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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 G2 |
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管理番号 | 1209835 |
審判番号 | 不服2009-12550 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-07-09 |
確定日 | 2009-12-11 |
意匠に係る物品 | 自動車用タイヤ |
事件の表示 | 意願2008- 7253「自動車用タイヤ」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願意匠 本件審判の請求にかかる意匠登録出願は、2008年(平成20年)2月29日に出願したものであって、出願書類によれば、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし、その形態を願書及び添付図面に記載したとおりとしたものである。(審決に添付の「図面第1」) 2 引用意匠 原審査において、本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、2005年(平成17年)7月25日発行の日本国特許庁意匠公報に掲載された、意匠登録第1246050号の意匠であって、意匠に係る物品を「自動車用タイヤ」とし、その形態は、同意匠公報に記載されたとおりのものである。(審決に添付の「図面第2」) 3 本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通し、本願意匠に係る自動車用タイヤの部分の位置、大きさ及び範囲が引用意匠に係る自動車用タイヤの部分にも構成され、両意匠の当該部分の使用目的、機能についても共通していると認められるから、両意匠は、意匠に係る物品の部分の位置、大きさ及び範囲並びに使用目的及び機能が共通しているものである。しかしながら、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び差異点が認められる。 なお、両意匠の対比上、両意匠に係るタイヤの左右を両意匠の正面図からみた左右としてそれぞれの形態を認定する。 まず、共通点として、タイヤの左右両肩部(以下、左肩部を「左ショルダー部」、右肩部を「右ショルダー部」とする。)の間の全周に、3本の凸状の帯状部を縦溝と交互に形成してトレッド部とした態様が認められ、左右のショルダー部の全周に等間隔多数の弧状の横溝を形成している点、トレッド部の左側帯状部、中央帯状部及び右側帯状部のそれぞれ全周に、等間隔多数の同一方向に傾斜した溝(以下、それぞれの「傾斜溝」という。)を形成している点、左側帯状部の右端寄りに細溝を施してその右側全周を細幅無模様のリブ部としている点、左側帯状部は、右上がりの傾斜溝で区割りした同形同大の縦長略平行四辺形の左端略中央に右上がりの短い傾斜溝を施してブロック部を形成している点、そして、中央帯状部は、左端から右上がり及び右端から左下がりのいずれも短い傾斜溝を左右交互に形成している点が認められる。 一方、差異点として、(1)左ショルダー部の態様について、本願意匠は、左端から右端寄りに右上がりの下方へ弧状の横溝に対して右端から左下がりの短い傾斜溝を交互に形成しているのに対し、引用意匠は、左端から右端へ右下がりの上方へ弧状の横溝とその中央から右端に平行して約2分の1長さの弧状の横溝を交互に形成し、この約2分の1長さの弧状の横溝を左側帯状部のブロック部を区割りしている傾斜溝と縦溝で交差する部位としている点、(2)右側帯状部の態様について、本願意匠は、傾斜溝で区割りした同形同大の縦長略平行四辺形の左端略中央に右上がりの短い傾斜溝を施してブロック部を形成しているのに対し、引用意匠は、左端から右上がりの長短の傾斜溝を交互に形成し、本願意匠のようなブロック部を形成していない点、(3)引用意匠は、右側帯状部の右端寄りに細溝を施してその右側全周を細幅無模様のリブ部としているのに対し、本願意匠は、右側帯状部の右側が縦溝に接し、リブ部を形成していない点、そして、(4)右ショルダー部の右端から左端寄りに形成した弧状の横溝について、本願意匠は、左下がりの上方へ弧状に形成しているのに対し、引用意匠は、左上がりの下方へ弧状に形成している点が認められる。 4 本願意匠と引用意匠の類似性についての判断 前記共通点及び差異点を総合し、本願意匠と引用意匠が類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について考察する。 両意匠に共通しているとした前記態様は、この種タイヤの分野において多数見受けられ、両意匠のみに共通する点とは言えないものであるから、かかる共通点によって、直ちに両意匠の類似性についての判断を左右するものとは言えない。 一方、前記差異点を検討すると、差異点(1)については、本願意匠は、左端から右端寄りに右上がりに形成した下方へ弧状の横溝と左側帯状部の右上がり傾斜溝とが相俟って、左ショルダー部で下方へ弧状として右上がりにそれぞれの溝を配列しているような意匠的な効果を生じている点が認められるのに対し、引用意匠は、左端から右端へ右下がりの上方へ弧状の横溝とその中央から右端に平行して約2分の1長さの弧状の横溝を交互に形成し、この約2分の1長さの弧状の横溝を左側帯状部のブロック部を区割りしている傾斜溝と縦溝で交差する部位としているため、それぞれの溝を左ショルダー部の右端で屈曲して右上がりにトレッド部に配列しているような意匠的な効果を生じている点が認められ、左ショルダー部の弧状の横溝は、トレッド部の傾斜溝と相乗して異なる意匠的な効果を生じているから、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言える。差異点(2)については、ブロック部の有無に加えて、差異点(3)に係る態様と相俟って右側帯状部の具体的な態様が相違しているものであるから、これら差異点は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。差異点(4)については、右ショルダー部の右端から左端寄りに弧状の横溝を形成した態様のものは、いずれも本願意匠の出願前より多数見受けられるが、本願意匠は、左下がりの上方へ弧状の横溝であるため、右側帯状部の右上がりの傾斜溝と相俟って右ショルダー部で上方へ弧状として右上がりにそれぞれの溝を配列しているような意匠的な効果を生じている点が認められるのに対し、引用意匠は、左上がりの下方へ弧状の横溝であるため、右側帯状部の右上がりの傾斜溝と上方へ鈍角状に交差する部位にそれぞれの溝を配列しているような意匠的な効果を生じている点が認められる。そうすると、両意匠の差異点にかかる態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。 以上のとおりであって、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通し、物品の部分についての用途及び機能ならびに、位置、大きさおよび範囲が共通しているが、その形態の共通点および差異点が両意匠の類似性についての判断に与える影響については、共通点よりも差異点の方が支配的な影響を与えているから、両意匠は、全体として互いに類似しないものと認める。 5 結び したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する |
別掲 |
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審決日 | 2009-11-27 |
出願番号 | 意願2008-7253(D2008-7253) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(G2)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 清野 貴雄 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
並木 文子 鍋田 和宣 |
登録日 | 2010-01-15 |
登録番号 | 意匠登録第1380166号(D1380166) |
代理人 | 藤本 昇 |