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審決分類 |
審判 査定不服 意9条先願 取り消して登録 C1 |
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管理番号 | 1205107 |
審判番号 | 不服2009-8964 |
総通号数 | 119 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2009-11-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-04-24 |
確定日 | 2009-10-16 |
意匠に係る物品 | クッション |
事件の表示 | 意願2007- 12468「クッション」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,平成19年5月11日の意匠登録出願であり,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「クッション」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 これに対して,原査定において,意匠法第9条第1項の規定に該当するとして引用された意匠は,本願の出願日前,平成18年11月29日に出願され,平成19年5月25日に設定の登録がなされた意匠登録第1304588号の意匠であって,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「クッション」とし,形態を願書及び願書に添付した図面の記載のとおりとするものである(別紙第2参照)。 3.請求人の主張 請求人は,審判を請求し,概ね次のとおりの主張をした。 本願意匠の創作のポイントは,「環状に形成するとともに10ヶ所に亘って狭窄部を形成した形態」,及び,「内周縁側の内側にゴム紐が縫着された外装内に,粒状充填物(例えば発泡ビーズ)を充填した形態」,にあり,このような形態を採用することによって,「内周形状が10本の直線で構成される十角形を呈するのに対して,外周形状が外サイクロイド曲線で構成される10個の連続する円弧を呈する。」,といった本願意匠独特の審美感が発現するのであり,これらの形態は,「新規性若しくは創作性」を有するものであると共に,この外観上の「新規性若しくは創作性」の部分が看者(需要者)の目を惹き,当該看者(需要者)に対して特異な美観を惹起させるだけでなく,この種物品に重要なファッション性に大きな影響を与えるので,「看者(需要者)の注意を最も強く惹く部分」,つまり本願意匠の要部であるということができる。 これに対して,引用意匠においては,その意匠の説明の欄にも記載されているように,「外装内にウレタンパッドを詰めた8個の膨大部を形成した形態」,を採用したものに過ぎず,これによって膨大部一つ一つが本願意匠に比べて極めて丸っこくて大きく,且つ,内周形状は歪であり,しかもすべての狭窄部に見られる多数の皺模様の存在とも相まって,全体からは暑苦しくて重たい印象を看者(需要者)に与えてしまうものであって,幾何学的な形態が明確に現れ全体としてすっきりとした印象を看者(需要者)に与え得る本願意匠における形態とは大きく異なる。 更に,本願意匠は,上記したように,基本形状(正面図に現れる形状)からは想像もつかないようないろいろな形態に変化し得るものである(使用状態を示す参考図(1)?使用状態を示す参考図(4)を参照)。これに対して,引用意匠は,単に8個の膨大部が環状に並んだだけのものであり,何ら形態が変化しない。 このように,本願意匠は,形態が大きく変化する意匠であるのに対して,引用意匠は一つの形態しかとらない意匠であり,この点においても本願意匠は引用意匠とは全く相違している。よって,本願意匠は意匠法第9条第1項の規定には該当しないと確信する次第である。 4.当審の判断 そこで,本願意匠と引用意匠を比較すると,まず,両意匠は,意匠に係る物品が一致する。 次に,形態について,一致点と相違点について総合的に検討すると,一致点については,すなわち全体形状を等間隔の多数の花びら状曲面体をドウナツ状に繋げたものとした態様は,この意匠の属する分野においては,格別特徴のある形態ではなく,この点が一致することのみでは,類似するということはできない。 一方,相違点については,膨大部の数や表面の皺以外に,「環状のままでは,例えば椅子用のクッションとして使用したり,また使用状態を示す参考図(1)に示すように,狭窄部によって形成された10個の膨大部のうち1個を反転させるようにして環状の中心に入れ込むことで花形にして楽しんだり,あるいは,使用状態を示す参考図(2)に示すように,全体を2回ほど捻じることで,例えばソファに座る際の腰当てとして使用したり,又は枕として使用したり,さらには,使用状態を示す参考図(3)に示すように,環を半分に折ることで枕として使用したり,又は使用状態を示す参考図(4)に示すように,首当て用枕として使用したりできるものである。」との記載があるように,本願意匠を様々な形態に変形させ,また変形させた状態の使用態様がそれぞれあることから,引用意匠とは異なる本願意匠の独特な特徴をよく表しているものであるということができる。したがって,この点は,僅かな相違とはいえないものであり,類否判断に及ぼす影響は大きいということができる。 以上のとおりであって,両意匠は,意匠に係る物品は一致するが,その形態については,両意匠の一致点および相違点の視覚的効果を総合的に判断すると,両意匠は類似しないものといわざるを得ない。 5.結び したがって,本願意匠は,意匠法第9条第1項に該当しないので,原査定の拒絶理由によって本願の登録を拒絶すべきものとすることはできない。また,他に本願の登録を拒絶すべき理由を発見することができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-09-30 |
出願番号 | 意願2007-12468(D2007-12468) |
審決分類 |
D
1
8・
4-
WY
(C1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 斉藤 孝恵、遠藤 行久 |
特許庁審判長 |
関口 剛 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 樋田 敏恵 |
登録日 | 2009-10-30 |
登録番号 | 意匠登録第1374746号(D1374746) |
代理人 | 特許業務法人あーく特許事務所 |