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審決分類 |
審判 査定不服 1項2号刊行物記載(類似も含む) 登録しない H1 |
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管理番号 | 1216236 |
審判番号 | 不服2009-17959 |
総通号数 | 126 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 意匠審決公報 |
発行日 | 2010-06-25 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-09-24 |
確定日 | 2010-03-09 |
意匠に係る物品 | 人体検知器 |
事件の表示 | 意願2007- 31682「人体検知器」拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.本願意匠 本願は、平成19年11月19日に意匠登録出願されたものであって、その意匠は(以下、「本願意匠」という)、意匠に係る物品が「人体検知器」であり、その形態が願書及び願書添付の図面に記載されたとおりのものである(別紙第1参照)。 2.引用意匠 原審において、意匠法第3条第1項第3号に該当するとして、拒絶の理由として引用された意匠は、特許庁意匠課が1998年11月6日に受け入れた株式会社パトライト発行のカタログ「センサ機器パトセンサカタログ」1998年8月31日号第7頁に掲載された「パッシブセンサ」の意匠(特許庁意匠課公知資料番号第HN10019204号)であって、その形態は同頁に写真版で現されたとおりのものである(別紙第2参照)。 3.両意匠の対比 両意匠を対比すると、いずれも天井設置用の人体検知器に係るものであるから、意匠に係る物品が共通し、形態については主として、以下の共通点及び差異点が認められる。 なお、両意匠を対比するため、引用意匠については、本願意匠の斜視図の方向に合わせて、以下それぞれ形態を認定する。 (1)共通点 (A)全体の筐体は、扁平な有底略円筒状の筐体で、天井側に配線接続部を設けた点、(B)筐体の底面は、中央に略すり鉢状の凹部を設け、その周囲をやや外向きの傾斜面に形成した点、(C)略すり鉢状の凹部の中央に略半球状のセンサー部を設け、センサー部の周囲に円環状のリブを設けた点において共通する。 (2)差異点 (a)筐体の態様について、本願意匠は、全体を略円筒状とし、筐体の外側カバー部の上端を内側カバー部と同程度の高さに形成し、側面視段差状としているのに対して、引用意匠は、筐体の側面全周を同一面状とし、その上端に近接した全周に区割りを施している点、(b)筐体側面部と底面部の態様について、本願意匠は、側面が垂直状で底面側の傾斜面が急勾配で高さがあるのに対して、引用意匠は、側面が下窄まり状で、底面側の傾斜面が緩やかで全体が扁平である点、(c)センサー部周囲のリブの態様について、本願意匠は、センサー部に接して寄りに小型円環状のリブがあるのに対して、引用意匠は、センサー部を取り巻く凹部の外側にやや大きな円環状のリブを設けている点、(d)配線接続部の態様について、本願意匠は、筐体の内側カバー部内部に収納され、配線接続部が視認できないのに対して、引用意匠は、筐体の全高の約2倍の高さに突出して形成し、上部に透光性を有するカバーを取り付け、筐体上面の略中央に設けている点に差異が認められる。 4.類否判断 そこで検討するに、共通点の態様は、この種の人体検知器の分野において従来から多数見受けられる態様であって、両意匠のみに格別新規な態様ということはできず、それらの点のみをもって両意匠の類否判断を左右する共通点ということはできない。 これに対し、下記考察のとおり、差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、看者の注意を強く惹くものであるから、両意匠の類否判断を左右するものというべきである。 とりわけ、差異点(a)及び(b)に係る態様は、筐体の態様についての差異が、両意匠の形態全体の骨格的な態様に係り、両意匠の前面の印象を大きく決定付けるものといえ、看者の注意を強く惹くものもので、その差異は、両意匠の類否判断に重大な影響を与えるものといえる。差異点(c)に係るセンサー部周囲のリブの形状の差異は、看者の注意を惹きやすい部位にかかる差異であって、両意匠に互いに異なる形態上の特徴を生じているから、両意匠の類否判断に影響を与えるものといえる。さらに、差異点(d)に係る態様は、配線接続部という、設置後は見えにくい部位に係る差異であるが、設置後の態様も考慮すると、配線接続部までカバーで覆っている本願意匠の態様は、引用意匠とは全体の骨格が異なるものといえ、両意匠の類否判断に影響を与えるものであるから、これらの差異点に係る態様が相乗して生じる意匠的な効果は、両意匠の類否判断を左右するに十分のものである。 以上のとおり、両意匠は、意匠に係る物品が共通するものであるが、その形態において、差異点が共通点を凌駕し、意匠全体として看者に異なる美感を起こさせるものであるから、両意匠は類似しないものである。 なお、本願意匠は、同日に出願されていた自己の意匠登録出願である意願2007-31681号と、その形態が類似しないものであると認められるが、本願は、平成22年2月12日の手続補正書により、願書の「本意匠の表示」の欄を削除する補正がなされたものである。 5.むすび したがって、両意匠は類似しないものであるから、原審の拒絶理由によって、本願意匠を拒絶すべきものとすることはできない。 また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
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審決日 | 2010-02-19 |
出願番号 | 意願2007-31682(D2007-31682) |
審決分類 |
D
1
8・
113-
Z
(H1)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 原田 雅美、小林 裕和 |
特許庁審判長 |
斉藤 孝恵 |
特許庁審判官 |
鍋田 和宣 樋田 敏恵 |
登録日 | 2010-04-30 |
登録番号 | 意匠登録第1389429号(D1389429) |