ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 F4 |
---|---|
管理番号 | 1211342 |
審判番号 | 不服2009-13604 |
総通号数 | 123 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-03-26 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-07-30 |
確定日 | 2010-02-15 |
意匠に係る物品 | 包装用缶 |
事件の表示 | 意願2008- 16608「包装用缶」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
本願は、平成20年(2008年)6月27日の意匠登録出願であって、その意匠は、意匠に係る物品を「包装用缶」とし、形態を、願書に添付した図面の記載及び写真に現されたとおりとしたものである(以下、「本願意匠」という。別紙第1参照。)。 これに対して、原審において、拒絶の理由として、本願意匠は、その出願前に日本国内又は外国において頒布された刊行物である特許庁総合情報館が1997年8月18日に受け入れた1997年5月21日発行のベネルクス意匠公報第965頁所載第27849-00号の包装用缶の意匠(以下、「引用意匠」という。別紙第2参照。)に類似するものと認められ、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当し、同条の規定により意匠登録をすることができないものであるとしたものである。 そこで、本願意匠と引用意匠との類否を検討してみると、両意匠は、有底の略縦長円筒状の上部を上方へと先細り状に絞り込んだ傾斜面状のネック部とし、その上面を、略円盤状で外周縁部を僅かに立ち上げて上端に丸みをつけて円環状とし、その円環状内周に沿って細溝を形成した蓋部とし、さらに、ネック部下の円筒状胴部の全周にわたって、凹凸面の境界によってできる模様を、多数の同形の小円形が、上下方向及び左右方向にやや離れて多数の列を形成し、それぞれ隣の列とは小円形がずれて、小円形の中心が正三角形状の位置になるように互いに接し、斜め方向では前後方向に小円形が連接し、隣の列とは平行な列を形成して小円形を斜め格子状に施した点において共通する。しかし、その胴部の小円形模様は、確かに胴部全周に施されることとなり、看者の注意を惹くものではあっても、一方で、同時に、両意匠には、(ア)小円形模様を形成する内面形状を、本願意匠は、外方向へ緩やかに膨らむ凸湾曲面としたのに対して、引用意匠は、内側へ緩やかに窪む凹湾曲面に抉ったものとする相違点を伴うものであり、その相違点(ア)の小円形内面形状の相違は、本願意匠の小円形内面が、円筒状胴部から外方向へ膨らむことによって、凸湾曲面が浮き出るように見えるのに対して、引用意匠の小円形内面が、円筒状胴部から内側へ窪むことによって、相対的に窪みを除く余地部が浮き出て、小円形で囲まれてできる略正方形状の各辺が内側に弧状に凹むものが斜め格子状に連なり、視覚的に目立つことになり、かつ、この相違は十分に視認できるものであるから、両意匠に明らかに異なる視覚的効果を生じさせるものである。 さらに加えて、両意匠には、(イ)ネック部を、本願意匠は、4段の段差を形成したのに対して、引用意匠は、段差を形成せず、傾斜面に胴部に続いて小円形を横に1段施した相違点も認められる。その相違点(イ)のネック部の態様の相違は、ネック部が意匠全体からみれば、ある程度部分的な箇所としても、有底の略縦長円筒状の上部で、内容物を飲み込むのに際して口が直接当たる部分で、視覚的に目立ち、本願意匠については、胴部の態様とは切り離されて関連のない4段の段差が形成され、水平状の円環が上方へ順次縮径して階段状とするのに対して、引用意匠は、胴部からネック部に掛けて、小円形の凹湾曲面の抉りが強調され、凹凸面がより顕著に表出されることになるから、両意匠の構成は全く異なるものである。 そして、これらの相違点(ア)及び(イ)の相俟って生じる視覚的効果は、本願意匠が、小円形模様を形成する内面形状が外方向へ緩やかに膨らむことによって、凸湾曲面が円筒状胴部から浮き出し、総じて包装用缶に滑らかな印象を与えるのに対して、引用意匠は、胴部だけでなくネック部も含めて、小円形模様を形成する内面形状が内側へ窪むことによって、余地部が浮き出て、総じて包装用缶全体に凹凸感のあるごつごつした印象を与えることになり、この視覚的効果は、既に共通点を凌ぎ、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものである。 したがって、両意匠は、意匠に係る物品が同一で、形態において、相違点が共通点を凌駕し、意匠全体として両意匠に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しない。 以上のとおりであり、両意匠は類似しないものであるから、原審の拒絶の理由によって本願を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する |
別掲 |
|
審決日 | 2010-02-01 |
出願番号 | 意願2008-16608(D2008-16608) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(F4)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 神谷 由紀 |
特許庁審判長 |
遠藤 行久 |
特許庁審判官 |
杉山 太一 市村 節子 |
登録日 | 2010-02-26 |
登録番号 | 意匠登録第1383604号(D1383604) |
代理人 | 牛木 護 |