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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 L2 |
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管理番号 | 1197104 |
審判番号 | 不服2008-18704 |
総通号数 | 114 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-06-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2008-07-23 |
確定日 | 2009-05-12 |
意匠に係る物品 | 側溝用ブロック |
事件の表示 | 意願2007- 24679「側溝用ブロック」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本件審判の請求に係る意匠登録出願の意匠(以下、「本願意匠」という。)は、2007年9月11日に出願したものであって、願書及び添付書類の記載によれば、意匠に係る物品を「側溝用ブロック」とし、その形態を願書及び添付図面に記載したとおりとしたものである。(審決に添付した「図面第1」参照) 2.引用意匠 原審査において、本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、1995年(平成7年)6月28日発行の日本国特許庁意匠公報に掲載された、意匠登録第912878の類似2号(意匠に係る物品:側溝用ブロック)の意匠であり、その形態は、同意匠公報に掲載した図面に示すとおりのものである。(審決に添付した「図面第2」参照) 3.本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠は、いずれも側溝用ブロックに係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、両意匠の形態については、主として、下記のとおりの共通点および差異点が認められる。なお、形態の対比上、両意匠のいずれも正面図に現した方を前方とする。 先ず、共通点として、形態の全体は、正面視四方を略縦長長方形として前後に長い略角筒状であり、その内側に正面視卵形状の貫通孔を形成して流水溝とし、左右両側面の下方に、それぞれ前後両端を止め面とした片几帳面状の面取りを施した態様が認められ、各部の態様について、上面の中央長手方向に、流水溝に貫通する細幅の孔を形成してスリット孔部とし、前端面に、流水溝に沿って細い凹溝条を設けた点が認められる。 一方、差異点として、(1)スリット孔部の左右両側に形成した上面の態様について、本願意匠は、左側の上面の左端寄りかつ当該上面の約2分の1幅部分に、端面視略台形状の凹部を形成してその谷面に等間隔4か所の小孔を設け、この略台形状の凹部とスリット孔部との間を右側の上面よりもわずかに低い端面視略台形状の凸部とし、左端に、これと同様の高さの細幅の凸部を形成し、右側の上面を平滑面状としているのに対し、引用意匠は、左右両側の上面を平滑面状としている点、(2)上面中央およびスリット孔部の態様について、本願意匠は、前後両端を閉じたそれぞれの上面に小さな「V」字形状の溝を形成しているのに対し、引用意匠は、前後の全長に、流水溝へ拡張したスリット孔を形成している点、(3)本願意匠は、集水溝として、側溝用ブロック右側面上端に沿って、前記上面の凹溝よりも細幅の端面視略台形状溝を形成してその上を網状部材で覆い、当該略台形状溝の前後両端を、前後両端面で流水溝に通じる斜め下向きの溝にそれぞれ連通しているのに対し、引用意匠は、そのような溝等を形成していない点、(4)側溝用ブロック前端面の凹溝条の態様について、本願意匠は、凹溝のみで形成しているのに対し、引用意匠は、凹溝の底面に、小さな突条を取り付けている点、そして、(5)側溝用ブロック後端面の態様について、本願意匠は、ほぼ全体を平滑面状としているのに対し、引用意匠は、流水溝に沿って小さな突条を形成している点が認められる。 4.本願意匠と引用意匠の類似性についての判断 前記共通点及び差異点を総合し、意匠全体として両意匠が類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について以下考察する。 先ず、形態全体についての前記共通点は、この種物品分野において、例を挙げるまでもなく多数見受けられる周知の構成態様であり、両意匠のみに共通する点とは言えないものである。各部の態様については、上面の中央長手方向に細幅のスリット孔部を形成することは、この種物品の機能上要求される不可欠の構造であって、本願意匠のように前後両端を除いてスリット孔を形成した態様のものも普通に見受けられるものであり、そして、前端面に、流水溝に沿って細い凹溝条を設けた態様は、意匠登録第616596号の類似3号の意匠、意匠登録第682184号の類似2号の意匠、2002年12月13日に特許庁が受入れた、ランデス株式会社発行のカタログ「主要製品写真集」第18頁に掲載された排水溝の意匠(文献番号:HC15002067号、審決に添付した「図面第3」参照)等多数見受けられるようにありふれているから、いずれも両意匠にのみ共通する点とは言えないものである。したがって、共通点は、いずれも両意匠の類似性についての判断に与える影響が微弱なものにとどまるから、これらを総合した場合の意匠的な効果を想定したとしても、直ちに、本願意匠と引用意匠の類似性についての判断を左右するものとは言い難い。 一方、前記各差異点が本願意匠と引用意匠の類似性についての判断に与える影響を考察すると、差異点(1)については、本願意匠の差異点に係る前記態様は、本願意匠の出願前には見受けられない新規の態様であって、上面全体の約半分を形成する一方、右側の平滑面状の上面との対照を成すものであり、目に触れやすい上面の態様を特徴づけているから、その差異が、両意匠の類似性についての判断に与える影響はきわめて大きいと言える。差異点(2)については、本願意匠のスリット孔部は、前後両端を閉じているため、側溝用ブロックを連結する通常の施工態様では、一定間隔でスリット孔の開口部分が断続する態様となる点および、上面の小さな「V」字形状の溝にも雨水等の導入路として注意が払われる点を勘案すると、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。差異点(3)については、側溝用ブロック右側面上端に沿って形成した端面視略台形状溝は、上面の凹溝よりも細幅のものであるが、長手方向の右側面を特徴づける要素であり、かかる態様の有無は容易に識別できるものであるから、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。差異点(4)および(5)については、本願意匠のいずれの態様も本願意匠のみに格別新規の態様とは言えないとしても、本願意匠に係る物品の機能上のみならず、取引上および施工上も、注意が払われる部位の態様についての差異であるから、その差異は、両意匠の類似性についての判断にも影響を与えるものと言える。 そして、共通点および差異点のそれぞれ両意匠の類似性についての判断に与える影響を較量すると、差異点(1)に認定した本願意匠の態様は、本願意匠のみに格別新規のものであって、施工後においても露出して視覚に訴えやすい部位の態様であり、さらに、差異点(3)のとおり、容易に識別できる差異も認められ、他の差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果を加味するまでもなく、差異点は、共通点よりも両意匠の類似性について支配的な影響を与えているから、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。 したがって、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通しているが、形態については、共通点よりも差異点のほうが両意匠の類否判断に与える影響が支配的であるから、両意匠は、意匠全体として互いに類似しないものと認める。 5.結び 以上のとおりであるから、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-04-27 |
出願番号 | 意願2007-24679(D2007-24679) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(L2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 橘 崇生 |
特許庁審判長 |
瓜本 忠夫 |
特許庁審判官 |
杉山 太一 鍋田 和宣 |
登録日 | 2009-05-22 |
登録番号 | 意匠登録第1363493号(D1363493) |
代理人 | 伊藤 儀一郎 |