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審決分類 |
審判 F4 |
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管理番号 | 1195370 |
審判番号 | 無効2008-880021 |
総通号数 | 113 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-05-29 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2008-08-08 |
確定日 | 2009-03-23 |
意匠に係る物品 | 包装用容器 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1325262号「包装用容器」の意匠登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第1325262号の登録を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 |
理由 |
第1.請求の理由及び要点 審判請求人(以下、請求人という。)は、「登録第132526号意匠(以下、本件登録意匠という。)の登録を無効とする。審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求める。」と申し立て、その理由として、審判請求書の記載のとおりの主張をし、証拠方法として、甲第1号証を提出している。 請求人の主張は、概ね次のとおりである。 (1)本件登録意匠は、甲第1号証に記載の意匠と類似するものであるから、意匠法第3条第1項第3号の規定により意匠登録を受けることができないものであり、同法第48条第1項第1号により、無効とすべきである。 (2)本件意匠登録を無効とすべき理由 [本件登録意匠と甲第1号証に記載の意匠との類否] 両意匠の縦リブの下端の形状についての差異点は、常套的な形態処理の範囲内にとどまる違いでしかないというべきで、部分的、且つ軽微な差異であり、意匠全体の美感に影響を及ぼすものとはいえない。 また、両意匠の各底面の裏面コーナー部についての差異点は、本件登録意匠は、略L字状脚部が設けられているが、甲第1号証の意匠の【図9】及び【図10】にも記載されている形態であり、両意匠の類否判断においては、重視されるべき形態でないことが分かる。 甲第1号証の意匠は、図面(線図による線図形)によって意匠を現しているが、色彩、模様を特定しない形状意匠というべきであり、かつ形状において本件登録意匠と類似であることから、例え、本件登録意匠が写真によって、色彩(乳白色・半透明)を有するといえども同一性の範囲を超えるものではない。 これに対し両意匠の共通点は、両意匠の形態全体に及び、その基本的な構成をなし、また両意匠の特徴を端的に表すところであるから、たとえこれに近いものが古来よりみられるとしても、類否判断に極めて大きな影響を及ぼすものとせざるを得ない。特に、底面の表裏にそれぞれ配列された縦横の補強リブ、筋交リブ、底面を貫通する円形の貫通孔や突条リブにおける共通点、並びに側壁にそれぞれ配列された横長スリット状の貫通孔等の共通点は、形状同一、個数同数、意匠的にまとまりがあって、形態全体の大部分を占めるものであるから、需要者に強い共通する印象を与えるところである。 そして前述のとおり、差異点が類否判断に及ぼす影響は微弱で、両意匠の共通点を凌駕するものではないので、本件登録意匠は、甲第1号証に記載の意匠に類似するものである。 第2.答弁の理由及び要点 審判被請求人(以下、被請求人という。)は、「『本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。』との審決を求める。」と申し立て、その理由として、答弁書の記載のとおりの主張をしている。 請求人の主張は、概ね次のとおりである。 (1)請求人が主張する無効の理由は、本件意匠の特定に重大な錯誤があり、誤った事実認定に基づくものであるから失当である。 