ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 M3 |
---|---|
管理番号 | 1211324 |
審判番号 | 不服2009-11229 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-06-17 |
確定日 | 2010-01-07 |
意匠に係る物品 | 樹脂用埋め込み金具 |
事件の表示 | 意願2008- 16327「樹脂用埋め込み金具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は,2008年(平成20年)6月25日に意匠登録出願されたものであって,その意匠は,願書の記載によれば,意匠に係る物品を「樹脂用埋め込み金具」とし,その形態は,願書の記載及び願書に添付した図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 これに対して,原審において拒絶の理由として引用した意匠(以下「引用意匠」という)は,本願の出願前である1991年10月29日に特許庁総合情報館が受け入れた,外国雑誌,「DESIGNNEWS」1991年9月23日18号の第117頁所載の,インサートナットの意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HB03030229号)であって,その形態は同頁に写真版で現されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.両意匠の対比 (1)意匠に係る物品 そこで,両意匠を対比すると,まず,意匠に係る物品については,いずれも螺子穴を供するために樹脂成型品に埋め込んで使用する金具に係るものであるから,共通するものと認められる。 (2)形態の共通点 略円筒状の本体部(以下,「円筒状本体部」という。)の外周面の上下に,斜め方向に筋状の凹凸を有する突起部(以下,「筋状突起部」という。)を設けた点,上下の筋状突起部の間に僅かに平坦部を設け,筋状突起部における突起の断面は略三角形状とし,上段と下段の筋状突起部の筋状凹凸の方向を互い違いの方向に設けている点,円筒状本体部の内側に雌螺子部を形成した点が共通している。 (3)形態の差異点 他方,両意匠には,形態について,主に以下の差異がある。 (ア)下段の筋状突起部の下側について,本願意匠は,何も設けていないのに対して,引用意匠は,下半部に一回り径の大きい段差部を有する軸状の突出部(以下,「軸状突出部」という。)を形成している点,(イ)筋状突起部について,本願意匠は,上段の筋状突起部の突起の上端と下段の筋状突起部の突起の下端に,斜めに小型三角形状の切截面を形成し,上段の筋状突起部の突起の下端と下段の筋状突起部の突起の上端に,斜めに大型三角形状の切截面を形成しているのに対して,引用意匠は,上段と下段のいずれにも切截面を形成していない点,(ウ)筋状突起部の肉厚及び突起の数について,本願意匠は,肉厚が厚く,突起の数が少なめであるのに対して,引用意匠は,肉厚が薄く,突起の数が多い点,(エ)雌螺子部の内径について,本願意匠は,径が小さいのに対して,引用意匠は,径が大きい点。 4.両意匠の類否判断 以上の共通点及び差異点を総合して,両意匠の類否を意匠全体として検討すると,両意匠の前記共通点に係る構成態様は,意匠全体の骨格を成し一定の共通感を醸成するものではあるが,基本的な構成態様を表出しただけであり,また,本願出願前のこの種物品分野の意匠に照らすところ,その共通する構成態様は,両意匠のみの特徴を形成するものとはいえず,これをもって,類否判断に及ぼす影響力が大きいということはできない。 これに対して,前記各差異点,特に,(ア)軸状突出部の有無,(イ)筋状突起部の切截面の有無,及び(ウ)筋状突起部の肉厚及び突起の数についての差異は,需要者の目に付き易い部位における顕著な差異点であるため,類否判断に与える影響が大きく,両意匠の共通点を凌駕するものであるといえる。これらの差異点と(エ)についての差異点に係る態様が相乗して生じる視覚的な効果は,看者の注意を強く惹くもので,両意匠の類否判断を左右するものというべきである。 以上のとおり,両意匠は,意匠に係る物品が共通するものであるが,その形態において,差異点が共通点を凌駕し,意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから,両意匠は類似しないものである。 5.むすび 以上のとおりであって,本願意匠は,原審の引用意匠をもって,意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当するということはできず,原審の拒絶理由によって,拒絶すべきものとすることはできない。 また,当審において,他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって,結論のとおり審決する。 |
別掲 |
|
審決日 | 2009-12-25 |
出願番号 | 意願2008-16327(D2008-16327) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(M3)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 江塚 尚弘 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
橘 崇生 並木 文子 |
登録日 | 2010-02-05 |
登録番号 | 意匠登録第1381954号(D1381954) |
代理人 | 永芳 太郎 |
代理人 | 水野 尚 |
代理人 | 南部 さと子 |
代理人 | 南部 さと子 |
代理人 | 水野 尚 |
代理人 | 永芳 太郎 |