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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2
管理番号 1198759 
審判番号 不服2007-14508
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-21 
確定日 2009-05-08 
意匠に係る物品 車両用ディスクブレーキのキャリパボディ 
事件の表示 意願2006- 5469「車両用ディスクブレーキのキャリパボディ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
1 本願意匠
本件審判の請求に係る意匠登録出願は、2006年(平成18年)3月6日に出願したものであって、願書及びその添付書類の記載によれば、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「車両用ディスクブレーキのキャリパボディ」とし、意匠登録を受けようとする部分の形態を、願書の記載および添付図面に記載したとおりとしたものである。(審決に添付した「図面第1」参照)

2 引用意匠
原審において、本願意匠が類似するとして引用した意匠は、2005年(平成17年)8月22日発行の日本国特許庁意匠公報に掲載された意匠登録第1248431号の意匠であり、意匠に係る物品を「車両用ディスクブレーキのキャリパボディ」とし、その形態は、同意匠公報の図面に表したとおりのものである。なお、拒絶理由通知書に引用した意匠は、意匠登録第1248431号の意匠の全体であるが、本願意匠と位置、範囲および大きさが共通する部分を構成しているから、当該部分の意匠(以下、「引用意匠」という。)とみなす。(審決に添付した「図面第2」参照)

3 本願意匠と引用意匠の対比
3-1.意匠に係る物品について
本願意匠と引用意匠は、いずれも自動車、自動二・三輪車等のディスクブレーキに使用する、所謂ラジアルマウント型のキャリパボディに係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、当該物品の部分の用途および機能についても共通している。

3-2.本願意匠と引用意匠の形態について
本願意匠と引用意匠は、モノコック構造のラジアルマウント型キャリパボディの形態を構成し、その位置、範囲及び大きさが共通しているが、その態様については、主として、以下のとおりの共通点および差異点が認められる。
先ず、共通点として、キャリパボディの全体は、横長のやや扁平な枠体状であって左右両方が斜め上方に反り、その前後両端をやや大きく面取りした態様であり、前後両面の中央をシリンダボス部とし、上面の開口部の左右をブリッジ状のリブで接合し、底面を開放状とし、上部前方左端にブリューダ孔、そして、下部前方左右に車体取付ボス部をそれぞれ形成して一体成形した態様が認められる。
一方、差異点として、(1)前後のシリンダボス部の外面の態様について、本願意匠は、いずれも略繭型状の突出部の略中央横方向に、帯状の突出面をキャリパボディの左右両端の前記面取り部分に連続して形成しているのに対し、引用意匠は、中央上方に略弧状の細幅の段差面があるほかは、キャリパボディの左右両端まで単一面状としている点および、(2)キャリパボディの左右両端の正面視態様について、本願意匠は、やや角張っているのに対し、引用意匠は、弧状である点が認められる。

4 本願意匠と引用意匠の類似性についての判断
前記共通点および差異点を総合し、意匠全体として本願意匠と引用意匠が類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について以下考察する。
先ず、キャリパボディの全体について共通するとした前記態様は、この種モノコック構造のラジアルマウント型キャリパボディの骨格的態様として、本願意匠の出願前から、例を挙げるまでもなく普通に見受けられるものであり、また、ピストン対向型のディスクブレーキにおいて、キャリパボディの前後両面の中央をシリンダボス部とする構成態様および、放熱等のために上面の開口部の左右をブリッジ状のリブで接合する構成態様も多数見受けられ、そして、ブリューダ孔および車体取付ボス部は、機能上必然的に設けられる構成要素であり、両意匠のみに共通する点とは言えない。したがって、これら共通点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果を考慮したとしても、直ちに、両意匠の類似性についての判断を左右するものとはなり得ないと言うべきである。
これに対し、差異点(1)のとおり、両意匠は、シリンダボス部の外面の態様に大きな差異が認められ、差異点(2)に係る態様と相俟って、キャリパボディの前後両面の態様に異なる美感を生じていると言えるものであり、また、ディスクブレーキに装着した状態では、キャリパボディの前後両面のいずれかが比較的目に触れやすい部位となる点も勘案すると、共通点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類似性についての判断を左右するものというべきである。
以上のとおりであって、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通し、意匠に係る物品の部分について、用途および機能ならびに、位置、大きさおよび範囲が共通しているが、その形態の共通点および差異点が両意匠の類似性についての判断に与える影響を考察すると、共通点よりも差異点の方が支配的な影響を与えているから、両意匠は、全体として互いに類似しないものと認める。

5 結び
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。




別掲
審決日 2009-04-23 
出願番号 意願2006-5469(D2006-5469) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (G2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 川崎 芳孝 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 並木 文子
鍋田 和宣
登録日 2009-06-12 
登録番号 意匠登録第1364728号(D1364728) 
代理人 木戸 良彦 
代理人 木戸 一彦 

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