また、請求人の主張する両意匠の共通点のほとんどは、本件登録意匠にかかる物品である、ホタルイカ等の小型の魚介類を入れるための「包装用容器」が通常有している形態に関するものであり、意匠の類比判断に与える影響が小さいものと言うべきである。 以下、本件登録意匠の特徴的な構成について説明した後、両意匠を対比することにより、本件登録意匠が甲第1号証に記載の意匠とは非類似であることを説明する。 (2)本件登録意匠の特徴について 本件登録意匠にかかる物品「包装用容器」は、ホタルイカ等の小型の魚介類を入れるためのものであり、魚介類が入れられる収容部の上側が開口しているから、この魚介類の収容部は、外観上、見えやすい部分であるとともに、着目されやすい部分である。 本件登録意匠は、この魚介類の収容部において、請求人が看過している以下の特徴的な構成態様を有している。 A.本件登録意匠の各単位容器の底板の表面側には、相対する長辺側壁間に掛け渡される突条リブが等間隔に3本設けられ、これにより魚介類の収容部が4つの横長長方形領域に区画されている。 B.本件登録意匠の各単位容器の底板の表面側には、その中央部分に、平面視十字型の突起と円形のマウンド状の突起が重畳して形成されている。 十字型突起の縦線及び横線は、上記凸状リブ及びその他の底板の表面側に散在する短いリブより平面視の線幅が太いものとなされている。 C.本件登録意匠の各単位容器の周壁の内側には、底板表面側に設けられた上記3本の突条リブの両端部に対応する部分、及び短辺側壁の中央部分に、容器の頂部近くに達する高さを有する正面視あるいは側面視三角形のリブが各周壁の内面側から突出するように合計8個形成されている。 (3)本件登録意匠と甲第1号証に記載の意匠との対比 本件登録意匠は上記A?Cの特徴的な構成を有するものであるところ、甲第1号証に記載の意匠は、これらの構成のいずれをも有していない。 <構成Aについて> 本件登録意匠の各単位容器の底板の表面側には、相対する長辺側壁間に掛け渡される突条リブが等間隔に3本設けられている。 これに対し、甲第1号証に記載の意匠の各単位容器の底板の表面側には、短いリブは散在しているものの、相対する長辺側壁間に掛け渡されるリブ等は存在しない。 <構成Bについて> 本件登録意匠の各単位容器の底板の表面側には、その中央部分に、平面視十字型の突起と円形のマウンド状の突起が重畳して形成されている。 これに対し、甲第1号証に記載の意匠の各単位容器の底板の表面側では、その中央部分には何らの突起もない平坦部となっており、底板の表面側の中で平坦部となっている。 <構成Cについて> 本件登録意匠の各単位容器の周壁の内側には、底板表面側に設けられた上記3本の突条リブの両端部に対応する部分、及び短辺側壁の中央部分に、容器の頂部近くに達する高さを有する正面視あるいは側面視三角形のリブが各周壁から内側に突出するように合計8個形成されている。 これに対し、甲第1号証に記載の意匠の各単位容器の周壁の内側には、コーナー部に設けられた隅リブを除き、各周壁から内側に突出するようなリブは存在しない。 また、本件登録意匠では、3本の突条リブの両端部に前記三角形リブが形成され、その上縁が容器の頂部近くまで連続することで、魚介類の収容部が4つの横長長方形領域に区画されていることが、より一層明確に視認されやすいものとなっている。 本件登録意匠と甲第1号証に記載の意匠とは、いずれもホタルイカ等の小型の魚介類を入れるための「包装用容器」を対象とし、かかる容器が通常有している形態において共通点を有しているものの、少なくとも上述した3点において両意匠は大きく相違している。 また、請求人が強く主張する両意匠の共通点は、見えにくく着目されにくい底板の裏面側(下面側)に形成されたリブ形状についてのものであるが、上述した両意匠の相違点は、外観上、見えやすく着目されやすい魚介類の収容部の表面側(上面側)に現れているものであって、看者に強い別異の意匠の印象を与えるものである。 よって、これら両意匠の相違点は、請求人が主張する両意匠の共通点を遥かに凌駕するものであって、もはや両意匠は非類似であると言うべきである。 第3.当審の判断 1.