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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 K3
管理番号 1198766 
審判番号 不服2007-13837
総通号数 115 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-07-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2007-05-14 
確定日 2009-05-14 
意匠に係る物品 コンバイン 
事件の表示 意願2005- 26032「コンバイン」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
1 本願意匠
本件審判の請求に係る意匠(以下、「本願意匠」という。)は、2005年(平成17年)9月8日に意匠登録出願をしたものであって、出願書類の記載によれば、本意匠を同日に出願した意願2005-26031と表示して関連意匠の意匠登録を受けようとするものであり、意匠に係る物品を「コンバイン」とし、その形態を願書の記載および添付写真に現したとおりとしたものである。(審決に添付した「図面第1」参照)

2 引用意匠
原審査において、本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、特許庁総合情報館が受け入れた、2000年6月1日付発行の刊行物「機械化農業第2989号」の裏表紙頁に掲載されたコンバインの意匠 (特許庁意匠課公知資料番号第HA12003122号)であって、その形態は、同頁のカラー写真版に現したとおりのものである。(審決に添付した「図面第2」参照)

3 本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠および引用意匠は、いずれも刈り取り及び脱穀を行うコンバインに係るから、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点および差異点が認められる。
なお、両意匠のいずれも、コンバインの操縦席に着座した状態での左右を基準にして、それぞれの形態を認定する。
先ず、共通点として、コンバインの機体全体は、機体フレームの前部に、刈取搬送部を昇降自在に連結し、機体フレーム左側に、刈取搬送部に連動する脱穀装置、機体後部の排ワラ処理装置をそれぞれ設け、機体フレーム右側に、前方から後方へ順に、操縦ボックス、運転席およびその右側面に取り付けたラジエータグリル、そして、貯留タンクにより構成したものであり、各部の構成について、脱穀装置の左側面に、上側搬送カバーおよび下側搬送カバーを取り付け、貯留タンクの上方に貯留穀粒回収用のアンローダを設け、刈取搬送部の引起こし装置を左右2条配列し、左方の引起こし装置の左側面及び右方の引起こし装置の右側面にそれぞれサイドカバーを接地面に近接して取り付けている点が共通し、機体右側の比較的大きい部位を構成している貯留タンク、ラジエータグリルの外形状が共通し、右方のサイドカバーの外形状についても概ね共通している。
しかしながら、両意匠の各部の具体的な態様について対比すると、(1)操縦ボックスのフロントパネルの態様について、本願意匠は、右略半分を右側方視前方へ緩やかな弧状面とし、その上下両端寄りに及ぶ部位に縦長略楕円形状の外膨らみのライトカバーを取り付け、左略半分を右略半分よりも引っ込めた面としているのに対し、引用意匠は、略全体を右側方視前方へ略「く」字形状の屈曲状の面とし、下方よりも広い上方の斜め上向き斜面の略中央に、横に略角丸半月状のライトカバーを取り付けている点、(2)ラジエータグリルの右側面の態様について、本願意匠は、上方及び下方にそれぞれ通気部を形成し、上下の通気部の間に、横長略平行四辺形状の表示プレートを取り付けているのに対し、引用意匠は、上方のみに通気部を形成し、その下方に横向きの半長円形状の表示プレートを取り付けている点、(3)前記左端の引起こし装置のサイドカバーの態様について、引用意匠の具体的な態様が不明であるため、本願意匠との対比が不能である点、そして、(4)脱穀装置の上側搬送カバーおよび下側搬送カバーの態様について、引用意匠の具体的な態様が不明であるため、本願意匠との対比が不能である点が認められる。

4.本願意匠と引用意匠の類似性についての判断
以上の共通点および差異点を総合し、本願意匠と引用意匠が意匠全体として類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について以下考察する。
先ず、前記各共通点は、この種コンバインにおいては、両意匠のほかにも多数見受けられる共通点であり、本願意匠と引用意匠のみに共通する点と言えず、両意匠の類似性についての判断に与える影響も軽微なものにとどまると言うべきであるから、これら共通点を以て、直ちに両意匠の類似性についての判断を左右するものとはなり得ない。
一方、前記各差異点が、本願意匠と引用意匠の類似性についての判断に与える影響を考察すると、差異点(1)については、刈取搬送装置の類型的な構成態様に対し、操縦ボックスはそれほど機能上の制約に拘束されずに意匠の創作が可能な部位であって、また、運転席の前方部位を構成して比較的注意を惹く部位の態様についての差異である点を考慮すると、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響が大きいと言える。差異点(2)については、ラジエータグリルは、前記のとおり、右側方視において比較的大きい部位を構成し、また、目に触れやすい部位についての差異であるから、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響が大きいと言える。そうすると、差異点(1)及び(2)は、いずれも比較的注意を惹く部位の外観の態様についての差異であり、これら差異点に係る態様が相俟って生じる意匠的な効果は、差異点(3)及び(4)について考察するまでもなく、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。
以上のとおりであって、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通しているが、形態については、共通点よりも差異点の方が両意匠の類似性についての判断に与える影響が支配的であるから、両意匠は、意匠全体として互いに類似しないものと認める。

5.結び
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。




別掲
審決日 2009-04-28 
出願番号 意願2005-26032(D2005-26032) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (K3)
最終処分 成立  
前審関与審査官 清水 玲香橘 崇生越河 香苗 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 並木 文子
鍋田 和宣
登録日 2009-06-19 
登録番号 意匠登録第1365368号(D1365368) 
代理人 北村 修一郎 

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