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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立不成立) D2
管理番号 1182496 
判定請求番号 判定2007-600079
総通号数 105 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2008-09-26 
種別 判定 
判定請求日 2007-10-24 
確定日 2008-08-18 
意匠に係る物品 机 
事件の表示 上記当事者間の登録第1308775号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号写真及びその説明書に示す「机」の意匠は、登録第1308775号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第1 請求人の申し立ておよび理由
1.請求の趣旨
イ号写真並びにその説明書に示す意匠は、登録第1308775号意匠(以下、「本件登録意匠」という。)及びこれに類似する意匠の範囲に属する、との判定を求めると申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、証拠方法として、甲第1?第7号証を提出する。
2.請求の理由
2-1.判定請求の必要性
請求人は、本件登録意匠の意匠権者であり、被請求人が販売しているイ号意匠に係る机(イ号物件)が、本件登録意匠の意匠権を侵害するか否かで紛争を生じる可能性がある。
2-2.本件登録意匠の要部
本件登録意匠の創作の要点は、幕板が、左右の足の幅から突出せず、天板と幕板の端部の折り曲げ部を密着して接合させることでスマートな印象を与えると共に、安定感、一体感を表出している点にある。
2-3.本件登録意匠とイ号意匠の類否
本件登録意匠とイ号意匠について、甲第7号証も考慮し、比較検討するに、両意匠の共通点は、基本的な構成態様に係るものであると共に、具体的な構成態様においても主要な部分に係るものである。特に、幕板の取り付け方法や天板との接合方法、脚の傾斜角度、断面形状等が共通しているため、両意匠の類否の判断に大きな影響を与えるものである。しかも、机において一番注目の集まる前面部、即ち脚とその内側に密着した幕板が鳥居状に一体となった点において、両意匠の印象は酷似している。
一方、通常使用時にほとんど見えない天板載置部や注目され難い底面の脚ベースの形状の差異は、特別顕著な差異とは言えず、小孔の形状と列の数の差異は、四角や小円の形状を異にしたり、列の数を異にすることは、この種物品において常套的に用いられている手法であり、さらに、幕板の折り曲げの方法や長さについても、通常使用時にほとんど見えない部分であることや薄板を折り曲げた印象が強く、その端部の些細な形状や長さの差異には、ほとんど注意が向かないことからみても、意匠の要部ではなく、差異点は、類否の判断に与える影響がいずれも微弱なものであって、それらが纏まっても両意匠の類否の判断を左右するまでには至らない。
第2 被請求人の答弁および理由
1.答弁の趣旨
イ号図面(写真)並びにその説明書に示す意匠は、登録第1308775号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない、との判定を求めると申し立て、その理由として、要旨以下のとおり主張し、証拠方法として、乙第1号証?乙第6号証を提出する。
2.判定請求理由の認否
2-1.本件登録意匠の手続きの経緯を除き全て否認または争う。
2-2.イ号物件またはイ号意匠が不一致または特定されていないため、さらにはイ号物件が被請求人の実施意匠ではないため、本件判定請求は請求自体失当である。
3.本件登録意匠とイ号意匠との属否
3-1.イ号意匠(イ号説明図及び同添付の写真の意匠)について
イ号意匠は、被請求人実施の机ではないが、今後被請求人として実施した場合を想定してこれを限度としてイ号意匠を認定し、本件登録意匠との属否について答弁する。
3-2.本件登録意匠とイ号意匠との対比
3-2-1.共通点
本件登録意匠とイ号意匠とは、意匠に係る物品が共通する他、その基本的構成態様即ち、(1)横長矩形状の天板と、(2)天板のやや後方側両側直下に側面視略L字形状となるべく、左右一対の脚部が、傾斜した脚部用支柱と該支柱に接合した脚ベース部とからなり、(3)天板のやや内側直下に脚部用支柱に一端が連結した天板に平行な天板載置板を設け、(4)脚部用支柱間には側面視、該支柱によって左右側面から見えないように多数の小孔が穿設された幕板を設けてなる点においても共通する。
