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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20076936 | 審決 | 意匠 |
補正2007500006 | 審決 | 意匠 |
不服20076931 | 審決 | 意匠 |
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審決分類 |
審判 査定不服 意7条一意匠一出願 取り消して登録 B7 |
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管理番号 | 1167400 |
審判番号 | 不服2007-6934 |
総通号数 | 96 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2007-12-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2007-03-08 |
確定日 | 2007-10-15 |
意匠に係る物品 | 容器付固形化粧料 |
事件の表示 | 意願2006- 5768「容器付固形化粧料」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本件意匠登録出願の手続の経緯 (1)本件意匠登録出願 本件意匠登録出願は、2005年9月9日のアメリカ合衆国への出願に基づきパリ条約による優先権を主張し、本意匠を意願2006-5764号とする、平成18年3月8日の出願である。本願の出願当初の願書及び添付図面によれば、本願意匠は、意匠に係る物品が「包装用容器」であり、その形態が願書及び添付図面に記載したとおりのものである。(別紙第1参照) (2)拒絶理由 審査官は、平成18年7月19日付で拒絶理由を通知した(平成18年8月11日発送)。その拒絶理由は要旨以下のとおりである。 すなわち、「この意匠登録出願の意匠は、意匠に係る物品を「包装用容器」とし、意匠に係る物品の説明の欄に「本物品は、化粧用容器である。」と記載されていますが、添付図面の各図によると、浅い円筒皿状の容器に固形化粧料と推認される内容物が充填された状態で表されており、化粧料収納皿(包装用容器)と固形化粧料との二つの物品に係るものと認められます。 したがって、この意匠登録出願は、経済産業省令で定める物品の区分又はそれと同程度の区分により意匠ごとにされているものとは認められませんので、意匠法第7条に規定する要件を満たしていません。」との拒絶理由を通知した。 (3)出願人(請求人)の意見及び補正 拒絶理由通知に対して、出願人(請求人)は、平成18年11月10日、意見書及び手続補正書を提出した。その内容は要旨以下のとおりである。 すなわち、意見書において、「本願意匠は、1物品に係る意匠である」旨主張し、その理由として、(A)本願意匠は、観念上は、化粧料収納皿(包装用容器)と固形化粧料との二つの物品に係るものであるが、「物理的に一体的に結合されており、同時販売、同時使用される」こと、また、(B)「意匠の表現も、浅い円筒皿の化粧料収納皿(包装用容器)に、明調子と暗調子からなる渦巻き状の構成からなる固形化粧料を充填した、態様で、創作的一体化されたものである」ことを挙げている。「したがって、本願意匠に係る物品は、社会通念として、1物品と認識され、」意匠法第7条に規定する要件を満たすものである旨主張する。 また、手続補正書において、意匠に係る物品を「化粧料充填容器」と変更し、意匠に係る物品の説明を「本物品は、固形化粧料を充填した、浅い円筒皿状の容器で、「化粧料充填容器」として、同時販売、同時使用される。」と変更した。 (4)拒絶査定 審査官は、平成18年7月19日付けで通知した理由により、平成18年11月29日付で拒絶をすべき旨の査定をし(平成18年12月8日発送)、以下の付記をした。 すなわち、「意見書を提出され、本願意匠は1物品に係る意匠である旨述べられましたが、本願意匠は、願書の記載及び添付図面の各図によって、浅い円筒皿状の容器に固形化粧料が充填された状態のものと認められるところ、浅い円筒皿状の容器は経済産業省令で定める物品の区分の「包装用容器」又はそれと同程度の区分である「化粧料収納皿」「化粧用容器」等に相当する物品であり、また、固形化粧料は同省令で定める物品の区分の「まゆずみ」又はそれと同程度の区分である「固形化粧料」等に相当する物品と認められ、これらは容器とその内容物との2つの物品、すなわち化粧料収納皿(包装用容器)と固形化粧料の2つの物品に係るものと判断されますので、意見書の主張は認められません。」と付記した。 (5)審判における補正 請求人は、平成19年3月8日に拒絶査定不服審判を請求し、平成19年5月14日手続補正書によって、意匠に係る物品を「容器付固形化粧料」と変更した。 2.請求人の主張 請求人は、審判請求理由において、要旨以下のように主張する。 A.意匠法7条の理念とその効力の及ぶ範囲 意匠法7条の規定は、(a)出願を「1つの意匠」毎のものにして、審査を容易にし、(b)権利化されたときには、内容を正確に把握しやすくし、「権利の安定性を確保」し、「無用な紛争の防止」等と、意匠権者及び利害者がその意匠権の行使、防御等の便宜に考慮した、手続規定と解される。 また、省令の「物品の区分」に、掲記されたものは、備考2を参照すれば明らかなように、当該物品の例示であり、当然に従来の物品の概念では包含できない、新しい「物品概念」の解釈展開が必要となり、また、新しい物品も生じることになる。 意匠法7条は、このような手続上の便宜のための条項であって、仮に同条に反して登録されても無効理由にはならない。 以上の通り、同条は、手続規則で、その設置理念にしたがい運用されなければならない。その目的とするところは、新規な創作内容の的確な保護、育成を主体とすべき点にあり、それも業界の製品開発の実態に合った法解釈をすべきと考えられる。 B.