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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M2
管理番号 1205082 
審判番号 不服2008-23641
総通号数 119 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2009-11-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2008-09-16 
確定日 2009-09-28 
意匠に係る物品 継ぎ金具 
事件の表示 意願2007- 33704「継ぎ金具」拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は,登録すべきものとする。
理由 第1.本願意匠
本願は,2007年(平成19年)12月7日に意匠登録出願されたものであって,その意匠(以下,「本願意匠」という。)は,願書および願書に添付した図面の記載によれば,意匠に係る物品は,「継ぎ金具」であり,その「形状,模様若しくは色彩又はこれらの結合(以下,「形態」という。)」は,願書の記載および願書に添付した図面の記載のとおりとしたものである。(別紙第1参照)


第2.引用意匠
原審において拒絶の理由として引用した意匠(以下,「引用意匠」という。)は,本願出願前の1995年(平成7年)1月12日に特許庁意匠課が受け入れた,松下電工株式会社発行のカタログ「’94-’95電設資材配線器具・情報機器・配管材編カタログNo.電気A-142 1994年4 月30日」の第1050頁所載,左上欄のケーブルラック用接続金具の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HC06031254号)であって,その形態は,同頁の図版に現されたとおりのものである。(別紙第2参照)


第3.両意匠の対比
(1)意匠に係る物品
両意匠の意匠に係る物品は,一致する。
(2)形態の共通点
両意匠は,全体は,薄い板状体により,正面視横長長方形状であって,上下両端を前方へ略縦長「コ」字形状の凸状に折り曲げ(以下,「凸状部」という。)た態様であって,上下両端の凸状部は,それぞれ前面の上下両端を角丸状とし,互いに平行である凸状部間の溝状部には,中央横一列ほぼ等間隔に小孔部を4個所設けた構成態様が共通する。
(3)形態の差異点
一方,両意匠間には,(A)本願意匠が,内側2個所の小孔部を横長長円形の透孔とし,外側2個所を略小円形であって斜め後方に押し出した爪状の係止突起を形成しているのに対して,引用意匠は,4個所の小孔部すべてネジ穴としているが,その具体的な態様は不明である点,(B)凸状部の具体的構成態様について,本願意匠は,上下2つの凸状部の前面部の縦幅がほぼ同じであるのに対して,引用意匠は,下の方が上より広めに形成されている点などに差異がある。


第4.両意匠の類否判断
以上の一致点,共通点および差異点が両意匠の類否判断に及ぼす影響を評価・総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討し,判断する。

(1)共通点の評価
両意匠において共通する前記の,「全体は,薄い板状体により,正面視横長長方形状であって,上下両端を前方へ略縦長「コ」字形状の凸状に折り曲げた態様であって,上下両端の凸状部は,それぞれ前面の上下両端を角丸状とし,互いに平行である凸状部間の溝状部には,中央横一列ほぼ等間隔に小孔部を4個所設けた構成態様」は,形態全体に及ぶ骨格的構成態様であるが,この構成態様はこの種物品分野の意匠では広く知られた極めてありふれた態様であって,この共通点が両意匠全体に及ぼす影響は大きいということはできない。

(2)差異点の評価
一方,差異点(A)で述べた本願意匠の「内側2個所の小孔部を横長長円形の透孔とし,外側2個所を略小円形であって斜め後方に押し出した爪状の係止突起を形成し」た点は,係止部分の具体的な態様であり,この種物品分野の従前の意匠に照らすところ,他のほとんど例を見ない構成態様であって,本願意匠の特徴を形成しており,この差異が両意匠の類否判断に及ぼす影響は極めて大きいと言うことができる。また,差異点(B)も差異点(A)と相まって,差異点(A)が両意匠の類否判断に及ぼす影響をより大きくしている。
そうすると,これらの差異点を総合すれば,もはや差異点が前記の影響力の大きくない共通点を圧しているというべきである。

(3)まとめ
したがって,両意匠は,意匠に係る物品は,一致するが,形態においては,差異点が相まって生じる視覚的効果は,共通点が生じさせている共通感を凌駕しており,意匠全体として観察した場合,本願意匠は,引用意匠に類似するということはできない。


第5.むすび
以上のとおりであって,原審の引用意匠をもって,本願意匠は,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,本願は,同条同項柱書の規定により拒絶すべきものとすることはできない。

また,当審において,さらに審理した結果,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。

よって,結論のとおり審決する。

別掲
審決日 2009-09-11 
出願番号 意願2007-33704(D2007-33704) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (M2)
最終処分 成立  
前審関与審査官 尾曲 幸輔 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 杉山 太一
淺野 雄一郎
登録日 2009-10-16 
登録番号 意匠登録第1373842号(D1373842) 
代理人 倉澤 伊知郎 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 弟子丸 健 
代理人 松下 満 
代理人 井野 砂里 

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