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審決分類 |
審判 補正却下不服 図面(意匠の説明を含む) 取り消す F4 |
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管理番号 | 1182456 |
審判番号 | 補正2007-500010 |
総通号数 | 105 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2008-09-26 |
種別 | 補正却下不服の審決 |
審判請求日 | 2007-09-06 |
確定日 | 2008-05-22 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 意願2006- 17993「包装用容器」において、平成19年5月30日付けでした手続補正に対してされた補正却下決定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原決定を取り消す。 |
理由 |
1.本願の手続の経緯 (1)本願は、平成18年7月7日の意匠登録出願である。 (2)特許庁審査官は、平成18年12月22日付け(発送日平成19年1月12日)の拒絶理由通知書で、この意匠登録出願の意匠は、公然知られた意匠に基づいて容易に創作をすることができたものと認められ、意匠法第3条第2項の規定に該当する旨、拒絶の理由を通知した。 (3)出願人は、平成19年4月9日付け(受付日平成19年4月9日)で、手続補正書と同時に意見書を提出し、図面表示の不備を補正し、拒絶理由が解消した旨主張した。そして、手続補正書において、図面について【蓋を開けた状態の参考斜視図】を削除し、【蓋を開けた状態の斜視図】及び【正面中央縦断面図】を追加した。 (4)特許庁審査官は、平成19年5月30日付け(発送日19年6月8日)で、平成19年4月9日付手続補正書に対して、次の理由で、意匠法第17条の2第1項の規定により、補正の却下の決定をした。 すなわち、本願は手続補正書により、意匠登録を受けようとする部分を示す実線部分を追加補正されたが、本願の意匠は出願当初の願書の記載及び添付図面により完結しているものであり、当該部分の補正後の意匠は、この意匠の属する分野における通常の知識に基づいて、出願当初の願書の記載及び添付図面から総合的に判断しても導き出すことができず、また、当該部分は、本願の意匠の要旨の認定に大きく影響を及ぼす部分であることから、この手続補正書による補正は、出願当初の願書に添付した図面の要旨を変更するものと認められた。 2.決定に対する取消事由 請求人は、平成19年5月30日付けの補正の却下の決定を取り消すべき事由として、要旨以下のように主張する。 (1)出願当初の願書の記載及び添付図面の記載から総合的に判断すれば(意匠法2条、6条、24条)、この意匠の属する分野における通常の知識を有する者は誰でも、補正後の意匠を、当然に導き出せる。 この意匠の構成態様は、「『浅い段状丸皿の蓋(蓋体a部)を有するやや浅い椀状容器(本体b部)』であって、a部は鎖線でb部は実線で表されている。」。このb部について、鎖線で表したa部を取り外した(開けた)状態のb部の「実線による参考斜視図」が表され、b部についての開口縁部から内側の構成態様が実線で明確に示され、立体的に曖昧さの無いように開示されている。 そうすると、「正面中央縦断面図」の構成態様は、出願当初に開示されたものであり、当該図面の補充は、出願当初の態様を、より明確にしたものとして、その要旨を変更するものではない。 また、本件の意匠出願のように、ふたと本体のように分離することができる物品であって、その意匠を十分表現できないものについては、意匠を理解することを助けるために必要な参考図を加えることができる。本件出願については、その必要参考図は、「蓋を開けた状態の参考斜視図」であり、実質上「その物品のそれぞれ(登録請求部分)の構成部分について」明確に開示されている。 そして、「蓋を開けた状態の参考斜視図」を「蓋を開けた状態の斜視図」としても、何ら出願当初の手続の記載内容を実質的に変更するものではない。 (2)当該実線部分の追加補正(断面図)は、本願の出願当初の意匠の要旨を明確にするものであって、当該補正は何ら当初の意匠の要旨を変更するものではない。 当初の願書の記載と添付図面の記載における一組の6面図により表された意匠と、その意匠の理解を助けるための必要から開示された参考図に基づけば、普通「誰でもその必要に応じて、間違いなく一定の断面図を、特定できるものである」から、本願について、これに該当する補正内容に示す「断面図」を、事後的に手続補正をしても、「出願当初の意匠を変更したもの」とは、いえない。 (3)終わりに 以上の通りであり、原審の本件手続補正書による補正の却下の決定は、出願当初の手続における実体の内容について審理不尽があり、その取消は免れない。 3.当審の判断 (1)本願の出願当初の意匠 本願の出願当初の意匠は、出願当初の願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「包装用容器」とし、形態については、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、各図の実線で表わした部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であり(以下、「本願意匠の部分」という。)、各図の表面に表わした細線が、いずれも立体表面の形状を表わしたものである(別紙第1参照)。 (2)補正後の意匠 平成19年4月9日付けでした手続補正は、出願当初の願書に添付した図面について、【蓋を開けた状態の参考斜視図】を削除し、【蓋を開けた状態の斜視図】及び【正面中央縦断面図】を追加したものであり、補正後の意匠は、補正後の願書及び願書に添付した図面によれば、意匠に係る物品を「包装用容器」とし、形態については、補正後の願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、各図の実線で表わした部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分であり、各図の表面に表わした細線が、いずれも立体表面の形状を表わしたものである(別紙第2参照)。 (3)要旨変更の当否 出願当初の願書に添付した図面の記載において、一組の図面及び【斜視図】は、容器本体を実線で描き、蓋を二点鎖線で描いている。また、【蓋を開けた状態の参考斜視図】は、容器本体を実線で描いている。そして、願書の【意匠の説明】の欄の記載において、「各図の実線で表された部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分である。」と記載されている。 すなわち、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は、一組の図面だけでは特定できないため、【蓋を開けた状態の参考斜視図】を加え、かつ、願書の【意匠の説明】の欄に意匠登録を受けようとする部分を特定する方法を記載したものである(意匠法施行規則様式第6備考11参照)。そうすると、本願意匠の意匠登録を受けようとする部分は、一組の図面、【斜視図】及び【蓋を開けた状態の参考斜視図】の「各図」において、実線で表された部分(容器本体部分)と認められる。 また、本願意匠は、容器本体に蓋が被せられたものであって、一組の図面及び【斜視図】だけでは、その意匠(蓋が被さった部分)を十分表現することができないものであり、【蓋を開けた状態の参考斜視図】は、一組の図面及び【斜視図】だけでは、その意匠を十分表現することができないため、必要な図として加えられたものと認められる(意匠法施行規則様式第6備考14、18参照)。したがって、【蓋を開けた状態の参考斜視図】は、意匠の理解を助けるため必要があるとき加えられた参考図ではなく、図面表示に「参考」の語句を付記したことは、図面表示上の誤記と認められる。 一方、平成19年4月9日付けでした手続補正における【蓋を開けた状態の斜視図】に表された形態は、出願当初の【蓋を開けた状態の参考斜視図】に表された形態と同一であり、【蓋を開けた状態の斜視図】は、出願当初の【蓋を開けた状態の参考斜視図】の図面表示上の誤記を訂正する補正に過ぎない。また、【正面中央縦断面図】に表された形態は、出願当初の形態と一致するものであり、この図の追加は、容器本体の上側の形態を明確なものとするための補正と認められる。 以上のとおりであり、平成19年4月9日付けでした手続補正は、出願当初の願書の記載及び願書に添付した図面の記載の要旨を変更するものとは認められない。 4,むすび したがって、平成19年4月9日付手続補正書による補正を、意匠法第17条の2第1項の規定により却下すべきものとした原審における決定は不当であって、取り消しを免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2008-04-30 |
出願番号 | 意願2006-17993(D2006-17993) |
審決分類 |
D
1
7・
1-
W
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 斉藤 孝恵 |
特許庁審判長 |
梅澤 修 |
特許庁審判官 |
杉山 太一 鍋田 和宣 |
登録日 | 2008-08-01 |
登録番号 | 意匠登録第1339007号(D1339007) |
代理人 | 大川 晃 |
代理人 | 田邉 隆 |