3-2-2.相違点
A.幕板の形状について、本件登録意匠は、側面視コの字状となるべく長手方向上下端縁を後方側に折り曲げ、縦横計40個の角孔が穿設されてなるが、イ号意匠は単なる平板であり、縦横計60個の円形状の孔である。
B.脚部の形状について、本件登録意匠は、脚部用支柱の背面後方側に脚ベース部が直交するように接続して略L字状に構成し、脚部用支柱と脚ベース部とを長円形状の同一形状としているが、イ号意匠は、脚部用支柱の下端を脚ベース部の先端部側に嵌入して略L字状に構成し、脚部用支柱が断面細長四角形状であるが、脚ベース部は両端部が半円状の長方形状であって明らかに同一形状ではない。さらに、脚ベース部について、本件登録意匠は、側面視上面と下面が平行な長円形状であり、後方端部を大きく斜めカットして該カット部に樹脂キャップを嵌合してなるのに対し、イ号意匠は、上面が後方側に下向き傾斜した傾斜面を有する長方形状であり、後方端部を垂直なカット面とし、両意匠は側面視の形状が全く異なる。
C.天板載置板の形状について、本件登録意匠は、側面視天板より肉太な長方形状の矩形体であり、前方端が側面視脚部用支柱の後方端に位置しているが、イ号意匠は、側面視細い横長な略直角三角形状であり、前方端を脚部用支柱の上側面まで臨出して飛び出し状態としている。
D.収納用の線状ラックについて、本件登録意匠は、天板直下で両側の天板載置板間に設けているが、イ号意匠には存在しない。
3-3.本件登録意匠とイ号意匠との属否
3-3-1.共通点の評価
天板が横長矩形状である点は例示するまでもなく周知形状である他、脚部の形状として側面視L字状とすることは乙第1号証の登録第1061494号意匠や登録第1154069号意匠等によって周知乃至は少なくとも公知形状で、同様に脚部用支柱をやや後方側に傾斜させることも公知である。さらに、天板直下の両側に天板載置板を設けることも前記乙第1号証(登録第921615号意匠、登録第1169347号意匠等)によって周知形態である。次に幕板を脚部用支柱間に側面視から見えないように、いわゆる鳥居状に設けることは、乙第2号証に示すように従来からありふれた形態であって何ら新規な形態ではない。
以上のとおり、両意匠に共通する基本的構成態様は、この種「机」としては何ら特徴のないありふれた形状であり、格別看者の注意力を喚起せしめるものではない一般的な形態である。
3-3-2.相違点の評価
この種物品分野においては、机としての基本的形態は従来から周知でありふれた形状であるため、特許庁の審査においても具体的構成態様の相違によって非類似と判断されていることに鑑みると意匠の類似範囲は極めて狭いものである。例えば乙第4号証に示すように、本件登録意匠と登録第1315017号意匠や同1314596号意匠、登録第1112647号意匠と同1112648号並びに登録第1145871号意匠と同1145872号意匠とは夫々非類似意匠として登録されていることからも容易に立証できる。
上記事情を考察して評価すると、両意匠は幕板の形状、脚部の形状、天板載置板の形状において具体的構成態様が明らかに相違し、しかもラックの有無において明白に相違する以上、全体観察すると両意匠は決して類似するものではない。特に、この種物品の購入者は学校に資材等を販売する専門業者であるため、当業者からすれば上記各相違点は単なる微差ではなく、需要者に強く印象づける具体的形状の相違である。
さすれば、イ号意匠は本件登録意匠に類似するものではない。
4.請求人の主張に対する反論
4-1.本件登録意匠の要部
請求人主張の本件登録意匠の要部認定は明らかに失当であり、且つ出願時の意見書(乙第3号証の1)や審判時の手続補正書(乙第3号証の2)の創作ポイントの主張とも一致していない。
4-2.類否判断
請求人の主張は、この種物品の周知形状や公知形状および、請求人自身が出願過程で主張した創作ポイントを無視し、さらに意匠と無関係な技術的事項の共通性を強弁するものであり、不当である。
5.甲第2号証に係る被請求人のカタログ所載の机について
5-1.吸音幕板タイプの机(品番SSD-AC1KB)について
該机(ロ号物件)の構成は、乙第5号証に示すとおりである。ロ号物件とイ号意匠とは幕板は吸音板であるか否か(背面視の形状相違)、及び幕板の小孔の数の相違並びに側面視天板載置板の前端部が脚部用支柱の上側面まで臨出しているか否かにおいて相違する。
しかるに、ロ号物件は、被請求人と実質同一企業であるコクヨ株式会社が登録第1314596号意匠として所有する登録意匠と同一構成態様であって該登録意匠の実施品であるから、本件登録意匠と類似するものでない。
