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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 D7 |
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管理番号 | 1205096 |
審判番号 | 不服2009-76 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-01-05 |
確定日 | 2009-10-09 |
意匠に係る物品 | 椅子 |
事件の表示 | 意願2007- 31129「椅子」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は、物品の部分について意匠登録を受けようとする平成19年11月9日の意匠登録出願であり、その意匠は、意匠に係る物品を、「椅子」とし、その形状を、願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりとしたものであって、図面上実線で表した部分が、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分(背もたれ支持具)としたものである(以下、部分意匠として意匠登録を受けようとする部分の意匠を、「本願意匠」という。)。(別紙第1参照) これに対し、原審の拒絶の理由において本願意匠に類似するものとした引用意匠は、本願意匠の出願前に日本国内において頒布された刊行物である、特許庁意匠課が2002年7月26日に受け入れた株式会社ライオン事務器が発行したカタログ「ライオンオフィスチェア<レビフ>」第2頁に所載のいすの意匠(製品名:レビフ)(特許庁意匠課公知資料番号第HC14034839号)の本願意匠に相当する部分であって(以下、「引用意匠」という。)、その形状は、当該カタログの写真版に現されたとおりとしたものである。(別紙第2参照) そこで、両意匠は、形状についてみると、共通点として、全体は、平行する左右一対の棒状体の各々中間部を側面視略「L」字状に屈曲させ、上部をそれぞれ外方向へ向けやや斜め前方に略「く」の字状に屈曲させた骨格的な態様は共通する。しかし、この種の椅子は、人が腰掛ける道具であり、座面の高さ調整やリクライニングなどの機能的な面だけでなく、座り心地、使い勝手の良さや外観のデザインなども需要者が選択する重要な要素となるものであって、当該背もたれ支持具も座面と背もたれとを繋ぐ枢要部分であり、その具体的な態様が需要者の注意を引くものと認められる。そうした場合、主な相違点として、(1)左右両側の棒状体について、本願意匠は、それぞれ分離したものであるのに対して、引用意匠は、略「L」字状の屈曲部と座面側取り付け部の先端とにそれぞれ棒状体を横架して一体的に連結したものであり、(2)左右両側の棒状体の略「L」字状に屈曲する下腕部について、本願意匠は、略四角形断面の棒状体とし、側面視緩やかに湾曲して、座面側取り付け部の先端から後方に向けて側面視漸次拡幅するのに対して、引用意匠は、略三角形断面の棒状体とし、側面視同幅の直線状で、座面側取り付け部の先端を内側が底面としてやや幅広の略円錐形状とし、(3)左右両側の棒状体の下腕部から屈曲して立ち上がる立腕部とその上部の上腕部について、本願意匠は、立腕部を、側面視幅が背面視幅より幅狭の略扁平棒状体とし、上腕部を、屈曲部から背もたれ側取り付け部の先端方向へ背面視及び側面視とも漸次細幅として先端を垂直状の薄板楕円形状に僅かに立ち上げたのに対して、引用意匠は、背面視及び側面視の態様が明確に表されてはいないが、斜視状態によれば、立腕部を、下腕部との屈曲部から上方に従い漸次拡幅して、上腕部との屈曲点の幅を本願意匠より幅広とし、上腕部を、立腕部との屈曲部から背もたれ側取り付け部の先端部方向へ漸次細幅としながら先端を外方向へ短円柱状に突出させた点に相違が認められる。そして、相違点(1)の棒状体の構成態様の相違は、本願意匠が、左右に分離して全く切り離された一つ一つ独立した部材であり、一方の引用意匠が、左右の棒状体が横架する棒状体によって一体的に連結して一つのまとまった部材であって、両意匠の座面と背もたれとを繋ぐ骨格的な態様が全く相違するものと言え、かつ、横架する棒状体の有無の相違に伴う用途及び機能が異なり、また、組立方法やリクライニングの機能的な構造等の相違を考慮すれば、たとえ骨格的な態様として一部共通点があるとしても、一方で、横架する棒状体の有無による両意匠の座面と背もたれとを繋ぐ骨格的な態様にも相違がある以上、両意匠は異なる意匠と言うべきである。また、相違点(2)及び(3)の左右両側の棒状体の各部の具体的な態様の相違について、下腕部の形状の相違は、下腕部が座面の下で見えにくいとしても、当該背もたれ支持具が座面と背もたれを繋ぐ部分であって、座面の高さやリクライニングなどを調整する使用状態等を考慮すれば、やや視線を下げた角度により当該背もたれ支持具が露わになって、その相違は十分視認されるものであり、また、立腕部及び上腕部の形状の相違は、とりわけ、本願意匠の立腕部が略扁平棒状体であるのに対して、引用意匠の上腕部との屈曲点の幅の本願意匠より幅広とする相違が視覚的に目立ち、かつ、両意匠の上腕部の先端形状も背もたれへの取り付け態様が全く異なるものであるから、相違点(2)及び(3)の合わせ持った形状は、両意匠に異なる印象を与えるものと言わざるを得ない。そして、これら相違点の相俟って生じる視覚的な効果は、共通点を圧倒し、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものである。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が一致するとしても、形状において、相違点が共通点を凌駕し、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。 以上のとおりであり、両意匠は類似しないものであるから、原審の拒絶理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-09-28 |
出願番号 | 意願2007-31129(D2007-31129) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(D7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 松尾 鷹久、加藤 真珠 |
特許庁審判長 |
遠藤 行久 |
特許庁審判官 |
淺野 雄一郎 杉山 太一 |
登録日 | 2009-10-23 |
登録番号 | 意匠登録第1374374号(D1374374) |
代理人 | 川口 嘉之 |
代理人 | 世良 和信 |
代理人 | 遠山 勉 |