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審決分類 |
審判 査定不服 2項容易に創作 取り消して登録 J7 |
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管理番号 | 1209848 |
審判番号 | 不服2009-16912 |
総通号数 | 122 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-02-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-09-11 |
確定日 | 2009-12-28 |
意匠に係る物品 | 貼り薬 |
事件の表示 | 意願2007- 30225「貼り薬」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は、平成19年11月1日に意匠登録出願をしたものであって、その意匠は、願書及び願書添付の図面によれば、意匠に係る物品が「貼り薬」であり、その形態は願書及び同図面記載のとおりである(別紙第1参照)。 2 審査における拒絶理由の要旨 この意匠登録出願に係る貼り薬の分野において、貼り薬の全体形状を長方形とすることは本願出願前よりごくありふれており、剥離体の背割線における角部の態様を直角とするか、略円弧状とするかの改変は極普通に行われている(特開平9-135860号(別紙第2参照)の図20、図14、特開2006-204633号(別紙第3参照)の図2、図3、図12参照)。 そうすると、この意匠登録出願の意匠は、本願出願前に公然知られたものと認められる貼り薬の意匠(特開平9-135860号の図20)の略L字状背割線の屈曲部を、本願出願前に公然知られたものと認められる略円弧状の形状(特開平9-135860号の図14の背割線の当該部)としたに過ぎず、背割線の弧状曲線部の径の大きさを変更することも、本願出願前よりありふれた手法であるので(例えば、特開平9-135860号の図14と図19の意匠)、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものと認められ、意匠法第3条第2項の規定に該当する。 3.審判請求理由の要旨 本願意匠の要旨は、全体が正面視長方形状の貼付剤部と剥離部とからなり、かつ当該剥離部に、一方の長手辺部の側における面積を狭くしつつ、徐々に隣接する短手辺部の側において面積を広くせしめて、剥離部の全面積をほぼ1:1に2分割する弧状湾曲線からなる背割線を配した点にある。 しかし、引用文献1の当該図14と図19には、斯かる不等巾の弧状湾曲線とすること及びその弧状湾曲線で剥離部の全面積を2等分することについては全く記載がないばかりかその示唆さえされていない。 また、仮に当該径を大きな径に変更したとしても、等巾の、かつ屈曲部のある曲線となるものであって、本願意匠の如き不等巾の、かつ屈曲部のない弧状湾曲線となることはなく、自ずと本願意匠は当業者の容易に創作し得たものではない。 したがって、仮に「径の大きさを変更することはありふれていた」としても、前述した如く、その具体的な変更の程度や態様が不分明で、公然知られていない以上、本願意匠が当業者の容易に創作し得たものでないことは明らかである。 4.当審の判断 この種貼り薬の分野において、本願出願前に、貼付剤部と剥離部の外形を同形同大とし、全体を角丸長方形とすることは例を挙げるまでもなくありふれた態様である。 また、剥離体の背割線を、その直線部分の向かい合う辺に平行して略「L」字状とした態様は、前記特開平9-135860号に記載の図20の意匠に見受けられ、背割線の隅を大小の弧状とする態様のものも前記特開平9-135860号に記載の図14、図19の各意匠に示すとおり見受けられる。 そして、背割線により分割される剥離部の面積比を略1:1とした態様のものも、例えば特開平9-135860号に記載の図7の(c)に示す意匠のように、公然知られている。 しかしながら、本願出願前に、この種貼り薬の分野において、略「L」字状の背割線を、それぞれの直線部分の向かい合う辺と互いに不等間隔の部位に設けた態様のものは見受けられない。 そうすると、全体を角丸長方形とした貼り薬の態様は広く知られたものであるが、本願意匠のような背割線の態様が公然知られていたとは言えず、また、背割線の態様を本願意匠のように変更することが公然知られていたとは言えないから、前記各引用意匠に基づいて、本願意匠の形態を容易に想到できるとは認めることができない。 したがって、本願意匠は、出願前にその意匠の属する分野における通常の知識を有する者が日本国内又は外国において公然知られた形状、模様若しくは色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をすることができたものであるとは言えない。 5.結び 以上のとおりであるから、本願意匠は、意匠法第3条第2項の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2009-12-14 |
出願番号 | 意願2007-30225(D2007-30225) |
審決分類 |
D
1
8・
121-
WY
(J7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 太田 茂雄 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 並木 文子 |
登録日 | 2010-01-15 |
登録番号 | 意匠登録第1380042号(D1380042) |
代理人 | 特許業務法人アルガ特許事務所 |
代理人 | 特許業務法人アルガ特許事務所 |