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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 取り消して登録 J7 |
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管理番号 | 1214479 |
審判番号 | 不服2009-19975 |
総通号数 | 125 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-05-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-10-19 |
確定日 | 2010-03-10 |
意匠に係る物品 | マッサージ具 |
事件の表示 | 意願2008- 22404「マッサージ具」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願の意匠は、登録すべきものとする。 |
理由 |
1 本願意匠 本件審判の請求にかかる意匠登録出願は、出願書類によれば、意匠法第4条第2項の規定の適用を受けようとする、2008年(平成20年)9月1日の出願であって、物品の部分について意匠登録を受けようとするものであり、その意匠(以下、「本願意匠」という。)は、意匠に係る物品を「マッサージ具」とし、その形態を願書及び添付図面に記載したとおりとしたものである。(審決に添付した「図面第1」) 2 引用意匠 原審査において、本願意匠が類似するとして引用した意匠(以下、「引用意匠」という。)は、2002年10月24日に、特許庁特許情報課が受け入れた、2002年9月10日発行の大韓民国意匠商標公報(CD-ROM番号:2002-41)に記載された意匠登録・第30-0305642号のマッサージ具(特許庁意匠課公知資料番号第HH14679772号)の突起付ローラ部分の意匠であって、その形態は、前記公報に掲載したとおりのものである。(審決添付の「図面第2」) 3 本願意匠と引用意匠の対比 本願意匠と引用意匠は、いずれも身体をマッサージする器具に係るものであるから、意匠に係る物品が共通している。なお、引用意匠の図面を本願意匠の図面の向きに揃え、以下それぞれの形態を認定する。 本願意匠は、左右両端にグリップを設けたロープの中央を2本に分け、その間の長手方向に等間隔複数個のローラー部を取り付けたマッサージ具の中央のローラー部であり、一方、引用意匠に係るマッサージ具についても、本願意匠の前記部分の位置、大きさ及び範囲に相当する部分を構成していると認められるから、両意匠は、意匠に係る物品の部分の使用目的及び機能並びにその位置、大きさ及び範囲が共通していると認められる。 しかしながら、両意匠の形態については、主として、以下のとおりの共通点及び差異点が認められる。 まず、共通点として、ローラー部全体は、ロープに取り付ける軸を通す貫通孔を中心とする回転体の胴部の外周面を側方視弧状に形成し、その外周面全周に等間隔複数個の突起を上下対称状に配置して設けている点が認められ、そして、ローラー部の上下両面に、環状の面取りを施している点が認められる。 一方、差異点として、(1)ローラー部の胴部の外周面形状について、本願意匠は、略球面状であるのに対し、引用意匠は、縦横の比を約3対2とした略俵形状である点、(2)突起の配置態様について、本願意匠は、外周面中央寄りの上下一対2個と外周面中央の1個とを等間隔交互にそれぞれ4か所設けているのに対し、引用意匠は、側方視略垂直面の上下両端にそれぞれ1個づつを上下1対として等間隔6か所設けている点、そして、(3)突起の形状について、本願意匠は、すべての突起を同形同大の略半球面状としているのに対し、引用意匠は、一部の一対の突起の頂面を面取りし、そのほかを同形同大の略半球面状としている点が認められる。 4 本願意匠と引用意匠の類似性についての判断 前記共通点及び差異点を総合し、本願意匠と引用意匠が類似するか否か、すなわち両意匠の類似性について考察する。 本願意匠の出願前より、この種マッサージ具の分野において、ロープに取り付ける軸を通す貫通孔を中心とする回転体の胴部の外周面を側方視弧状に形成したローラー部の胴部の外周面全周に等間隔複数個の突起を上下対称状に配置して設けた態様のもの及び、ローラー部の胴部の上下両端面に、環状の面取りを施した態様のものは、多数見受けられ、前記各共通点は、両意匠のみに共通する点とは言えないから、これら共通点を以て、直ちに両意匠の類似性について判断を左右するものと言うことはできない。 一方、前記差異点が両意匠の類似性についての判断に与える影響を考察すると、差異点(1)については、本願意匠のローラー部の胴部外周面を略球面状とした態様自体は本願意匠のみに格別新規のものとは言えないが、両意匠にかかるマッサージ具は、いずれも長手方向にローラー部を等間隔複数個取り付ける構成態様のものであり、使用態様では、本願意匠は引用意匠よりもほっそりした構成態様となる差異があり、また、突起の形状及びその配置態様と相俟ってローラー部の態様を特徴づけるための基礎形状の差異であるから、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。 差異点(2)については、本願意匠は、突起を外周面中央寄りの上下一対2個と外周面中央の1個とを等間隔交互に配置しているため、側方視において、外周面中央の1個を中心に斜め1列3個が互いに交わる態様を呈しているのに対し、引用意匠は、一部の突起の頂面を面取りしているものの、上下1対の突起を単に等間隔に配置した態様にとどまるから、その差異は、両意匠の類似性についての判断に影響を与えるものと言える。さらに、差異点(3)のとおり、ローラー部を上下両面から観た態様において、本願意匠は、突起を互い違いに配置した態様を現しているのに対し、引用意匠は、単に等間隔に配置した態様であるから、本願意匠のローラー部の外周面は、引用意匠のものよりも変化のある態様を構成していると言える。そうすると、差異点(1)、(2)及び(3)にかかる態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類似性についての判断を左右する影響を与えると言うべきである。 したがって、本願意匠と引用意匠は、意匠に係る物品が共通し、意匠に係る物品の部分についての用途及び機能並びに、位置、大きさ及び範囲が共通しているが、その形態の共通点及び差異点が両意匠の類似性についての判断に与える影響については、共通点よりも差異点の方が支配的な影響を与えているものであるから、両意匠は、全体として互いに類似しないものと認める。 5 結び 以上のとおりであるから、本願意匠は、意匠法第3条第1項第3号に掲げる意匠に該当しないものであり、同条の規定により拒絶すべきものとすることはできない。 また、本願意匠について、他に拒絶すべきものとする理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-02-18 |
出願番号 | 意願2008-22404(D2008-22404) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
WY
(J7)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 繁和 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 樋田 敏恵 |
登録日 | 2010-04-09 |
登録番号 | 意匠登録第1387506号(D1387506) |
代理人 | 鈴江 正二 |