5-2.スチール幕板タイプの机(品番SSD-AC1SB)について
該机(ハ号物件)の構成は、乙第6号証に示すとおりの机であって、その意匠は登録第1315017号意匠として登録されているもので、ハ号物件は該登録意匠の実施品であるから、ハ号物件も本件登録意匠に類似することはありえない。
第3 当審の審尋に対する請求人の回答
当審において、イ号図面(写真)並びにその説明書に示す意匠に該当する意匠が、甲第2号証に特定されていない点および、甲第7号証に示すイ号意匠と一致しない点について書面により審尋したところ、請求人は、要旨以下のとおり回答した。
1.甲第2号証のカタログ写し第756頁に記載された「スチール幕板タイプ」中の品番「SSD-AC1SB」 と表示された商品が、イ号意匠が実際に使用されている商品である。
2.甲第2号証のカタログ写し及び甲第7号証に示すイ号意匠については、天板下方にアミ棚が設けられている。
第4 被請求人の上申の要旨
被請求人の意願2005-32450号の意匠は登録第1308904号意匠と類似するとした拒絶査定が、平成20年6月20日付発送の審決により、両意匠は非類似であるとして取り消された。
本件登録意匠及びイ号意匠と、前記出願意匠及び登録第1308904号意匠とは、1人掛けか3人掛けか、机の長さに差異はあるもののその構成態様は基本的に同一態様であるから、上記審決は、本件判定にも影響を与えるものである。
第5 当審の判断
1.判定請求の必要性
請求人は、被請求人に係るカタログ(甲第2号証)に掲載された「スチール幕板タイプ」中の品番「SSD-AC1SB」をイ号物件として特定したが、その意匠は、「イ号図面(写真)並びにその説明書に示す意匠」と一致しない点が認められる。
判定請求において、イ号とは、相手方がある場合にはその相手方の実施する1個の物件をいう。しかしながら、被請求人が、今後被請求人としてイ号意匠を実施した場合を想定してこれを限度としてイ号意匠を認定し、本件登録意匠との属否について答弁するとしているので、当審は、本件の判定請求の必要性を認め、以下判断する。
2.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成16年(2004年)11月12日に意匠登録出願がなされ、同19年7月27日に意匠権が設定登録された意匠登録第1308775号の意匠であって、意匠に係る物品を「机」とし、その形態は、願書および願書に添付した図面に記載されたとおりのものである。(別紙「図面第1」参照)
3.イ号意匠
本件判定請求書に添付した「イ号図面(写真)並びにその説明書に示す意匠」(以下、「イ号意匠」という。)は、意匠に係る物品を「机」とし、その形態は、イ号写真およびイ号写真の説明書に記載されたとおりとしたものである。(別紙「図面第2」参照)
4.本件登録意匠とイ号意匠の対比
4-1.意匠に係る物品
本件登録意匠とイ号意匠は、いずれも教育施設等で使用される1人使用の机に係るものであるから、意匠に係る物品が共通している。
4-2.形態の共通点および差異点
本件登録意匠とイ号意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点および差異点が認められる。
なお、形態の対比上、イ号意匠については、イ号図面(写真)の現す形態の向きを本件登録意匠の図面に揃え、以下、両意匠の形態をそれぞれ認定する。
先ず、共通点として、(1)全体は、横長矩形状の天板の下側前方の両角寄りにそれぞれ側方視略「L」字形状の脚部を取り付け、脚部の支柱上端から後方へ細長い部材を接合して天板載置部とし、脚部の支柱間の上部に正面視横長長方形状の幕板部を設け、その略全面に多数の小孔を縦横等間隔に施し、形態全体を左右対称状に構成した態様が認められ、各部の具体的な態様において、(2)天板は、横の長さが奥行の2倍弱である点、(3)脚部は、支柱部分(以下、「脚支柱部」という。)を長円柱状に形成して後方へわずかに傾斜させ、脚支柱部を支持して床面に接する台木状部分(以下、「脚台木部」という。請求人が「脚ベース」とし、被請求人が「脚ベース部」とする部分に相当。)が、天板載置部よりも前後の長さがやや長い点、(4)幕板は、左右両脚支柱部間の上部3分の1強の部位に、上端を天板に密着させて脚支柱部の前面よりもわずかに後方に取り付け、縦横の長さの比を約1:2としている点、そして、(5)左右の天板載置部の内側略中央に、それぞれ外側へ鈎状に屈曲したフック部を取り付けている点が認められる。