一物品の基本的基準 意匠法における「一物品の基本的基準」は、a)創作時に、意匠が意匠全体として総合的に考察され、各部が関連するよう配慮されていること(創作の一体性、体系性:構成要素相互の質的結合)、b)製品として、同時生産(生産局面)、同時販売(取引局面)、同時使用(使用局面)されるもので、更に各局面で、物理的な結合状態におかれる実体(構成要素の物理的緊密な結合性)があることである。 C.本願意匠が1意匠として登録されるべき事由 (a)社会通念上、本願意匠に係る物品は、「溶剤固形用容器付き化粧剤」であって、この溶剤固形容器は、当該化粧剤の意匠を実体化(製造)し、使用するのに不可欠なものであり、また、使い捨てで、独立した容器とは到底概念できるものではなく、このような化粧剤と不即不離の関係のものは、「製品として、同時生産(生産局面)、同時販売(取引局面)、同時使用(使用局面)されるもので、更に各局面で、物理的な結合状態におかれる事実(構成要素の物理的結合程度)がある」ものであり、このように本願の意匠は、法的にも、これを到底二つの物品とは概念できないもである。 (b)したがって、これら各構成要素を、分離して、原審でいう経済産業省令の物品の区分による該当性を求めることはできないことになり、原審の判断は、極めて不合理であり、実体には即しないものといわざるを得ない。 (c)また、「外周からの明調子の円環状の中に暗調子を背景とした明調子の渦巻状を構成した態様」の創作内容の観点からも、本願意匠の構成態様は、全体としてまとまりのある1つの意匠として創作されたものであることは明らかであり、「創作時に、全体として総合的に考察され、各部が関連するよう配慮されている(構成要素の質的結程度)」のであるのであるから、結論として、「本願の意匠は2つの物品に係る二つの意匠の出願で、意匠毎の出願とはいえない、」とした原審の判断は誤りであるといわざるを得ない。 3.当審の判断 (1)一意匠の要件 意匠法における「意匠」とは、「物品の形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合」であり、意匠について「実施」とは、「意匠に係る物品を製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をする行為をいう」(意匠法2条1項及び3項)。また、「物品」とは、一般的に有体物(物理的に空間の一部を占め有形的存在を有する物)たる動産を指し、市場で流通し独立して取引の対象となりうるものである。 したがって、意匠法における「物品」は、「製造し、使用し、譲渡し、貸し渡し、輸出し若しくは輸入し、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をする行為」の対象となる有体物たる動産であること、及び、「意匠」とは、「物品の形状等」であることを踏まえると、意匠登録出願に係る意匠が一意匠と認められるための要件として、(A)意匠に係る物品が、その実施において常に一つのまとまった対象として扱われるものであること(実施における物品の一対象性)、及び、(B)意匠が、その実施において常に特定した同一性を維持するものであること(実施における意匠の同一性)が必要である。(意匠審査基準21.1.1.1及び21.1.1.2参照) (2)本願意匠の一意匠性 (A)実施における物品の一対象性 本願意匠に係る「容器付固形化粧料」は、一般的に市場で流通する動産であり、販売対象・取引対象となる物品である。また、本願意匠に係る「容器付固形化粧料」は、請求理由によれば、「製品として、同時生産」することを予定したものであり、使用においても一体として使用されることを予定したものである。すなわち、本願意匠の「固形化粧料」は、「容器」に物理的に固定されており、それを取り出して他の容器に詰め替え等はしないものである。そして、本願意匠の一部に係る「固形化粧料」及び「容器」は、本願意匠を構成する部品ということはできるが、本願意匠の「固形化粧料」及び「容器」が一般的に市場で流通するものとは認められない。 したがって、本願意匠に係る「容器付固形化粧料」は、その実施において常に一つのまとまった対象として扱われるものである(実施における物品の一対象性)。 (B)実施における意匠の同一性 本願意匠は、容器形状が円筒形で、その容器全体を満たすように固形化粧料を充填したものである。本願意匠の一部である「容器」と「固形化粧料」は、物理的に固定されており、単に販売時の展示効果を目的としたものではなく、固形化粧料を取り出して他の容器に詰め替え等するものでもなく、同じ形態で同時使用されるものである。なお、固形化粧料部分は、使用され徐々に少なくなるという変化はあるが、それは、物品の性質上予定された形態変化であり、また、固形化粧料が固定された状態は維持され、実質的に同一の意匠的効果が維持されるものである。 したがって、本願意匠は、その実施において常に特定した同一性を維持するものである(実施における意匠の同一性)。 (3)まとめ 以上のように、(A)本願意匠に係る「容器付固形化粧料」は、その実施において常に一つのまとまった対象として扱われるものであり(実施における物品の一対象性)、かつ、(B)本願意匠は、その実施において常に特定した同一性を維持するものである(実施における意匠の同一性)から、本願意匠は一意匠と認められる。そうすると、本件意匠登録出願は、一意匠に係るものであり、二以上の意匠を包含するものではない。 4.むすび したがって、本件意匠登録出願は意匠法第7条に規定する要件を満たしており、原査定の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2007-09-21 |
出願番号 | 意願2006-5768(D2006-5768) |
審決分類 |
D
1
8・
52-
WY
(B7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 加藤 真珠 |
特許庁審判長 |
梅澤 修 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 杉山 太一 |
登録日 | 2007-11-22 |
登録番号 | 意匠登録第1318343号(D1318343) |
代理人 | 田邉 隆 |
代理人 | 大川 晃 |