本件登録意匠 本件登録意匠は、平成19年7月2日に出願(意願2007-17797)され、平成20年2月22日に意匠権の設定の登録がなされ、平成20年3月24日に公報が発行された意匠登録第1325262号であって、願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品を「包装用容器」とし、その形態を同図面のとおりとしたものである。意匠に係る物品の説明として、「本物品は、ホタルイカ等の小型の魚介類を入れるためのもので、3個の容器単体が分割可能に連結されている。小売店等の店頭においては、容器単体ごとに分割され陳列、包装に供される。」との記載がある。(別紙第1参照) すなわち、本件登録意匠の形態は、基本的構成態様を、(A)略同一形状の縦長長方形状トレー型容器3個を分割可能に水平横方向に連結したものであり、単位容器は、底板と急傾斜周壁により下窄まり状に形成され、底板部は、表裏面に長短のリブを縦横及び斜めに形成し、平坦部に規則的に貫通孔を形成し、周壁部は、下端部から中程までの大きさの縦長貫通孔を連続形成し、上端部に折返し状鍔部を形成し、連結部は、長辺側壁のコーナー寄り2個所に形成し、容器同士を極細幅に離して極小連結片により連結したものとし、その具体的構成態様は、単位容器について、以下のとおりである。 (B)底板表面部のリブは、相対する長辺側壁を4等分する位置間に、突条リブを3本設け(以下、リブの名称については、「別紙第3 添付説明図2〈答弁書添付の参考説明図2〉参照。)、横長長方形区画を4個形成し、当該上下の突条リブ寄りの位置に、相対する短辺側壁を4等分する位置の左右部の位置間に沿って、短リブを1本ずつ設け、側壁に接するリブとして、側壁コーナー部に隅リブを1個ずつ設け、側壁上方に達する丈の高い三角形状リブを、3本の突条リブ両端部と短辺側壁中央部に1個ずつ設け、長さが短リブよりやや長い低リブを、短辺側壁中央部と長辺側壁中央部に2本ずつ設け、さらに左右の単位容器の外側の長辺側壁にのみ、2本の低リブの両脇に、やや短い低リブを1本ずつ設け、さらに中央突条リブの中央部に、平面視十字型のやや幅広突起と円形のマウンド状突起を重畳して形成し、 (C)底板裏面部のリブは、表面部の突条リブと略同位置に補強横リブを3本設け、相対する短辺側壁の中央部間に補強縦リブを1本設けて交差させ、横2列縦4列となる略正方形状区画を形成し、同区画内毎に対角線状の筋交リブを設けて、直角二等辺三角形状区画を各4個形成し、各コーナー部に向かう筋交リブのみ短くし、底板外周部に周回リブを設け、コーナー部のみ僅かに突出させ、略L字状脚部とし、 (D)底板の貫通孔は、底辺が補強横リブに接する直角二等辺三角形状区画を除く区画毎に、当該三角形状の頂部寄りに円孔を1個ずつ設け、横2列縦4列の略正方形状区画毎に3個の円孔を、各コーナー部に三角孔を形成し、 (E)周壁連続貫通孔は、やや拡開した倒立U字形とし、長辺側壁の中央部に間隔を設け7個ずつ、短辺側壁の中央部に間隔を設け3個ずつ形成し、 (F)周壁鍔部は、細幅水平延伸部と急傾斜状垂下部による折返し状とし、内側に多数の補強リブを設け、 (G)連結部は、コーナー寄りの鍔部補強リブを垂下させて連結部リブとし、当該連結部リブ同士を繋ぐ極小連結片は、極細幅で丈も極短く形成し、 (H)単位容器の構成比を、短辺:長辺:高さ(容器深さ)を約5:9:1としたものである。 2.引用意匠 引用意匠は、本件登録意匠の出願前に特許庁が発行した公開実用新案公報に記載の、実用新案出願公開平6-85234号(平成6年12月6日公開)の図面(【図1】乃至【図3】)及びこれに関連する記載の内容によって表された「連結容器」の意匠である(甲第1号証)。明細書によれば、「この考案は、魚介類等を適宜分量に区分けした状態で効率よく均一に茹で上げたのち、各区分けした単位容器毎に衛生的に切り離し可能として連結容器に関するものである。」との記載がある。(別紙第2参照) 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると、物品は、共に魚介類を入れる連結状の包装用容器であるから一致し、形態においては、主として以下の共通点及び相違点が認められる。 [1]共通点 (あ)略同一形状の縦長長方形状トレー型容器3個を分割可能に横水平方向に連結したものであり、単位容器は、底板と急傾斜周壁により下窄まり状に形成し、底板部は、表裏面に縦横及び斜めに長短のリブを形成し、平坦部に規則的に貫通孔を形成し、周壁部は、下端部から中程までの縦長貫通孔を連続形成し、上端部に折返し状鍔部を形成し、連結部は、長辺側壁のコーナー寄り2個所に形成し、容器同士を極細幅に離して極小連結片で連結した、基本的構成態様が共通する。 具体的構成態様において、単位容器につき、 (い)底板表面部のリブは、相対する長辺側壁を4等分する位置のうちの上下の位置にリブを設け、当該上下のリブ寄りの位置に、相対する短辺側壁を4等分する位置の左右の位置間に沿って、縦方向に短リブを1本ずつ設け、側壁コーナー部に隅リブを1個ずつ設け、長さが短リブよりやや長い低リブを、短辺側壁中央部と長辺側壁中央部に2本ずつ設け、 (う)底板裏面部のリブは、相対する長辺側壁の4等分する位置間をつなぐ補強横リブを3本、相対する短辺側壁の中央部間をつなぐ補強縦リブを1本設けて交差させ、横2列縦4列の略正方形状区画を形成し、同区画内毎に対角線状の筋交リブを設けて、直角二等辺三角形状区画を各4個形成し、各コーナー部に向かう筋交リブのみ短くし、底板外周に周回リブを設け、 (え)底板の貫通孔は、底辺が補強横リブに接する直角二等辺三角形状区画を除く区画毎に、当該三角形状の頂部寄りに円孔を1個ずつ設け、横2列縦4列の略正方形状区画毎に3個の円孔を、各コーナー部に三角孔を形成し、 (お)周壁連続貫通孔は、やや拡開した倒立U字形とし、長辺側壁の中央部に間隔を設け7個ずつ、短辺側壁の中央部に間隔を設け3個ずつ形成し、 (か)周壁鍔部は、細幅水平延伸部と急傾斜状垂下部による折返し状とし、内側に多数の補強リブを設け、 (き)連結部は、コーナー寄りの鍔部補強リブを垂下させて連結部リブとし、当該連結部リブ同士を繋ぐ極小連結片は、極細幅で丈も極短く形成し、 (く)単位容器の構成比を、短辺:長辺:高さ(容器深さ)を約5:9:1とした態様が、共通する。 [2]差異点 具体的構成態様において、 (ア)底板表面部のリブにつき、(ア-1)相対する長辺側壁の4等分の位置間について、本件登録意匠は、突条リブを3本設け、横長長方形区画を4個形成し、さらに中央突条リブには、中心部に平面視十字型のやや幅広突起と円形のマウンド状突起を重畳して形成したのに対し、引用意匠は、4等分のうちの上下の位置に、長辺側壁に平行して設けた短リブと同種の短リブを、間隔を空けて4本ずつ設けているが、中央の位置にはリブも突起も設けていない点、(ア-2)側壁上方に達する丈の高い三角形状リブを、本件登録意匠は、3本の突条リブ両端部と短辺側壁中央部に1個ずつ、計8個設けたのに対し、引用意匠は設けていない点、(ア-3)長辺側壁中央部に設けた低リブの数について、本件登録意匠は、左右単位容器の外側側壁部のみ4本ずつとし、その他は2本ずつとしたのに対し、引用意匠は、全ての長辺側壁を2本ずつとした点、 (イ)底板裏面部のコーナー部について、本件登録意匠は、周回リブを僅かに突出させて略L字状脚部を形成したのに対し、引用意匠は突出状脚部を形成していない点、 (ウ)連結部の連結部リブについて、本件登録意匠は略三角形状としたのに対し(請求人は、本件登録意匠は下端が隅切形成されているとしている。)、引用意匠は下端がアール形成された縦長状である点に、差異がある。 4.類否判断 そこで、以上の共通点と差異点を総合し、両意匠の類否を全体として検討すると、この種包装用容器の意匠の需要者は、専門の漁業関係者または流通業者であり、形態全体とともに、各部の具体的態様にも注意を向けて、意匠を認識するものである。一般的にこの種物品は、収容物を収容したまま茹で上げ、その後必要に応じて単位容器に分割し、そのまま陳列されるものであるから、需要者は、茹で上げに影響を及ぼす容器構成比や貫通孔の配列、そして分割する連結部の態様に特に注意を向け、さらに容器強度に関係するリブや、最終的に陳列容器となって購入者に見られることも意識して単位容器の形態にも注意を払い、意匠を把握する。そうすると、両意匠の共通する基本的構成態様は、意匠全体の造形的骨格を形成し、看者の注意を惹くものであり、また、両意匠は、各部の具体的構成態様においても、共通性が顕著である。そしてこれら共通する点は、需要者の注意を惹く態様を網羅しており、看者に対し共通する美感を起こさせるものと認められる。 