一方、具体的な態様の差異点として、(1)脚台木部の脚支柱部との接合態様について、本件登録意匠は、脚支柱部の背面であって下端に近接して脚台木部を接合しているのに対し、イ号意匠は、脚支柱部の底面に脚台木部を接合している点、(2)脚台木部の態様について、本件登録意匠は、縦幅および左右幅をそれぞれ脚支柱部の前後幅および左右幅と同大とした長円柱状とし、後端を斜め上向き斜面状に形成し、その底面に小円板状の部材を取り付けているのに対し、イ号意匠は、縦幅の前端を脚支柱部の前後幅と略同幅とし、後端に向かって次第に細幅とした略角柱状であって、前後両端を平面視円弧状に面取りして形成し、前端を脚支柱部のわずかに前方とし、左右幅を脚支柱部よりもわずかに広幅としている点、(3)天板載置部の態様について、本件登録意匠は、端面視略「U」字形状であって、縦幅および左右幅をそれぞれ脚支柱部の前後幅および左右幅と同大としているのに対し、イ号意匠は、前端を除いた大部分を脚台木部よりも縦幅がやや短い相似形状としている点、(4)幕板の態様について、本件登録意匠は、上下両端の細幅部分を後方に直角状に折り曲げ、矩形状の小孔を40個施しているのに対し、イ号意匠は、下端を細幅の端面視略「コ」字形状に折り曲げ、左右両端に端面視略「L」字形状の部材を接合し、円形状の小孔を60個施している点、そして、(5)本件登録意匠は、左右の天板載置台の間に、線材を背面視扁平逆台形状に折り曲げて形成した荷物用ラックを設けているのに対し、イ号意匠は、そのような部分を設けていない点が認められる。
5.本件登録意匠とイ号意匠の類似性についての判断
以上の、共通点および差異点を総合し、意匠全体として、本件登録意匠とイ号意匠が類似しているか否か、すなわち類似性について以下考察する。
先ず、共通点(1)については、横長矩形状の天板の下側の前方両角寄りにそれぞれ側方視略「L」字形状の脚部を取り付け、脚部の支柱上端から後方へ細長い部材を接合して天板載置部とし、脚部の支柱間の上部に正面視横長長方形状の幕板部を設け、形態全体を左右対称状に構成した態様は、例を挙げるまでもなく、この種机の意匠の骨格的な構成態様として普通に見受けられるものであり、幕板部の略全面に多数の小孔を縦横等間隔に施した態様のものも多数見受けられ、両意匠に共通するとした前記態様は両意匠にのみ共通する構成態様として格別新規のものでもないから、両意匠の類似性についての判断に与える影響は微弱なものである。共通点(2)については、この種の1人使用の机の天板の寸法比として一般的なものであり、両意匠にのみ格別のものでもないから、両意匠の類似性についての判断に与える影響を考慮するまでもないものである。共通点(3)については、この種物品分野において、机の安定度や強度を確保するための構成態様として両意匠のほかにも見受けられる態様であって、脚支柱部が後方へわずかに傾斜し、脚台木部が天板載置部よりも前後の長さがやや長い態様は、例えば、意匠登録第589029号の意匠、意匠登録第1061494号の意匠、意匠登録第1314596の各意匠に見受けられ、また、脚支柱部を長円柱状に形成することは、この種物品のみならず、支柱部分の剛性を高めるための形態として普通であり、いずれも両意匠にのみ共通する格別のものでもないから、両意匠の類似性についての判断に与える影響は微弱なものである。共通点(4)については、幕板部を脚支柱部の前面よりもわずかに後方であって天板に密着して取り付けた態様のものは、両意匠のほかに多数見受けられ、両意匠にのみ格別の共通点とは言えないから、両意匠の類似性についての判断に与える影響は微弱なものである。共通点(5)については、フック部は天板載置部の内側略中央のそれほど目だたない部位に取り付けたものであって、意匠全体からみれば限られた部位の形態について共通点にすぎないから、両意匠の類似性についての判断に与える影響は微弱なものである。そうすると、いずれの共通点も本件登録意匠とイ号意匠の類似性についての判断に与える影響は微弱なものに過ぎないから、共通点に係る態様が相乗して生じる視覚的な効果を考慮したとしても、共通点は、本件登録意匠とイ号意匠の類似性についての判断を左右するものとなり得ない。
なお、請求人の、机において一番注目の集まる前面部、即ち脚とその内側に密着した幕板が鳥居状に一体となった点において、両意匠の印象は酷似している旨主張については、被請求人も立証しているとおり、幕板を脚部用支柱間に側面視から見えないように鳥居状に一体に設けた態様が、乙第2号証の各意匠(登録第764331号の意匠を除く。)に示すように周知であり、本件登録意匠とイ号意匠にのみ共通する新規の構成態様とはいえず、机の前面部のかかる態様の共通点を以て、直ちに両意匠が意匠全体として類似するものと断じることはできないから、採用できない。
