の浅い凹陥状に形成されており(以下「開口部」とする。)、開口部の内壁を傾斜状としている点、(5)各ブロック体の中心に、略円錐台状の貫通孔(以下「円形凹部」とする。)が形成されている点、が認められる。 一方、両意匠には差異として、(ア)上下の余地幅につき、本件登録意匠は下端の余地幅が上端の2倍弱で、下端の余地幅が広いが、イ号意匠は上下の余地幅がほぼ等幅である点、(イ)各ブロック体の4つの角部につき、イ号意匠は、1/4円弧による隅切状で、これに沿って、開口部の4つの隅部も、同じ曲率の円弧で隅入状に形成されているのに対し、本件登録意匠は、該部が隅切状、隅入状ではない点、(ウ)各ブロック体の、四周壁面につき、本件登録意匠はマット面に対してほぼ直角であるが、イ号意匠は内向きの傾斜状で、ブロック体の全体が扁平角錐台の盤状である点、が主に認められる。 そこで上記の共通点と差異点を全体として検討する。 まず共通点について、(1)の点は、全体の基本的な構成態様を表すものであるが、この構成態様は、本件登録意匠の出願前にも既に、実公昭51-9135号公報(乙第1号証の2)、特開平1-111921号公報(同3)、特開平4-203116号公報(同4)、特開平1-105820号公報(同6)等にみられるところであって、両意匠のみに認められる特徴ではなく、また(2)及び(3)の点も、これら従来事例に照らせば、格別特徴的なものとは認めることができない。そして(4)の点は、配列されたブロック体の上面全体に一定の凹凸感を与えている点では共通するものであるが、同時に、前記差異点(イ)の額縁部分の角部の形状差を強調する効果も大きく、しかも各種のブロック体において、外周部分を額縁状に残して内側を浅い凹陥状とする面処理は、従来から極普通にみられるところで、それ自体は格別特徴的なものでもなく、共通点として類否に及ぼす影響をさほど大きく評価することができない。また(5)の点は、該部に円孔を設けることは前掲事例に見られるとおり周知で、これが略錐台状であることを考慮してもなお、特徴とすべきほどのものとは認められない。してみると、両意匠の共通点のみで両意匠の類否を決定付けることができない。 一方両意匠の差異点について検討するに、(ア)の点は、本件登録意匠の特徴の一つと認められるが、形態全体としては、マットの上端、下端、及び右端にコの字状に余地部を設けた共通性の中で見られる若干の寸法差というべきで、類否判断にさほど大きな影響を及ぼすとはいえない。 そして(イ)の点については、この種のブロック体の角部の態様としては、両意匠の態様共に、前掲事例に認められるとおり格別特徴的なものとはいえないが、両意匠においては、ブロック体が縦横格子状に配列されていることから、イ号意匠について、角部の隅切り部分が寄せ集まって、前記の円形凹部の他に、その斜交い方向に、略円形の孔(以下「隅孔」とする。)を形成するところとなっており、この規則的に形成された隅孔の有無という点での差異は、視覚上、極めて顕著で、また他にも、開口部の円弧状の隅入り部分が、イ号意匠の開口部を八角形に近いものとして開口部の形状差を印象付け、それと同時に、隅切部、隅入部が一体となって、イ号意匠の全体を、極めて装飾的な印象の強いものとしている。 そして(ウ)の点については、本件登録意匠においては、ブロック体の四周壁面にほとんど傾斜がないことから、隣接するブロック体の壁面が細筋として看取され、また隅孔もないことから、全体としては、マットブロックの全面に格子状に細い線が配された程度のシンプルな印象を与えるのに対し、イ号意匠においては、各ブロック体の四周壁面の傾斜が、隣接するブロック体との間にV字状の溝を形成し、更にこのV字溝は前記隅孔により短く分断され、また隅孔自体も、4つの凹弧状の傾斜面によって形成されたものとなっており、壁面の傾斜の有無それ自体が、両意匠の上面全体の凹凸構成の違いを強く印象付け、更に(イ)の差異とも関連し合って、イ号意匠の装飾的な視覚効果を更に強く強調したものとなっている。従って(イ)及び(ウ)の差異が類否に及ぼす影響は、極めて大きいと判断せざるを得ない。 そして両意匠を全体として観察すると、確かに両意匠には基本的な構成態様も含む前記(1)ないし(5)の点で共通するところであるが、前述のとおり、いずれも従前態様の域を出ず、その共通点のみをもって類否を決定付けることができないのに対し、差異点(イ)及び(ウ)は、それぞれが顕著な差異であると同時に、相互に関連し合って、両意匠に視覚の上での顕著な差異感をもたらしており、共通点に格別の特徴が認められない両意匠にあっては、この(イ)及び(ウ)の差異は両意匠を別異とし、類否を決定付けるに十分なものと判断せざるを得ず、従って、意匠全体として、両意匠は類似するものとはいえない。 なお請求人は、イ号意匠に係る出願(意願2002-34802号)が本件登録意匠と類似するとの拒絶理由通知がなされた経緯があり、この点からも、本件登録意匠とイ号意匠とは類似関係にあることが明らか、と主張するが、当該出願に関する経緯、或いは審査段階での判断が、本件判断に影響を及ぼすものではなく、本件については上記のとおりであって、請求人の主張は採用できない。 4.むすび 以上のとおりであって、両意匠は類似せず、従って、イ号意匠は、本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属さない。 よって、結論のとおり判定する。 |
別掲 |
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判定日 | 2007-06-21 |
出願番号 | 意願2002-21680(D2002-21680) |
審決分類 |
D
1
2・
1-
ZB
(L2)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 梅澤 修 |
特許庁審判長 |
藤 正明 |
特許庁審判官 |
山崎 裕造 市村 節子 |
登録日 | 2003-06-06 |
登録番号 | 意匠登録第1180425号(D1180425) |
代理人 | 三原 靖雄 |
代理人 | 白崎 真二 |
代理人 | 勝木 俊晴 |
代理人 | 阿部 綽勝 |