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審決分類 審判 判定  同一・類似 属さない(申立成立) F4
管理番号 1206630 
判定請求番号 判定2009-600028
総通号数 120 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠判定公報 
発行日 2009-12-25 
種別 判定 
判定請求日 2009-07-17 
確定日 2009-10-28 
意匠に係る物品 包装用袋 
事件の表示 上記当事者間の登録第1071653号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号図面及びその説明書に示す「包装用袋」の意匠は、登録第1071653号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属しない。
理由 第1.請求人の申立及び理由
請求人は、イ号意匠ならびにその説明書に示す意匠は、登録第1071653号意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属さない、との判定を求める、と申し立て、その理由として大要以下の主張をし、証拠方法として甲第1号証を提出した。
登録第1071653号意匠(以下「本件登録意匠」という。)は、開口部に開閉動作が反復継続可能なチャックが設けられた開口自在の構成で、全体も堅牢な素材で構成されていると推定できるのに対し、イ号意匠は、本件登録意匠のような反復継続して使用できる突出片を設けたものではなく、両意匠は美感において全く異なる。従って、イ号意匠が本件登録意匠及びこれに類似する意匠の範囲に属さない、との判定を求める。

第2.被請求人の答弁
被請求人は、本件請求書副本の送達に対し、答弁書を提出していない。

第3.当審の判断

1.本件登録意匠
本件登録意匠は、平成10年12月4日に意匠登録出願をし、平成12年3月3日に意匠権の設定の登録がなされた登録第1071653号意匠であり、意匠に係る物品を「包装用袋」とし、形態を、願書及び願書に添付した図面に記載されたとおりとするものである。(別紙第1参照)

2.イ号意匠
イ号意匠は、判定請求書において「イ号図面」、及び「イ号説明書」として示された意匠であり、意匠に係る物品が包装用袋と認められ、形態を、当該図面、及び説明書に記載されたとおりとするものである。(別紙第2参照)

3.本件登録意匠とイ号意匠の対比検討
本件登録意匠とイ号意匠を対比すると、両意匠は、意匠に係る物品が共通し、形態について、(1)上面を閉じた、全体がほぼ直方体状をなす袋体であり、袋体の高さ、及び横幅に比べて、奥行がやや幅狭であり、両側面の幅中央に縦にシール部が形成されたものである点、(2)袋体上面の長手辺の一方(本件登録意匠では前端辺、イ号意匠では後端辺)に沿って帯状部が形成され、袋体の開口部となっている点、(3)この開口部は、袋体前面上端の延伸部分(本件登録意匠)、または後面上端の延伸部分(イ号意匠)と、袋体の上面前端の延伸部分(本件登録意匠)、または上面後端の延伸部分(イ号意匠)とが、それぞれ合掌状に重ね合わされた構成である点、が共通する。
一方、両意匠には差異点として、(ア)本件登録意匠は、袋体の高さが横幅より高い、やや縦長の直方体状であるが、イ号意匠は、高さが横幅より低い、やや横長の袋体である点、(イ)袋体四方の縦方向の稜部について、本件登録意匠は丸面状であるが、イ号意匠は角張っている点、(ウ)袋体両側面の幅中央のシール部について、本件登録意匠は、側面に沿って封筒貼状に継がれた平らなものであるが、イ号意匠は、側面から突き出した合掌状のものである点、(エ)袋体上面の開口部について、本件登録意匠は帯状部が上向きに起立し、その左右が袋体の側面中央のシール部まで回り込む、全体が平面視偏平「U」字状を呈するもので、更にこの帯状部のやや下寄りに、開閉自在の咬合チャックが横水平に設けられているのに対し、イ号意匠は、袋体上面において、後端辺から手前に向けて折り倒された態様の、横長矩形の水平板面状のものであり、またこれに咬合チャック等は設けられていない点、が主に認められる。

そこで上記の共通点と差異点が類否判断に及ぼす影響を検討するに、両意匠の共通点は、袋体の全体に係わる構成を含むものであるが、(1)の共通点においては、同時に、上記差異点(ア)(イ)及び(ウ)の、看者の視覚を良く捉え、包装用袋としての形態的まとまりに大きく影響する差異が認められ、また共通点(2)及び(3)の開口部に係る態様においても、その具体的な構成は、上記差異点(エ)のとおり、大きく異なっており、共通点としてはいずれも概念的というほかなく、両意匠の共通点のみで類否を決定付けることができない。
一方差異点について、差異点(ア)ないし(ウ)は、各々の態様は、個別には包装用袋の態様として必ずしも特徴的とはいえないとしても、それぞれが外観上の目立つところを構成して、包装用袋としての全体の形態的まとまりに大きく影響するところを形成している。
また差異点(エ)についても、袋体の上部に大きく形成され、また使用上の観点からも一般に注意を払って着目される開口部の構成についての差異であって、その開口部の具体的な態様が大きく異なることを表すものであり、開口部の構成に関する(2)の共通点が未だ概念的に止まることもあって、その差異は、開口部という部分的な差異に止まらず、袋体全体の基本構成の違いとして印象付けられるまでに至っており、この差異のみで、両意匠の美感を別異と印象付けるほどの大きな差異を形成している。そしてこの差異は、(ア)ないし(ウ)の差異とも相互に相俟って、両意匠において、それぞれ別異の形態上のまとまりを形成するに至っている。
即ち、両意匠の共通点と差異点を総合した場合、上記の(ア)ないし(エ)の差異点が一体となって生起する差異感は、(1)ないし(3)の共通点が一体となって生起する共通感を優に凌ぎ、両意匠の美感を別異とするに十分なものである。従って、両意匠は、意匠全体として類似しない。

4.結び
以上のとおりであって、イ号意匠は本件登録意匠に類似せず、従って、イ号意匠は、本件登録意匠、及びこれに類似する意匠の範囲に属さない。
よって、結論のとおり判定する。
別掲
判定日 2009-10-15 
出願番号 意願平10-35197 
審決分類 D 1 2・ 1- ZA (F4)
最終処分 成立  
前審関与審査官 杉山 太一 
特許庁審判長 瓜本 忠夫
特許庁審判官 淺野 雄一郎
市村 節子
登録日 2000-03-03 
登録番号 意匠登録第1071653号(D1071653) 
代理人 三原 靖雄 

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