一方、各差異点について考察すると、差異点(1)については、前記のとおり、本件登録意匠とイ号意匠は、脚支柱部と脚台木部との接合態様には顕著な相違が認められるから、脚支柱部と脚台木部との接合部分が脚部の露出した部分であって目に触れやすい部位の構成態様に係る点を考慮すると、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいものである。差異点(2)については、前記のとおり、本件登録意匠とイ号意匠の脚台木部には、形態全体に及ぶ相違が認められ、脚台木部が目に触れやすい部位の態様に係る点を考慮すると、その差異はいずれの方向から対比した場合にも認められ、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいものである。さらに、差異点(1)に係る態様と差異点(2)に係る態様が相俟った視覚的な効果は、本件登録意匠とイ号意匠の脚部の接合部分から脚台木部に至る態様に互いに異なる美感を生じているものであり、いずれも脚部の目に触れやすい部位の構成態様についての差異を顕著にしているといえるから、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は極めて大きいものである。差異点(3)については、天板載置部の端面視形状は限られた部分の態様に係るとしても、当該部分の端面視態様に比較して目に触れやすい側方視態様に大きな差異が認められ、さらに、イ号意匠では、前端を除いた大部分を脚台木部よりも縦幅がやや短い相似形状としているため、天板載置部と脚台木部の態様が互いに調和して脚部全体に統一された意匠的なまとまりを形成し、机の形態全体の側方視態様に異なる美感を生じている点も考慮すると、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言える。差異点(4)については、形態全体を左右するほどの差異点ではないが、小孔の形状が相違し、また、小孔の個数の比において、本件登録意匠とイ号意匠は2対3であるから、両意匠の幕板が縦横の長さの比を同様とする大きさであるとした場合、小孔を施した態様にも粗密の差異があり、幕板が意匠全体の正面の比較的大きな部分を構成している点も勘案すると、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものである。差異点(5)については、この種机に本件登録意匠と同様の荷物用ラックを設けたものが他にも見受けられるとしても、荷物用ラックの有無は、机の機能上、需要者にとって軽視できないものであるから、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものである。そして、前記差異点のうち、(1)?(3)は、本件登録意匠とイ号意匠の類似性についての判断に与える影響が大きいから、これら差異点およびそのほかの差異点に係る態様が相乗して生じる視覚的な効果は、両意匠の類似性についての判断を左右するものといえる。
したがって、本件登録意匠とイ号意匠は、意匠に係る物品については共通しているが、形態については、共通点よりも差異点が相乗した意匠的な効果が両意匠の類似性についての判断に与える影響が大きいから、両意匠は、全体として美感が異なり、互いに類似しないものである。
6.むすび
以上のとおりであるから、イ号意匠は、登録第1308775号意匠およびこれに類似する意匠に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2008-08-06 
出願番号 意願2004-34525(D2004-34525) 
審決分類 D 1 2・ 1- ZB (D2)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 本多 誠一 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
鍋田 和宣
登録日 2007-07-27 
登録番号 意匠登録第1308775号(D1308775) 
代理人 岩田 徳哉 
代理人 薬丸 誠一 
代理人 中谷 寛昭 
代理人 小山 雄一 
代理人 足立 勉 
代理人 平井 隆之 
代理人 北田 明 
代理人 野村 慎一 
代理人 藤本 昇 
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