これに対して、底板表面部のリブや脚部の有無等の差異は、需要者に強い印象を与えることはなく、類否判断に及ぼす影響は微弱で、両意匠の共通する美感を変更するほどのものではない。 すなわち、底板表面部のリブの差異点(ア)について、相対する長辺側壁の4等分する位置間の差異点(ア-1)は、本件登録意匠は、表面部を4分割する突条リブを設けているが、区画をしているとしても、当該突条リブは低くて、収容物収容の際に壁状の仕切りとなるほどの目立つものではなく、また、このような低い突条リブによる区画は、特開平7-163268に既に見られ、本件登録意匠に特異な態様ではなく、引用意匠も、4等分の上下の位置には短リブを直列させて設けており、両意匠とも底板裏面のリブ構成をなぞるように、表面側にもリブが設けられている点では共通し(なお、引用意匠は形状の意匠であるが、本件登録意匠と同じ材質にすると、底板裏面のリブ構成も視認され、本件登録意匠の表面の4分割の区画は、底板裏面のリブ構成と同じ3本のリブ構成によるものであるから、両意匠は共通の視覚効果を醸すものである。)、また、本件登録意匠の平面視十字型のやや幅広突起と円形のマウンド状突起については、その部位に着目して注視しなければ明らかとならない小さな突起で、意匠全体の中では細部に係り、視覚効果は微弱であり、いずれも看者の注意を惹く差異ではなく、(ア-2)側壁上方に達する丈の高い三角形状リブの有無は、意匠全体として観れば一部位に係る微差であり、かつ、そのような三角形状リブは、実開平6-37133、実開平6-80637、特開平8-244768や、特開平7-291379、特開平9-188329等に見られるように、補強用として広く知られており、その数を8個としたものも特開2003-341775の「内箱2」に既に見られるように、特異な態様ではなく、(ア-3)左右単位容器の外側長辺側壁の低リブの数の差異も、意匠全体の中ではごく一部位に係るもので、両意匠に共通する低リブの態様に紛れてしまう微細な差異であり、これら底板表面部のリブの差異を合わせても、類否判断を左右するものではない。 底板裏面部のコーナー部の差異点(イ)は、周回リブの僅かな突出による略L字状脚部の有無であるが、本件登録意匠の突出はごく僅かであり目立つものではないうえ、本件登録意匠のような略L字状脚部は、実開平6-37133、実開平6-80637、特開平7-163268、特開平8-244768等に既に見られるように、この分野において広く知られており、特異な態様ではないため、看者の注意を惹かず、類否判断を左右するものではない。 連結部リブについての差異点(ウ)は、見えにくい個所に係る局所的差異であり、看者の注意を惹くものではない。 そして、これら各部の差異点の相まった効果を勘案しても、両意匠の共通点は圧倒的であって、差異点が共通点を凌駕することはなく、意匠全体として美感が共通するから、両意匠は類似する。 5.むすび したがって、本件登録意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同条の規定に違反して登録されたものであるので、その登録は無効とすべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審理終結日 | 2008-12-22 |
結審通知日 | 2009-01-30 |
審決日 | 2009-02-10 |
出願番号 | 意願2007-17797(D2007-17797) |
審決分類 |
D
1
113・
113-
Z
(F4)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 斉藤 孝恵 |
特許庁審判長 |
梅澤 修 |
特許庁審判官 |
樋田 敏恵 並木 文子 |
登録日 | 2008-02-22 |
登録番号 | 意匠登録第1325262号(D1325262) |
代理人 | 清水 久義 |
代理人 | 清水 義仁 |
代理人 | 清水 義仁 |
代理人 | 清水 久義 |
代理人 | 清水 久義 |
代理人 | 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 |