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審決分類 審判 査定不服  1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 H7
管理番号 1209859 
審判番号 不服2009-8543
総通号数 122 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 意匠審決公報 
発行日 2010-02-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2009-04-20 
確定日 2010-01-08 
意匠に係る物品 テレビジョン受像機 
事件の表示 意願2008- 19734「テレビジョン受像機」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。
理由
1 本願意匠
本件審判の請求にかかる意匠登録出願は、願書及び添付書類によれば、2008年(平成20年)7月31日に出願したものであって、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「テレビジョン受像機」とし、その形態を願書及び添付図面に記載したとおりとしたものである。(審決添付の「図面第1」)

2 引用意匠
原審査において、本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、独立行政法人工業所有権情報・研修館が2007年12月17日に受け入れた雑誌「LA MIA CASA」402号(NOVEMBRE 2007)第24頁に掲載された、左上「1」と表示されたデータ表示機のスタンド部分の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HB20000938号)であって、その形態は、同頁の写真版に現したとおりのものである。(審決添付の「図面第2」)

3 本願意匠と引用意匠の対比
本願意匠は、テレビジョン受像機に係るものとし、引用意匠は、データ表示機に係るものとしているが、引用意匠の掲載頁の説明によれば「テレビジョン受像機」として使用できるものであるから、両意匠は意匠に係る物品が共通し、本願意匠に係るテレビジョン受像機のスタンド部分の位置、大きさ及び範囲が引用意匠に係るテレビジョン受像機の部分にも構成され、両意匠に係る物品の当該部分の使用目的、機能についても共通していると認められるから、両意匠は、意匠に係る物品の部分の位置、大きさ及び範囲並びに使用目的及び機能が共通しているものと認める。
しかしながら、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び差異点が認められる。
まず、共通点として、全体は、略X字形状の支持脚(以下、「X字脚部」という。)の交差点上に垂直状の支柱部を取り付けたものであり、その具体的な態様において、X字脚部は、4本の脚部をいずれも細長の薄い板状とし、左右よりも前後の夾角が広角である点が認められる。
一方、差異点として、(1)X字脚部の各脚部の具体的な形状について、本願意匠は、いずれも先端を弧状とし、上縁を丸面状に面取りしているのに対し、引用意匠は、いずれも先端が角張り、左右両脚の付け根を支柱部より離した部位とし、面取りをしていない点、(2)4本の脚部の長さについて、本願意匠は、後方2本に対して前方2本が約2倍長いのに対し、引用意匠は、4本を同様の長さとしている点、そして、(3)前方2本の脚部の幅に対する長さの比について、本願意匠は、約1対9であるのに対し、引用意匠は、約1対6としている点が認められる。

4 本願意匠と引用意匠の類似性についての判断
前記共通点及び差異点を総合し、本願意匠と引用意匠が類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について考察する。
この種薄型のテレビジョン受像機の分野において、スタンド部分の態様を略X字形状の支持脚の交差点上に垂直状に支柱部を取り付けて構成したものはありふれており、4本の脚部をいずれも細長の薄い板状とし、左右よりも前後の夾角を広角とした態様のものも例を挙げるまでもなく多数見受けられ、前記各共通点は、両意匠のみに共通する点とは言えないから、これら共通点を以て、直ちに両意匠の類似性について判断を左右するものとはなり得ないと言うべきである。
一方、前記差異点が両意匠の類似性についての判断に与える影響を考察すると、差異点(1)については、両意匠の脚部は、先端から付け根の部位に至るまで具体的な態様が互いに異なるものであり、その差異が両意匠の類似性についての判断に与える影響は大きいと言える。差異点(2)については、本願意匠の前方2本の脚部が後方2本に対して約2倍長い点と、差異点(3)のとおり、脚部を幅に対して約9倍の長さとしている点とが相乗し、前方2本の脚部をさらに長い態様に見せる視覚的な効果が認められ、また、前方の脚部を長い態様とすることによる形態全体の安定感を感得させる効果も考慮すると、これら差異点にかかる態様が相乗した意匠的な効果は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものであるから、差異点は、これらを総合した場合、両意匠の類似性についての判断を左右するものと言うべきである。
以上のとおりであって、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通し、物品の部分についての用途及び機能並びに、位置、大きさ及び範囲が共通しているが、その形態の共通点及び差異点が両意匠の類似性についての判断に与える影響については、共通点よりも差異点の方が支配的な影響を与えているから、両意匠は、全体として互いに類似しないものと認める。

5 結び
したがって、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。
また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。



















別掲
審決日 2009-12-16 
出願番号 意願2008-19734(D2008-19734) 
審決分類 D 1 8・ 113- WY (H7)
最終処分 成立  
前審関与審査官 木村 智加 
特許庁審判長 斉藤 孝恵
特許庁審判官 並木 文子
鍋田 和宣
登録日 2010-01-22 
登録番号 意匠登録第1380753号(D1380753) 
代理人 三好 秀和 

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